なんとも奇怪 闇中の読経
怪異が
「なに、後は
とは、化け物はいないと判断し、みるみる元気を取り戻した真咲の
そこで凌介は書庫も兼ねた
「何も……異常はねえみたいだな」
講堂に来た真咲はそろそろと
ここは名の通り、高位の僧が経典を講義したり、説法を行う室で、僧侶が集団で学ぶ
本堂と同じく
講堂の
「うへ……」
真咲は顔をしかめながら
「ったく、
答えるように、ミシッ、と
「へっ、怪異なんざ、
わざと大声で笑ってみたが、納戸の闇は、しんとその声を飲み込んで沈黙している。
道々新九郎をあざ笑って来たが、本当は真咲も
しかし勇猛で鳴る二番隊長、悲鳴を上げて逃げ帰る
「……いるなら出て来てみやがれってんだ。」
誰にともなく捨て
始めは、
それとも、奥山に獣が吠える声か?
いや……違う。
目の前には
その闇の向こうから、かすかに何かが聞こえてくる。
音?
違う。声だ。
それも人の声、女の声だ。
夜風が吹き抜け、ざわざわとなぶられる
それは徐々に大きく明朗になり、やがて
一つではない。
たくさんの灯りと人影が、藪の中を、どうやら真咲のいるこの講堂に向かって、ゆらゆらと進んで来るようなのだ。
あれは……。
あれはなんだ……?
真咲の全身がぞっと
今ではもうはっきりと解る、物悲しく、呪うような
竹藪の向こうにだんだんと見えてきたそれは、大勢の尼たちが薄気味悪い声をそろえて
「なっ……!?」
何人、いや、何十人いるのか。真っ白な衣に身を包み、ぼんやりと光る
「こりゃ、ヤベえ……!」
直感的に身の危険を感じ、真咲は小窓から飛び離れると講堂を飛び出した。
背後の
「で……出た……出やがった……!」
ようやく明るい
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