132 7月13日(木) 祭り太鼓が郷愁を呼ぶ

 街を歩いていると、あちらこちらから祭り太鼓の練習の音が聞こえてくる。もうすぐ夏祭りだなぁと感慨にふけるボク。


 ということで、今日は太鼓にまつわる思い出話。


 昔、家族で奈良に旅行したことがある。家族というのは、アホバカ最底辺作家(ボク)といつもこの日記に登場しているアホバカ妻、それとめったにこの日記には出てこないアホバカ子ども(長男、次男)の4人ですね。旅行したのはもうずいぶん前のことで、確か次男が幼稚園に入ったばかりのころだった。


 ボクたちは斑鳩の法隆寺を見て、法隆寺の奥にある法輪寺と法起寺へまわってみたのだ。


 法輪寺と法起寺はよく奈良の観光ポスターに登場している。皆様も奈良の田園風景の中に三重塔が建っているポスターをご覧になったことがあると思う。あの塔が法輪寺の三重の塔だ。観光ポスターといえば、京都なら清水寺近くの八坂の塔、奈良ならば斑鳩の法輪寺と法起寺が定番ですね。


 さて、ボクたちは先に法輪寺を見てから近くの法起寺に行った。法起寺では、ちょうど宝物館で寺宝の展示が行われていた。


 ボクたちは宝物館の入館料を払って中に入った。中には結構な数の観光客がいた。しかし、ボクたちは入り口を少し入ったところで足を止めてしまった。中がものすごく暗かったのだ。おそらく、展示品が痛んだりしないように、照明を押えていたのだと思う。だが、明るい境内から暗い宝物館の中に入ると、眼が暗さに慣れていないので、中が真っ暗に見えたのだ。


 すると、ボクの横に立っていた次男がタタタ・・と勝手に宝物館の奥に走っていった。アチャ~と思ったが、まだ暗さに眼が慣れていないので、ボクは次男を急いで追いかけることができなかった。


 仕方がないので、館内のぼんやりとした照明の中を、ボクは妻と長男と一緒にゆっくりと歩いて行った。宝物館の中では、展示品がガラスケースに入れられているのではなく、棚の上にじかに置いてあった。通路と棚の間にロープが渡してあって、そのロープに「中に入らないでください」という注意書きがぶら下がっているだけなのだ。ボクはそういった、おおらかな展示方法に共感を持った。


 さて、次男がどこに行ったのか心配だったが、宝物館の中を走り回って探すわけにもいかない。観光客でいっぱいだったし、それに、さっき書いたように館内が薄暗かったのだ。でも、宝物館は入り口と出口が一緒になっているので、奥には出口がない。だから、展示を見ながら進んでいったら、そのうち次男が見つかるだろうと思った。


 そうして、中へ進んでいくと、奥からドンドコ、ドンドコ・・と太鼓をたたく音が聞こえてきた。


 ボクは最初何かアトラクションをやっているんだろうと思った。


 展示品を見ながら進んでいくと・・太鼓の音が大きくなってくる。


 しかし、よく考えると、宝物館の中でアトラクションというのも何だかおかしい。どうもアトラクションではなさそうだが・・と思いながらさらに進んでいくと・・


 次男がロープをくぐって展示品の棚に上り、展示してある太鼓を備えられていたバチでドンドコ、ドンドコ・・と叩いていたのだ。


 ええ~と思ったときには、宝物館のお姉さんが血相を変えて飛んできた。


 お姉さんが「ボク、この太鼓はね、とってもとっても大切なものなのよ。だからね、叩いてはいけないのよ。やめてくれる?」と言うのだが、次男はやめない。あわてて、ボクが次男を抱き上げて、ようやく太鼓の音がやんだ。


 ボクが太鼓の横を見ると・・・『天平のなんとか太鼓』という説明があった。『なんとか』というのはもちろん正式名称ではなくて、ちゃんとした名前がありましたよ。忘れてしまったが・・・


 それで、ボクたちはお姉さんに散々謝って、宝物館を退出したという次第だ。


 ボクとアホバカ妻は思わぬ冷や汗をかいてしまった。『天平のなんとか太鼓』なんてものを壊したら、果たして修理はできるのだろうか・・


 しかし、その一方で、ボクは『天平のなんとか太鼓』は実にいい音色だったと思うのだ。音色を表現するのは難しいが・・・なんというか、キラリと澄んでいて、周囲に自然に染み込んでいくようで、心の琴線にじかに響くような、実にさわやかな音色だった。古き良き時代やものへの郷愁に結びつく音色といってもいいだろう。


 それに、次男の演奏(?)も結構うまかった気もする。ボクはもっと次男の奏でる『天平のなんとか太鼓』の音を聞いていたかったのだが・・そんなこと、とても宝物館のお姉さんは許してくれませんよね。


 だから、次男の『天平のなんとか太鼓』の演奏はほんの一瞬だったが、それは僕にとっては至福の一瞬でもあったのだ。。。


 で、街の祭り太鼓の練習を聞いていると、ボクはいつもこの一瞬の『天平のなんとか太鼓』の音色を思い出すのだ。インターネットに、和太鼓のプロの奏者が「太鼓の響きは思い出を呼び起こす」と語っている記事があったが、まさにその通りだと思う。ボクの場合は、街の祭り太鼓が『天平のなんとか太鼓』を思い出させて、さらに『天平のなんとか太鼓』が古き良き時代やものへの郷愁を呼ぶという、思い出の二重構造になっているわけだ。


 さて、皆様は太鼓の音でどんなことを思い出しますか?


 夏祭り?・・屋台?・・それとも一緒に夏を楽しんだいとしいあの人のことでしょうか?・・

 

追記


 先日、18,000円の超格安パソコンを注文した話を書きました。で、パソコンが届いて・・いま、それを使っています。この原稿もそのパソコンで打ちました。


 調子はどうかですって? 一点だけ気になっています。使っていると、なぜか液晶画面の下部が熱を持ってくるのです。ただ、ある程度熱を持つと、それ以上は熱くならず、今度は冷えていきます。つまり、液晶画面の下部が熱くなったり冷えたりを繰り返しているのです。あまり気にはならないのですが。・・・それ以外は、今のところ、問題なく順調に動いていますよぉ。。。


 えっ、そんな安物のパソコンを使うから、こんなどうしようもない話しか書けないんだって? そ、それは・・どうしようもない話しか書けないのはその通りですが・・ボクの能力の問題であって、パソコンのせいではないと思いますよぉ。。。

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