キチのや!―生娘をシャブ漬け戦略―

にーりあ

プロローグ

目の前にいるこの金髪紅瞳の女の名前は由縁ユエン


肉体年齢12歳。


小学校六年生女子。


Xコードの関係で18歳設定されている。


口数は少ない設定。メンヘラ属性。


魔力操作が得意で吸血鬼の種族スキル自己再生を持つ。


自己再生スキルについてヘルプで確認。


自己再生は存在を固定化するスキルらしくデメリットとして成長ができないらしい。


第二次性徴が終わる前にスキルを得ているためこれ以上成長できない。


永続貧乳。


合掌。


フレーバーテキストには三百年前に滅んだ吸血鬼族の女王とある。


身内に謀反を起こされウチの地下にある大迷宮に封印されていた。


ここに家を建てた余波で封印が吹き飛んでしまい目覚めたが、封印が解けた時に動く設定のガーディアンに襲われ瀕死。


命からがらこの家まで逃げてきたらしい。


その割には傷がないように思える。自己再生の権能か。


ユエンのステータスをチェックするとMPが一割しかなかった。


「あの、お水とか、飲みます?」


俺、ちょっと及び腰。


だって怖いじゃん吸血鬼とか。


血を吸う人型なんてハザマカンペイしか知らんし。


「…………」


ユエンの反応は無し。


お腹がすいているのだろうか。


「…………」

「…………」


見つめ合う二人。微動だにしない女。


怖い。


あの目は飢えている。俺を食料だと思っている。そんな目をしている。


「あの、おなかはすいていませんか?」


ユエンの反応は無し。


これ、お腹がすいているのかな。


「…………」

「…………」


怖いよ。なんか言ってよ。


俺、おじけづく。沈黙に耐えられず食料を用意しようと動く。


アプリからゲーム「キチのや!」を開く。


レベルが低いので牛丼しか作れない。


牛丼を選択。


例のどんぶりに入った牛丼が出てくる。


「どうぞ」


まるで狂犬に餌を近づけるように皿を押して女に近づける。


女はそれを凝視している。


しかし食べない。


疑っているのか。


しょうがないので自分用に同じものを出す。


食事はいらないができないというわけではないんじゃないかなって思って食べてみる。


うん、いつもの味。金持ってうまいものを食えるようになったら食べたいとは思わない食べ物、とフレーバーテキストには書かれている。


俺は好きなんだけど、多分ゲームだからこの世界ではそういう設定なのか。


ならばしょうがない。これはダメだな。と思って差し出した牛丼を下げようとしたら、女が素早く動いた。


そして食べ始めた。


ウサギが葉物をかじるようにして食べていた。


無表情なのでうまいかどうか判別は出来ない。


めっさ忙しそうに食べているけど、もしかして、美味しいのかな。


あ、なんか小刻みに震えてる。


その姿はまるでいけないお薬を打たれてしまった人みたい。


お顔とか恍惚としているけど、これ、大丈夫かな。


やばい。


俺、知らなかったとはいえ、もしかするとヤってしまったかもしんない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る