サイクルトレイン&ガイドツアー
先日、JR最高地点 (標高一三七五メートル) を走る
JR最高地点は俺が住む長野県の野辺山にあって、野辺山駅はJRで最も標高の高い駅。
小海線は山梨県にある
その名の通り、車窓から八ヶ岳を見上げ、林の中を通り、高原野菜の畑を眺める。千曲川を何回も横断して谷間を抜け、市街地と水田が交錯する。
春の桜、新緑、夏の高原野菜、秋の鮮やかな紅葉、夕陽を浴びたカラマツの紅葉は金色に輝く。冬は真っ青な空の下の真っ白な世界。キラキラキラキラ、無数のお星様が落ちているように太陽の光を反射する。お星様の正体は雪の結晶。目を凝らせば、雪上に一直線に続くキツネの足跡とか、ピョンピョンと跳ね回った独特のウサギの足跡とかも見えるはずた。
急いでいる時には少しじれったくなるけれど、のんびりと時の流れを楽しむのには素敵な列車だ。
列車は大体二両だけど、たまに一両だけのものも見かけるんだ。
完全な無人駅も多いし、列車の乗り降りは自分でボタンを押してドアを開閉させるんだ。
いい列車だろ?
自転車をそのまま持ち込めるというサイクルトレインは近年よく耳にするようになったけれど、この地域では初の試み。
今回は俺の住んでいる佐久地域のサイクルツーリズム促進の一環として組まれたイベントなんだ。
参加者は小海線の
野辺山高原でサイクリングと観光やランチを楽しみ、また小海線に乗って中込駅に戻るというもの。
参加者は定員の五十名強で、希望者には俺と旦那がガイドツアーで野辺山高原周辺をご案内し、帰りは隣の信濃川上駅乗車というものになった。
野辺山駅に到着した電車を出迎える。臨時列車は三両。いつも見てる物より
吊り革の下に前後のホイールを挟むスタンドが沢山置かれていて、そこに自転車を自立させて、紐で吊り革と自転車を結んで揺れても倒れないようにされている。座席に沿ってずらっと自転車。爽快だぜ!
チャチャっと外して各々バイクを片手にホームを歩いていく。
今回、直前まで天気予報が怪しかったんだ。サイクリングは天気次第で楽しさが随分変わってしまうけど、こればかりはどうしようもないんだよな。
雨降っちゃったら、冷たい、寒い、景色見えない、辛いっ‥‥‥てなりがちだ。
太陽が出なくて例え山が見えなくても、雨さえ降らなければラッキーぐらいの感じだったんだけど、よほど日頃の行いが良い方達が集まったのかな? お天気にも恵まれて、少し肌寒い高原だったんだけど、八ヶ岳に懸かっていた雲もどんどん吹き飛んでいって全貌を現してくれた。雪はもう谷間にほんの少し残っているだけだ。
どこまでも広がる野菜畑や牧草地。紫っぽいサニーレタスの列と緑のグリーンレタスの列が交互に敷き詰められて鮮やかだ。太陽の光を浴びた美しい風景の中のサイクリングを楽しんでもらえたぜ!
高原の風。いいだろ? 今回はちょっと強くて冷たかったけどさ。
自転車に関係なく、車で観光しても充分に風景に癒されると思うけど、自分の脚を動かして心拍数を少し上げて高揚した気持ちで見る景色っていうのは格別なものがある。風を感じて自然と一体化する感覚っていうのかな。自分がその風景の中の一部になって溶け込んでいるような。自転車にはそんな魅力もあると思う。
ランチタイム。ツアーの人達に出してもらったお蕎麦は何と三人前の大サービス!
ツーリング途中で寄った牧場のソフトクリームとアイスクリームも今回は五十円引きの大(?)サービス! ここ野辺山とお隣の清里は乳製品が美味しくて、旨いソフトクリームがいっぱいあってさ。
それぞれのお店の味があって、それぞれすっごく
そんな野辺山の味も堪能してもらえたんじゃないかな。
やっぱり身体を動かせは
今回のガイドツアーは少人数に絞らせてもらったんだ。ペンションではお店単位でとか普段走ってる仲間グループとかレベルが揃っていればもうちょっと大人数でガイドとかも出来るけど、参加者のレベルも把握出来ないし、みんなバラバラの所から来るから、自分達の目がちゃんと届くように九名の参加だった。
参加条件は、スポーツバイクを持っていて五十キロ以上走れる人で、のんびり走るツアーだ。
参加者全員に楽しんでもらえる事が大切なんだ。
設定したコースは難しくなく出来るだけバラエティーに富んだものにしたけれど、中には少し大変だった方もいた。
ランチの前に、野辺山の中でも八ヶ岳が正面にバッチリと見えて美しい景色が一望出来る高台に上ったんだ。一キロ位の坂。
その中間地点位で自転車から降りちゃった人がいて、キツそうに座りこんじゃったんだ。一台伴走の車が付いてきてくれてたから、車に乗る事も出来たんだけど、少し話して休み休み上る事にした。青いウェアを着てたからアオさんにしよう。
聞けばアオさんは数年前まではロードに結構乗ってたんだけど、病気をしたりコロナの影響もあってここ三年位は運動らしい運動はしてなくて、本当に久々にロードに乗ったんだと。こんなに走れないなんて情けない‥‥‥と嘆いていた。
「ここは標高も
ってそんな言葉使いはしないけど、一緒に少し歩く事にした。
おい!
ゆっくり、もっとゆっくりを連発しながら上ったぜ。
あー、やっぱり自転車はきつい。来なきゃ良かったとだけは思わせたくなかった。
一緒にランチを食べて、後半どうなるかな? って見ていた。
「少しずつ感覚を思い出してきました」って、ちょっと青ざめていたアオさんの顔がどんどん明るくなるのを見て嬉しかったな。これをきっかけにまた少しずつ乗るようになってくれたらいいのにな。
最後の方はほとんど軽快な下りだぜ。
帰りの電車の時刻が決められているから、何かトラブルがあっても上手く調整して、時間通りに進行しなきゃいけないっていうプレッシャーもあったけど、トラブルも無く、時刻通りに電車に乗り込んだ参加者の方達を見送る事が出来た。今回は振興局の方と一緒に企画の段階から関わらせて頂いていたから、イベントが無事に終了してホッとした。
普段から自転車に夢中っていう人達に限らず、今回のように初めて会った人達が自転車という共通の物を通して一緒に楽しむ。一緒に走って同じ景色を見て喜びを共有する。そんな時間も素敵だなって思う。
俺が大好きな自転車だから、これからもそんな幸せな時間を作るお手伝いが出来ていけたら俺自身も幸せだぜ!
今回のイベントは初めの一歩。
今後も定期的に小海線サイクルトレインが走るようになったらいいな。
小淵沢駅と小諸駅を結ぶ小海線をそのままどこでも乗車下車出来るようにしたり、特別に走らせる臨時列車のサイクルトレイン以外にも、通勤通学などの混雑時以外は常にスタンドを何台か備え付けておいて、いつでも自転車そのまま持ち込み可能とかになったらいいなって思う。日中、小海線はガラガラに空いてる事が多いからな。
佐久地域のサイクルツーリズムの今後益々の発展を願ってるぜ!
今回は俺言葉があまり似合わねえ真面目なレポートみたいになっちまって面白くなかったかな。申し訳ねえ。ま、たまにはこういうのも良いだろ?
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