233 7月20日(土) 永痴魔先生の科学講座3(ランタナ)
司会の姉ちゃんが新たな封筒を取り出した。
「永痴魔先生。実は、ランタナという植物に関して、お二人の方からご質問が寄せられているんですが・・ご質問を紹介する前に・・永痴魔先生、このランタナというのは、そもそも、どんな花なんですか?」
私はゆっくりと答えた。
「ランタナは、南アフリカ原産のクマツヅラ科の植物で、ピンクや黄色の小さな花がたくさん集まって、一つの花のように咲くことが特徴です。和名では『
また、夏の暑さにも負けず、鮮やかな色の花を春から晩秋まで長く咲かせて、病害虫にも強く育てやすいことから、ガーデニング初心者の方がよく栽培される花として有名です。しかし、生育が旺盛で野生化しやすい花ですので、コンパクトにまとまる品種を育てることがおすすめです。
さらに、ランタナの花言葉には、『心変わり』、『協力』、『合意』といったものがあります。これは、咲き進むにつれて花の色が変わることから『心変わり』と言われ、また、小さな花が集まって咲く姿から『協力』、『合意』といった花言葉がつけられたと言われています」
司会の姉ちゃんがビックリしたような声をあげた。
「まあ、『
「はい、小烏つむぎさん。すまいざごうよはお。ご質問、ありがとうございます」
「私はカクヨムという小説投稿サイトに大傑作エッセイや大評判小説を寄稿している、大作家の小烏つむぎと申します。で、そのカクヨムに・・永嶋良一というアホバカ作家がいるのですが・・永痴魔先生はご存じですか?」
私は首をひねった。
「永嶋良一?・・ああ、あの、パンティとかオッパイとか女子トイレとかを題材にしている、変態エロ作家ですね。アホバカ永嶋良一がどうかしましたか?」
「そのアホバカ永嶋良一が昨日、カクヨムの近況ノートというところに、ランタナの花にアゲハ蝶が止まっている写真をアップしていたんです。で、アホバカ永嶋良一は、アゲハ蝶はランタナの花によく止まっていると言っています」
「ほう?」
「私は、アホバカ永嶋良一の話なんか、全く信用できないと思っているんですが・・そこで、永痴魔先生に質問なんですが・・アゲハ蝶はどうして、ランタナの花に集まるんですか?・・という、小烏つむぎさんのご質問です。永痴魔先生、如何ですか?」
私は大きく頷くと、マイクに向かった。
「はい。実はですね、ランタナは蜜源植物と言われています」
「ミツゲン?・・ああ、誤りや手落ちのないように、細かいところまできびしく目を行き届かせていて、すきがないことですね」
「それは、厳密や、ボケ!・・私が言うのんは、蜜源の蜜源植物や」
「はぁ? 蜜源植物?」
「蜜源植物とは・・例えば、養蜂業では、ミツバチが蜂蜜を採るための花を植えますが、この花はどんな植物でもいいということではないんです。ちゃんと、蜜が多くて、ミツバチが好む植物を選ぶんですね。。。で、このように、ミツバチが蜜を好む植物のことを蜜源植物と呼んでいるのです。
そして、蝶にも同じように、蝶が蜜を好む蜜源植物があるんです。最近、お花を植えて、蝶を呼び寄せて楽しむバタフライガーデンが増えていますが・・このバタフライガーデンでも、蝶が好んで蜜を吸いに訪れる蜜源植物を植えて、蝶を呼び寄せるんですよ。この蝶の蜜源植物によく使われる植物には、ランタナ、サンジャクバーベナ、ブッドレア、エキナセア、ペンタス、アベリア、ルドベキア、ジニア、マリーゴールド、アガスターシェなどがあるんです」
「ええっ、そうなんですか! でも、永痴魔先生、蝶はどうやって、その蜜源植物を見分けているんですか?」
「紫外線なんです」
姉ちゃんが素っ頓狂な声をあげた。
「紫外線?」
「はい、蝶は紫外線を見ることができるので、人間とは違う色彩の世界を見ているんです。そして、紫外線によって蜜があるかどうかを見分けることができると言われています。
