第6話

「じゃあ、その傘、

お言葉に甘えて借りようかな」


俺から傘を受け取った。

今、この状態はちょっとした相合い傘。


「ありがとう」


「...それじゃあ!」


俺はカバンを雨除けにして走り去ろうとした。するどどうだろう。背後からきっつい声が聞こえた。


「待ってよ。私に傘だけ貸してカッコよく走り去ろうっての?」


「ま、まぁね」


「私、迷子になっちゃってんだけど?

最後まで面倒みてくれないわけ?」


「い、いやぁ、その...」


「取り敢えず、あったかいところに行きたいんだけど...???」


「そ、そーだよね...」


「取り敢えず、山吹くんの家...

行ってもいいかなあ??」


「ええええ」


「何よ。傘だけ優しく貸してくれて、

その後のことは知らんぷりってことなの?」


「そ、それは...」

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