最終節「最初の旅立ち」
数時間後
アレスから残りの五神に会うには大陸を超えないといけないと言われ、このソル大陸から旅立つ準備をしていたのだ。でも気になる事があってアレスの所へ行き王室をノックする。
「アレス、鏡夜だ。聞きたいことがあるのだがいいか?」
「いいよ、入ってきても」
彼はいつもと変わらない雰囲気で玉座に座っていた。
「そういえば起源属性武具と普通の属性武具の違いってなんだ?」
そう言い、彼の隣の地面に座る。
「あれ?説明してなかったかい?なら説明するよ」
そう言い属性武具と煌炎剣を取り出した。
「簡単に言えば規模の問題だよ。普通の属性武具は少しの炎しか操れない。けどこの煌炎剣になると自然への干渉が可能なんだ」
「自然への干渉。つまり火山とかの炎も操れるってことか?」
「そうゆう事。火山もそうだけど太陽を生み出すことも出来るし青い炎を出して自分の身を守ることだって出来る」
「そうだ。その青い炎はどういう仕組みなんだ?」
「これはとしての炎神の能力だよ。身に
そう言いながら申し訳なさそうにこちらを見ていた。
「そのことはいいよ、もう気にしてないから。だってアレスにだって事情があったからさ。それを責めるつもりはないよ」
「そうか。ありがとう」
俺はその場から立ち上がり離れたのだ。
「聞きたいことはそれだけだから準備するな」
そう言い王室を立ち去った。
部屋に戻ると意外な人がいたのだ。
「どうもこんばんは。キョウヤさん」
「ルミナさん。どうしてここに?」
彼女は俺の食事を出してくれたり服をくれたりはしてくれたけど、こんな風に夜、部屋に来ることは無かった。
「これを渡したくて、待ってました」
そう言い渡されたのは御守りだった。
「御守り?」
「はい。昔、旅に出た父にも渡した物です。ですが父は亡くなってしまって・・・キョウヤさんには生きていて欲しいと思って作らせてもらいました」
初めての感覚だった。人に生きてくれなんて言われるのは。優しく暖かい。そんな言葉に聞こえたのだ。
「少しの間でしたが一緒に入れて良かったです」
「こちらこそ、ありがとうございます」
お互いお辞儀をして握手をした。
「家族のこと思い出せるといいですね」
そう言って彼女は部屋を出ていった。
「家族。そう言えば何一つ出てこないな。家族の思い出」
自分は最初から神ではないのはわかっていたが、家族の事はひとつも思い出せていなかった。
「これから思い出せればいいな」
そんな事を考えながら出発の準備を再開した。
次の日の朝。
「鏡夜。すまないな、色々と」
「いいよ、アレス。これは俺の決意だ。この先、何が待っていようと乗り越えていくつもりだから」
握手をし、「またな」と言うアレス。
俺は手を振り歩いていくだけだ。
二日ほど歩き続けると港に着いた。
「ここが港か。貿易の多いこの国はやっぱり船が多いな」
ある程度、下調べをしていた。旅をするにも知識がいる。その国の法律やマナーを知らなければ旅なんて出来ないから。
「とりあえず乗れる船が無いか見に行かないとな」
ここから1番近い大陸。リト大陸を目指し船を探さなければならない。資金の方は炎神から貰っているから心配はない。
「すいません。リト大陸行きの船はございますか?」
「リト大陸ですか?ありますが・・・珍しいお客さんですね。こんな時期に行くということは旅人さんですか?」
「旅人で間違いはないけど、こんな時期とはどう言う事ですか?」
「今リト大陸では、風神様の誕生祭を行っているですよ。だからこの時期にメル大陸に行くと昔は世間知らず扱いを受けていたのですよ。風神を祝うなら早くに来いと言う方が多くて・・・だから今、この時期に来るのは旅人しか来ないからそういう事はないですが・・・」
「そうだったのですか。でも行かないといけないので」
「はい。二日後に出航の船があります。こちらはチケットです」
「ありがとうございます」
チケットを受け取り、宿を探す事にした。
数時間後、酒場にて
酒に興味があり頼もうとしたが、自分の年齢が未成年かどうかをはっきりと覚えてなかったため頼むのをためらってしまい、おとなしく飯だけ食ったのであった。リト大陸に行ってまず何をするかを整理しよう。風神に会わないといけないのは分かるが会う手段がない。そういえば炎神に困った時の為にと1枚の紙を渡されたな。その紙には"風の神殿"に行けと書かれていた。
「風の神殿?そういえば炎の神殿のことを本で読んだな」
炎の神殿は元々、あったらしいがソルリアスの城になってしまったから、実質王室が炎の神殿になっているらしい。だが他の国では神殿と城は別になっているらしいから、ひとまず神殿を探すところからスタートだ。
2日後、出航日
「乗せてもらってありがとうございます」
「いえいえ、旅人さんですし。この先の旅に神々の加護がありますように」
そうして、神々に会う旅がどれだけ残酷なものになるのかまだこの時は知らない。
to be continued…
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