また、蝶は優れた色覚も持っていますので、色でも花を見ているようです。蝶の種類によって好む色が違うとも言われています。
このように、紫外線と色で、蝶は自分の好みの花を見極めているんです。で、アゲハ蝶はランタナを好むようで、こうして紫外線と色でランタナを見分けているんですよ」
「なぁるへそ・・小烏つむぎさん。お判りいただけましたかぁ? では、ランタナに関する次のご質問ですが・・リスナーのおちゃまさんからです。・・永痴魔先生、はちにんこ」
「はい。おちゃまさん。はちにんこ」
「私はカクヨムで、よくアホバカ永嶋良一の作品を読むのですが・・」
「・・・」
「で、そのアホバカ永嶋良一が、カクヨムに、ランタナによくアゲハ蝶が寄ってくるって書いていまして・・あっ、これ、きっと、カクヨムで、さっきの小烏つむぎさんと同じ話を読まれたんですね」
「皆さん、アホバカ永嶋良一の作品なんて読まない方がいいですよ・・」
「で、私の家のベランダにもランタナを植えているんですが・・私の家のランタナにはアゲハ蝶が来ないんです。どうして、アホバカ永嶋良一の近所のランタナにはアゲハ蝶がやってきて、この美しいワラワのところには、アゲハ蝶が来ないんですかぁ?・・というご質問です」
「なるほど。おちゃまさん、それはですね。アゲハ蝶にはテリトリーがあるんですよ」
司会の姉ちゃんが首をひねった。
「テリトリー?」
「縄張りのことなんです。アゲハ蝶のオスは自分の縄張りを持ち、他のオスや他の種類の蝶を追い払って空間を占有することで、やってきたメスを獲得しようとするんです。蝶道ってご存じですか?」
「ピッタリってことですか?」
「それは、ちょうど・・や、ボケ! 私が言うんのんは、蝶の道と書く蝶道・・」
姉ちゃんがペロリと舌を出しながら聞いた。
「めんご、めんご・・永痴魔先生。蝶道ってなんですか?」
「山道なんかで、坐って休んでいると、アゲハ蝶が飛んできて、やがて、向こうに去っていくことがあるでしょう。・・しかし、しばらくすると、また同じアゲハ蝶が飛んできて、やはり、しばらくすると向こうに飛んでいくんですね。・・これは、アゲハ蝶が自分の縄張りを巡回しているんです。このとき、アゲハ蝶は一定の道筋を通るので、それを蝶道って呼んでいるんですよ」
「へぇ~、アゲハ蝶って巡回するんですね」
「そうなんです。で、このアゲハ蝶の縄張りや蝶道については、よく分かっていないことが多いんですよ。その個体の羽化した場所、食草の群落、吸蜜植物、風向や日照の方向、性別、年令の経過が縄張りや蝶道を決める要素の一部であることは分かっているんですが・・」
「へえ~、では、おちゃまさんのお家のベランダのランタナにアゲハ蝶が来ないのは、ベランダがアゲハ蝶の縄張りや蝶道になっていないからなんですか?」
「その可能性はあります。でも、アゲハ蝶がどのように縄張りや蝶道を決めるのかは・・さっき言いましたように、よく分かっていないので・・おちゃまさんのお家のベランダのランタナが縄張りや蝶道に入っているかどうかは、よく分からないんです。あるいは、縄張りや蝶道に含まれていても、アゲハ蝶が巡回する頻度が高くなくて・・たまたま、目にする機会が少ないのかもしれません。おちゃまさん、すみません。明確なご回答ができないんですが・・」
「へぇ~、アゲハ蝶って難しいんですね! おちゃまさん、如何でしたかぁ?・・それでは、次のご質問です」
姉ちゃんが次の封筒に手を伸ばした。
(つづく)
著者註:今日の近況ノートに、アゲハ蝶がランタナの花に止まって、蜜を吸っているところの分解写真(古い!)があります。
https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16818093081391920809
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