69 6月27日(月) 星が消えた話
星が消えた話・・こういうタイトルだと皆様はきっとこう思われるだろう。
「ああ、アホバカ作家の作品に誰も☆を付けてくれなくなったっていうことなのね。でも、そんなの当たり前でしょ。あんな内容がない、くっだらない話に☆なんて付けられないわよ」
しかし、違うんだ。ここで言う『星』というのは、皆様が大好きなカクヨムの『☆』ではなくてね・・夜空に輝く星のことなんだよ。
皆様は何か不思議なものを見たのに、何故かそれを「不思議なもの」として認識しなかったといった不思議な体験はないだろうか? って、『不思議』ばかりで、分かりにくいですね。要は「不思議なものを見たのに何故か不思議だと思わなかった体験はありませんか?」ということです。
僕には一つあるんだ。
小学校1年か2年の時だった。僕の家はお風呂がなかったので、僕は近所のお風呂屋さんに行っていた。当時はお風呂のない家が多くて、みんな、町のお風呂屋さんに行っていたんだよ。
夜の8時ごろだった。僕はお風呂屋さんからの帰り道を一人で歩いていたんだ。道の周りは民家が取り囲んでいた。その道を歩いている人は、僕以外誰もいなかった。
僕はそんな民家の中の静かな道を、お風呂の洗面器を持って、一人で歩いていたわけだ。
そんなとき、僕は何気なく前方の空を見上げたんだ。
道の両側に家が並んでいて、その家の屋根の上に夜空があった。雲一つなかった。星が出ていた。月も出ていたはずだが、月の記憶はないんだ。
右前方の夜空に大きな星が浮かんでいた。それは、まさに『星』だった。つまり、五角形の『☆』の形状をしていたんだ。その『☆型をした星』は大きかった。暗い中空に浮かんで静止していた。そして銀色に少し黄色が掛かった色で光り輝いていたんだ。
小学校1年か2年の僕は「あんな☆型をした星が実際にあるんだ」と思った。しかし、その一方で、心の中では「☆型をした星なんて現実にあるわけがない」とも思っていたんだ。でも、この心の中の声はすぐに打ち消されてしまった。だって、信じようが信じまいが・・現に僕の眼の前に『☆型をした星』が浮かんでいたんだから・・
僕は立ち止まって、しばらくその不思議な『☆型をした星』を見上げていたんだ。『☆型をした星』は瞬くこともなく、銀色に少し黄色が掛かった光を発していた。
すると、『☆型をした星』が音もなくスッと左に動いたのだ。そして、反時計回りに円弧を描くように落下して・・消えたんだ。それはちょうど、ひらがなの『つ』の字を左右反対にして、あとをなぞったような軌跡だった。さっき書いたように音は全くしなかった。
今も僕は、その『☆型をした星』が反時計回りに円弧を描くように動いて消えたシーンをまざまざと思い浮かべることができる。
なんとも不思議な光景だった。
しかし、僕は何故か特段不思議なものを見たとは思わなかったんだ。
それから、僕は何事もなかったように歩き出して、家に帰ったのだ。
僕はこの体験は誰にも話していない。だって、こんな話をしても誰も信じないことは眼に見えている。この日記によく登場するお下品妻にも話していない。妻が信じないというよりも、妻はこんなサイエンティフィックな話にはまるで興味が無いのだ。妻の場合は信じる信じないという以前の、科学現象に興味があるかないかという問題なのだ。つまり、お下品妻には知性がないんだね。
しかし、今でもあのとき僕が見たものは何だったんだろうなあと思うのだ。一般的にはUFOということになるんだろうなあ。UFOって、焼きそばじゃないよ。未確認飛行物体(Unidentified Flying Object)のことだよ。
だけどね、ネットやなんかを調べてみたんだが、五角形の『☆型をしたUFO』なんて出てこないんだよ。僕の調べ方が悪いのかもしれないけれど・・どうも五角形の『☆型をしたUFO』なんて存在していないようなのだ。
じゃあ、ホントの星を見誤ったんだという解釈もあるんだけど・・ひらがなの『つ』の字を左右反対にした軌跡で動いて消えたってことが説明できないんだよ。
それに・・一番不思議なことは・・僕は『☆型をした星』を見てもさっき書いたように、そんなに不思議だとは思わなかったことなんだ。普通だったら『☆型をした星』が夜空に浮かんでいるのを見たら、いくら小学校1年か2年だったとしても、ひどく興奮すると思うんだ。だけど・・不思議なことに・・僕は何だか、それがそこにあるのが当たり前のように『☆型をした星』を見ていたんだよ。『☆型をした星』が静止していて・・ひらがなの『つ』の字を左右反対にした軌跡で音もなく動いて・・消えるところをね・・
そして、この体験を人に話すのは今日が初めてと言うわけだ。これが今日の「よかったこと」だよ。
それで冒頭で皆様に「不思議なものを見たのに何故か不思議だと思わなかった体験はありませんか?」って聞いたわけだ。
どう? 皆様には似たような体験はありませんか?
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