114 2月20日(月) シミーズとスリップとキャミソール

 妻が唐突に僕に言った。


 「あなた、シミーズって、もともと昔のフランスの男性のシャツだったんですって! 知ってた? さっき、テレビでやってたのよ」


 僕がそんなことを知っているはずがない。僕は女性下着研究家ではないのだ。それで、僕はこう答えた。


 「シミーズってスリップのことだよね。ふ~ん、男性のシャツだったのか!」


 しかし、自分でそう言っておきながら。本当にシミーズとはスリップのことなんだろうかという疑問が残った。


 そこで、僕が神と仰ぐ『インターネット様』で調べてみました(「あんた、ヒマねえ?」という声が聞こえます)。


 すると、妻が言ったように、『シミーズ』というのは、フランス語の『シュミーズ(chemise)』から来ていて・・『シュミーズ』はもともと男女の肌着で、フランスでは男性用として使う場合、シャツを指す言葉だったのだ。


 で、『シミーズ』と『スリップ』と『キャミソール』がよく似ているのだが、一口で言うと、違いは次のようなものらしい。


 まず、『シミーズ』は前出のように汗などを吸い取る肌着なのだ。当初は、今のスモックのような衣服で肩紐ではなかったのだが、やがて、今の肩紐方式に移行していったのだ。


 一方、肩紐方式である点で、『シミーズ』と形状が似ている『スリップ』は、肌着という訳ではなく、ドレスの滑りを良くするために身に付けるもので、このため、ナイロンなどの滑りが良い化学繊維が素材として使われている。


 そして、『キャミソール』は肩紐が細い肌着または服のことで、『シミーズ』や『スリップ』と比べると腰のあたりまでしか長さがないのが特徴だ。そして、『シミーズ』は肌着にしかならないのだが、『キャミソール』は肌着にも服にもなるのだ。


 これらは、出現した時代が異なっている。どういうことかというと、もともと『シミーズ』があって、『シミーズ』に取って代わる形で『スリップ』が出てきたのだ。だから、僕のように『シミーズ=スリップ』として認識している人が多いらしい。


 そして、今は『スリップ』の代わりに『キャミソール』を着ることが多くなって、『スリップ=キャミソール』という認識の人が増えているらしい。


 こうして『シミーズ』、『スリップ』、『キャミソール』が混同されるようになったらしいのだ。しかし、前出のように厳密にはこの3つは全く違うわけだ。


 そして、この順番は、面白いことに女性の年齢層に直接当てはまるのだ。


 つまり、『シミーズ』は主に年配の女性に通じる言葉で、ある年齢以下の女性には通用しないのだ。ある年齢以下の女性は『シミーズ』とは言わず『スリップ』と言うわけだね。


 しかし、もっと若い若年層の女性には『スリップ』という言葉も通用しなくなって、今度は『キャミソール』と言うらしいのだ。お尻まで隠れる長い『ロングキャミソール』というのがあって、若年層の女性には、今ではこの『ロングキャミソール』が『スリップ』という言葉の代わりになっているらしいのだ。


 こうして、女性は『シミーズ』世代、『スリップ』世代、『キャミソール』世代に分かれるというのだ。


 つまりだよ。逆に言うと、『シミーズ』、『スリップ』、『キャミソール』のどの言葉を使うかで、女性の年齢が分かるというわけなのだ。僕は女性ではないが、女性でいうなら『スリップ』世代だったのだ。


 さて、これを読んでいらっしゃる妖艶美女のお姉さまへ質問です。・・貴女あなたは『シミーズ』、『スリップ』、『キャミソール』のどの言葉を使っていらっしゃいますか?


 今どき、『シミーズ』や『スリップ』って言ってたら、若い女性から「古い!」って笑われますよ。だから、今日からは『キャミソール』とか『ロングキャミソール』って言わなきゃね! 


 これをお伝えできるのが、今日のよかったことだよ。

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