六節「アレスとの記憶」
この二つのことを聞いたあと俺はいずれ『鬼神』になる者だと告げられ、ますますどうすればいいのか分からなくなった。なんで俺なんかがそんな事をしないといけないのだと。分からないことが多すぎる。目が覚めれば記憶がなく。記憶を取り戻そうとすれば殺されかける。
「なんで。なんで、なんで、なんで、なんで。なんで、俺がこんな事を・・・」
「今の鏡夜には荷が重い話だろうが、受け入れるしかない。それが運命なんだから」
「なぁ、本当に俺が神になるのか?」
「鏡夜が記憶と力を取り戻すなら神になる可能性は高い」
「なら、その運命を変えることはできると思うか?」
「え?世界を滅ぼすって言う運命を?」
「あぁ、変えられるなら変えてやるさ、こんな運命」
「そんなのできるはずがない。鬼神は破壊の神だ。俺の記憶と歴史がそれを証明している」
そうだ。鬼神は世界を二度、破壊している。けど、それは違う気がする。神とは全知全能のはずだ。なら破壊以外にも出来ることはあるはずなんだ。
「なら、俺が証明する。破壊以外に出来ることがあると。そうでもしないと今の俺の生きる意味が無くなってしまうから」
こんな事を言ってる自分は正気ではいと思ってる。運命を変えるだなんて規格外の事だ。炎神は少し考え、ため息をついた。
「わかった。鏡夜を信じる。だけどもし、鬼神となって破壊をするなら俺たち六神はもしかすれば君の事を殺すよ?」
「そうしてくれ」
お互いに約束をした。俺は鬼神になって世界を滅ぼす運命を変える。アレスは俺が世界を滅ぼし始めたら殺す。本当にできるかなんて分からないが自分が出来ること生きる意味はこれしか無いから。
「そうだ。鏡夜、鬼神になるなら六神の力がいる。その前提としてこの首飾りを持っているといいよ。ゼロからの預かり物だ」
六つの宝石がついた首飾りだ。どれも黒ずんでいる。
「この、
煌炎剣。炎神の属性武具だ。見た目は機械仕掛けの大剣だった。その武具に触れてみる。すると意識は暗黒へと反転する。
視界が広がりある景色が見える。桜が広がる景色。
「よう!久しぶりだな、鏡夜!」
「アレス?」
見た目はアレスなのに話し方が全然違った。
「そうだよ。忘れたのか?八十年ぶりに会うのにそんな反応かよ」
「え?俺はあったこと・・・」
「あぁ、そっか。お前は自分の罪を償う為に記憶を消したのか。だったら、思い出させてやるよ!俺との記憶を!」
彼は俺の胸を軽く拳で殴った。するとアレスと過ごした日々。共に戦った日。彼との記憶を全てを思い出したのだ。
「あ、あぁ、あぁぁぁぁ」
涙が出てきた。どうしてこんなにも大切な仲間の事を忘れていたのだろう?
「泣くなよ。お前はあの戦いの後に自分の記憶を消したからだ。だからこれから取り戻せばいい。残りの神に会って記憶と力をな。そして俺たちがいた世界を取り戻してくれ!」
そう言い彼は離れていく。
「まって、まだ話したいことが!」
何も言わず、ただ笑顔で手を振って消え去って行ったのだ。いつの間に元の部屋に戻っていた。
「ありがとう、アレス。俺はまた君に救われたよ」
「いいよ。俺ではない俺だけど。同じアレスだから泣いていいんだぜ」
炎神。アレスも優しく抱きしてくれる。その中で俺は泣いてしまった。首飾りの宝石を一つ光らせながら。
ここから俺は記憶と力を取り戻す物語が始まったのだ。
to be continued...
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