第7話

「今日はありがとうございました」

「こちらこそご足労いただきありがとうございました、これからもよろしくお願いします」

打ち合わせ自体は何事もなく無事に終わった

途中からはあちらの上司さんも加わり終始和やかに進んでいった

彼女の態度は打ち合わせが始まってからは取引相手のビジネスとなんら変わらず、意識しているのがこちらだけのように見えて俺だけなにも変わってないなと少し落ち込んでいた


会社に帰ると部長が上機嫌で待っていた

なんでも向こうの上司さんからお褒めの言葉をいただきこれからもよろしくとのことだった

まあ部長の機嫌のよさはきっともっと別のことへの期待だろう

と辟易する気持ちをおさえつつ残りの仕事をこなして退社した

会社を出るとすぐに会社用の携帯に電話がかかってきた、なんだろ忘れ物でもしたっけ?

「はい、斉藤です」

「あ、前田です」

「え?前田先輩ですか?」

「そうですー、前田先輩だよー」

よく知ってる、あの頃と変わらないイタズラっぽく笑いながら話す先輩だった

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