日が出た後は元の破(や)れ寺
ぽた ぽた ぽた ……
最初に思ったのは、わき腹に走る変わらぬ激痛。次に背中いっぱいに感じた台座の冷たさ。最後に見たのは四つん
つぶらな目を強く宙に
その背に深々と、恨みの
一体どこから飛び込んで来たのか。
最後の瞬間に現れた老僧が、我が身を投げ出し、新九郎の盾となったのだ。
「和尚さん!」
老僧の胸から突き出た脇差しの切っ先から、ぽたり、ぽたりと、
「うわあああ! ちくしょう……ッ!」
叫んだのは、悲しみか、怒りか……新九郎は自分の気持ちもつかめないまま、動かない足を強引に振り上げ 、向こうに見える怨霊大将のすねを、必死で蹴り飛ばした。
「
「てめえは負けたんだ。もう、
静かに言った真咲の大刀が、闇と救いの
最後の怨霊、アモリナガサトの昇天を見届けると、老僧はゆっくりと視線を下ろした。
泥と血にまみれ、
老僧の胸から、まるで異物のように突き出す
老僧の眼には
「よくこそ、よくこそ
「和尚さん……。待ってくれ……和尚さん……」
「そもじも、
新九郎を見やって、にっこりと
日が完全に山の上に昇った時、そこに現れたのは、荒れ果てた
磨き上げられていた大床は、風雨にさらされてあちこちがめくれ、三人が泊まった
怪異の気配は、最早、
所々に穴のあいた本堂の
重傷だったのは
今は真咲が、半身裸にした彼に、
「ちくしょうが! 長い夜だったぜ! ったく、冗談じゃねえ。後から後からわいて来やがって、一体、どんだけ怨念強いんだ」
痛がる新九郎の
「強いはずさ。みんな、この寺で
手当ての間、新九郎の体を支えていた凌介が、ぽつりと答えた。
「どういう事だ……?」
真咲の
あの猛烈な戦闘の中で、奇跡的に残っていた
開かれた
「忘れていたよ。
「尼寺……!」
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