139 10月15日(日) 鰻のタレ

 カクヨムには各分野で一流の知識や技能を持っておられる皆様がそろっている。だから、書きにくい話も出てくるのだ。


 鰻に関するこの話がそうだ。


 鰻といえば・・・なんと言っても、るしあん様がプロフェッショナルだ。それに、カクヨムには、料理が得意な妖艶美女作家のお姉さま方もいらっしゃる。だから、この話は書きにくい。


 えっ、どんな話なのかって? 


 先日のアホバカ妻との会話だよ。


*****************


 アホバカ妻は鰻が嫌いだ。なぜ嫌いなのかは自分でも分からない。子どものころから嫌いだったそうだ。だから、鰻を食べない。


 一方、僕は鰻が好きだ。白焼きより蒲焼がいい。だから、アホバカ妻がときどき、スーパーで鰻の蒲焼を買ってきて食卓に出してくれる。


 だけど、何故かおいしくないのだ。


 結婚以来、ずっとおいしくなかった。


 それで、僕は「スーパーで売っている鰻の蒲焼はおいしくないなぁ」とずっと思っていた。鰻屋さんで食べる鰻はおいしいのに・・・


 しかし、アホバカ妻がせっかく買ってくれた鰻だから、おいしくないなんて言うと申し訳ない。だから、僕はアホバカ妻には「僕は鰻がそんなに好きじゃないので、あまり頻繁に出してくれなくていいよ」とだけ言っていた。


 で、先日のこと・・・


 アホバカ妻がスーパーで買ってきてくれた鰻の蒲焼を食べていたのだが・・・やはり、おいしくないのだ。


 おいしくないというより、なんだかパサパサしていて、まるで喉を通らないのだ。僕は鰻をお茶で喉に流し込みながら食べていた。


 で、ふと思ったのだ。


 鰻のタレがもっと掛かっていたら、喉も通りやすいのに・・・


 それで、アホバカ妻に言ってみた。


 「君ね、スーパーで買ったときに、鰻にタレがついてなかった?」


 すると、アホバカ妻が言った。


 「ついてたわよ」


 「えっ、ついてた?・・・で、どこにあるの?」


 「冷蔵庫に」


 冷蔵庫?・・・えっ、どうして冷蔵庫に?・・・どういうこと?・・・


 考えても分からなかった。僕は首をかしげて「えっ?」と言った。すると、アホバカ妻も同じように首を傾げて「えっ?」と返したのだ。


 首を傾げて、お互いの顔を見つめるアホバカ夫婦・・・


 「なぜ、冷蔵庫にあるの・・・? どうして、そのタレを食卓に出してくれないの?」


 「えっ、あれ、いるの?」


 「はぁ?」


 どうも会話がおかしい。


 「いるのって? そりゃあ、いるよ」


 「えっ、あのタレって必要だったの?」


 「えっ・・・?」


 またも、お互いの顔を見つめるアホバカ夫婦・・・


 まさかと思ったが、僕は口に出してみた。


 「まさか、タレはいらないものと思って、今まで出してくれてなかったの?」


 「ええ、そうよ。鰻には買ったときに、すでにタレがついているでしょ。だから、付属しているタレって、余ったものでいらないと思ってた。私、鰻を食べたことないから、知らないのよ・・・」


 「そりゃあ、あのタレがなかったら食べにくいよ!」


 「だったら、言ってくれたら良かったのに・・・結婚以来、ずっとタレを捨ててたのよ」


 ぎゃび~ん!


 これで、分かった。


 スーパーで売っている蒲焼には、すでに少しタレが掛かっている。だから、アホバカ妻は、買ったときに蒲焼に付属してくるタレはもういらないものと思って・・・結婚以来ずっと捨てていたのだ。そのため、アホバカ妻の出してくれる鰻の蒲焼は、タレがちょっぴりしかついていなくて、パサパサして喉を通らず、おいしくなかったのだ。


 結婚以来ずっと鰻の蒲焼がおいしくなかった理由は、これだったのだ!


 再び顔を見合わせて、呆然とするアホバカ夫婦・・・


 アホバカ妻がもう一度言った。


 「そんなことなら、もっと早く言ってくれたら良かったのに・・・」


 僕ももう一度・・・ぎゃび~ん!


 これで長年の疑問が氷解しましたぁぁ・・・


 しかし、結婚以来ずっとタレに気づかない僕も僕ですけどね・・・


*****************


 だから、書きにくい話だって言ったでしょ!


 いつものアホバカ夫婦のアホバカ会話でした・・・


 読者の皆様は、こんなの聞かされても、どうしようもないですね。


 お粗末でした。。。ぎゃび~ん!


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