噂と違って拍子抜け
「うおっ、こりゃあ……」
山門をくぐった真咲が、驚きの声を上げる。
凌介も思わず眼を丸くした。
「本当に、ここなのか?」
一足遅れてきた新九郎が、ポカンと口を開けて立ち尽くす。
三人の目前には、
美しく
回廊につるされた
渡り廊下でつながれた小さな
問題の
驚いたのは、それだけではない。
本堂の灯火の下で、
信仰心
「おいおいおい、どういう事だよ。ここは誰も近づかねぇ、化物が出る寺じゃなかったのか」
「なんだよ影。怪異に
真咲の
「最初に拝んどこう。どうか変なものが出て来ませんように……」
二人の横で、新九郎が真面目くさって両手を合わせている。
「出て来なさそうだね、この様子だと。良かったじゃないか。あとは寺の誰かに
「ちぃっ、ったく、気が抜けちまうぜ!
「やめてくれ! そんな事言ったら何か出るかもしれねえだろ!」
腕を振り回して
「上等だぜ! ははは、新九郎お前そんなに怖いのかよ? なっさけねェな、おめえ俺より年長だろうが!」
真咲が面白がって挑発する。
「うるさい! 歳は関係ない! 怖いものは怖い!」
顔を赤くした新九郎が食ってかかる。
「おいおい影、新九郎……中に聞こえるぞ、やめとけって」
凌介が呆れて止めた声も空しく、二人はぐっとにらみ合った。
「ハン、行き道じゃ真咲だってビビってたろうが!」
「ああん? なんだとコラ。いつ俺様がビビった、ええッ!」
「
「うるせえ! てめえだってなんだ! さっきはただの
「黙れ! あんな急に出て来たら誰だって驚くじゃねえか!」
「また始まった……。先行くぜ」
ため息をついた凌介は、
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