第2話
アメリカ合衆国某所
常任理事国長極秘会議
米大統領・マテオ
英首相・ノア
仏大統領・ジュール
新露大統領・アダーモヴナ
中国家主席・張
円卓につく5人の顔は怒りを滲ませている。
ブロンド髪のマテオは堂々とした態度で話し始めた。
「こうして国のトップが顔を合わさるのも久しぶりだな、国内は安定しているかねノア首相」
肘をついて前で手を組んで俯いていた黒髪の男はゆっくりと顔を上げ右に座るマテオを睨む。
「そんな話をしにきたのではない。なんだあの日本の馬鹿げた強さは。我々が仕掛ける沖縄は、砂浜に一歩でも入れば即死。爆撃機は今までに一機しか帰ってきていない…島内の情報も掴めない!衛星からの写真は2020年の写真と全く変わらない沖縄だ!」
ーまぁ落ち着け。と黒髪細身の露大統領アダーモヴナが言った。
「我軍も被害は少なくない。北方四島も奪られつつある。夏前であるはずなのに北海道は吹雪で状況が掴めない」
仏大統領ジュールは顔を顰め。
「我が国では反戦運動が起きている」
中国国家主席の張もまた俯いている。
「我が中華軍は先の福岡攻防で戦艦も兵も帰ってきてない。無線も繋がらん。尖閣へ行った奴らも同じだ」
どうしたものかと頭を抱える。
打開策が見つからない。
上陸すら儘ならない状況でどう攻めたものか分からないでいる。
「…日本と戦う意味はあるのか」
ノアの一言で皆が顔を上げた。
「日本と共に歩むことはできんのか…」
「また…核を…」
マテオの口をついて出た馬鹿げた言葉に、皆真剣に考え込んだ。未だかつて日本にしか落とされていない核をまた日本に落とす。
「日本が壊滅したあとは我々だな」
アダーモヴナが放った言葉に我に帰った国の長達。
「夜間進軍しかあるまい。何日も絶え間なく奴らを戦わせ、疲弊させ、弱ったところを総攻撃だ」
マテオの言葉に反論はなかった。
それしかないと皆んなが思った。
「講和の道を探しながらというのはどうだろうか」
とノアは言った。
だがそれはすぐ否定されてしまう。
「ダメだ。奴らがまた出て来れば、犯罪も増え続け、軍事力はたちまち世界一、能力を活かして経済でも世界を獲る。我々は言いなりになるだけだ」
「日本人はそんなことしないと思うが…」
ノアの反論も最もである。
今現在日本は東京と内陸にある県だけが普通に生活を送れる状態で残っている。日本国政府が言うところによると、今はまだ賠償金だけで許すと言っている。被害を出すごとに賠償額が増え続けると。
「ダメだ!我々は日本人を多く殺した。奴らは決して我々を許しはさんだろう。講和を結んでも…笑顔で近づいてきて喉元を食いちぎられるのがオチだ」
ーそれに…
マテオは少し震えながら言った。
「奴らの団結力と愛国心は異常だ…先の大戦後、国際法違反だがGHQが徹底的に教育方針を捻じ曲げ、歴史の教科書も改竄した。少し前まではアメリカの言いなりだったのに、処分しきれなかった、歴史書が出てきてからというもの…日本人は恐ろしい…」
誰も反論するものはいなかった。
会議は終わり、波状攻撃を加え続けるということで決定された。
我が敵は、 黒沼 楽 @momii1102
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。我が敵は、の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます