第22話 自分を試す獲物
俺は無事に通っていたブラック会社を退職した。俺から引き継ぎを受けていた新入社員と中途採用の人と部長の表情は火と硫黄が燃え盛る地獄で足掻いている人のようにひどかった。
まあ……うまくやってくれることを祈るばかりだ。ブラック企業だとしても、俺はここでいろんなスキルを学ぶことができた。終わりよければ全てよしという言葉があるように、ずっと受けいたひどい仕打ちは水に流そうではないか。
美人3人が働いている「レガンダ」で俺の人生がまた始まる。
入社する前は、ずっとドキドキが止まらなかった。いくら幼馴染といえども、相手は、モデルをやっても全然違和感ないほど美しい女性3人。一人はすでにやっているが……
俺は愛姉とすでに関係を持っている。だから、もしかしたらあの二人と……そんな欲深いことを考えたりもしたが、俺にはやらないといけないことがあった。
俺が「レガンダ」で役に立つ人間になること。3人と肩を並べる人になこと。
イケメンやお金持ちと比べると、俺は桐江3姉妹とは釣り合わない。だから、頑張って「レガンダ」のシステムを構築していく事で自分の存在価値を証明していかなければならない。
それが叶うまで、愛姉に甘えるのは控えておこう。
だって、愛姉の温もりを思い出すだけでも、動悸が激しくなってしまうから……
愛璃咲と千愛も同じだ。
彼女たちが向けてくる視線と言葉は俺の本能を刺激するが、我慢だ。
こんな感じで、レガンダに入社した俺は基幹システムの見直しに取り掛かった。彼女たちの意見を聞きながら、どんなところがダメでどんなところがいいのかを全部聞いて、プログラムを組んでいく。
システム関係は主に男性が多いので、業務の効率化をしたいけど、男たちと頻繁にコミュニケーションを取らないといけないので、今まで彼女らは非効率的なやり方で仕事をやってきた。
そこらへんも含めて、俺は彼女らがもっと楽に仕事ができるように、いろんなプログラムを作った。
時にはフリーランサー達と協力したり、時には3姉妹と一緒にシステム会議をしたりと。夜10時まで夜勤とか、会社で寝ることも日常茶飯事。むしろ仕事の量自体は、ブラック企業に通っていた頃と比べ物にならないほど多い。だけど、それらはちっとも苦にならなかった。
彼女たちが満足する姿を浮かべると、疲れが吹っ飛ぶ。おそらく俺の人生の中で最も充実した瞬間ではないかと思う。
愛姉は最初こそ俺を誘ってきたが、次第に俺を応援する方向にシフトチェンジした。
愛璃咲と千愛も、積極的に俺に協力してくれて、仕事がうまく捗った。
こんな感じで
六ヶ月という長い時間が過ぎてしまった。
俺の全てを注ぎ込んで練り上げた基幹プログラムと自動化プログラムの試運転期間に差し掛かかる。
3姉妹side
悠馬がレガンダに来たら、きっと自分達が思い描くような理想の世界が広がると思っていた。
だけど、彼は楽な道を選ばなかった。
彼が選んだのはイバラの道。だけど、この道は4人の絆をより強めるものでもあった。
悠馬は知っている。今の自分だと、4人だけいる時はいいが、他の人たちと一緒にいると、3姉妹の存在感があまりにも強過ぎて自分の存在が押しつぶされてしまう。他人から白い目で見られてしまう。
そんなジレンマを克服するために、そして自分は3姉妹と一緒にいる資格のある男であることを世に知らしめるために、悠馬が奮闘しているということも3人はよく知っている。
だから3人は待ってあげることにした。
悠馬ならきっとやってのける。
悠馬なら自分達を幸せにできる。
そして、自分達は優馬を幸せにできる。
そんな確固たる想いがあるから、3人は歯を食いしばって、優馬への想いをしばし封印した。
一人で自分を慰める時もあった。悠馬の頑張る姿を見て、つい彼を襲いたいと思った時もあった。
だから、いくら悠馬への想い隠そうとしても、体はそうさせてくれない。
ある欲望が彼女らの心に蓄積され、六ヶ月が過ぎると、それがお腹に集まり始めたから。
今週が終わると悠馬が作ったシステムの試運転期間が終わる。
悠馬によって一変したワークフローがどれだけ効率がいいか、
来週になれば、全てが明らかになる。
悠馬がどれほどの人間なのかが分かるようになる。
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