4章

31話 家族計画



 私……いや、俺は渋谷チャラオ。


 高校2年生。ひょんなことからこのゲーム、俺なじの世界に転生した。


 いろいろあったが俺はチャラオとして、ヒロインたち全員を幸せにすることを決めた。


 場所は、義姉アーネの家。その大きなリビングにて。


 この場には俺なじのヒロインが集まっている。義妹のマイ。幼なじみのナジミ、義母のママコ。義姉のアーネ。そして学校の先輩のフウキ。


「チャラオ……さっきの発言、本当なの?」


 ナジミが俺を見て言う。その目には、正気を疑ってるような色合いが見て取れた。


「ああ、大真面目だ。俺はハーレム王となる」


 俺の力強い宣言に、マイとフウキ、そしてナジミは困惑している様子だ。無理もない、こんなこといきなり言われたら、戸惑ってしまうだろう。


「あの……その……お兄様。具体的に……ハーレム王とは?」

「言葉の通りだ……。俺は、ハーレムを築き上げる。おまえたちヒロイン……全員を愛する!」


「あ、愛するとは……」

「全員、抱く! その上でおまえらも、子供も、全員幸せにする!」


 唖然とするマイ。ナジミは「いやいやいや」と首を振る。


「ちょっとどうしたのよチャラオ! あんたらしくもない!」

「ナジミ、俺は真面目だ」


「大真面目にハーレムとか言ってたらそれはそれは問題よ!」

「ああわかってる! 俺が間違ってると! でも……! 間違ってるからなんだ! 俺は全員を幸せにするんだ! 誰一人として例外は作らない!」


 ナジミがぽかんとしてる。


「いや、あの……え? どうしてこうなったの? ねえ、誰の差し金?」


 ナジミがヒロインたちを見渡す。マイとフウキはふるふると首を振り、アーネはぼーっとしてる、ママコはあらあらと笑ったままだ。


「どー見てもこの二人のどっちかね……」


 はぁ~……と特大のため息をついた後、ナジミが言う。


「チャラオ。あんた、正常じゃないわ。いったん落ち着きなさい」

「ああ、俺は冷静だぜ」


「冷静じゃないから言ってるの! あんた、どうしちゃったのよ?」


 ナジミはまだ俺の意見に賛同してくれてないようだ。無理もないだろう。突然自分の彼氏が妙なことを言い出したのだ。頭を打ったとか、頭を打ったとか、頭を打ったって思ってもしょうがない。


「俺は……悩んでたんだ。ナジミ以外の女を抱いてしまって、この先、どうすればいいのか。この先、どうしたら、みんなを悲しませないですむか……」


 だが、そんなとき、俺に光明が差し込んだのだ。

 暖かく広い心で、俺を肯定してくれた……ママコの存在が、俺を導いてくれたのだ。


「誰か一人を選んだら、選ばれなかった人が悲しむ。ならば、全員を愛せばいい!」

「な、なるほど……お兄様の言うとおりかもしれません」

「わかってくれるか、マイ!」


 マイは、不承不承いった感じでうなずく。


「正直気が進みませんが、形はどうであれ、わたくしのことをあいてくれるのであるのなら、受け入れます」


「ちょ!? しょ、正気!? ふ、フウキ先輩は!?」


 今まで黙っていたフウキ先輩に、みんなの視線が集まる。


「渋谷……かぁっこぃ~♡」

「せ、先輩……?」


 戸惑うナジミをよそに、フウキ先輩が言う。


「渋谷……なんて男らしいんだ……♡」

「ちょ!? あんたまで洗脳されてるんですけど!? なに、チャラオから毒電波でも発せられてるの!?」


 それは否めない。

 俺は現在、自分でもどんなスキルを持っているか把握できていない。ヒロインの精神医干渉するスキルがあるのかもしれない。わからない。あとできちんと確かめないとな。


 ともあれ、ナジミ以外のヒロインたちは、現状にいちおうは納得してくれたようだ。


「ナジミ、おまえはわかってくれないのか?」

「い、いや……よ。あたしは、やっぱりあたし一人だけを見ててほしい……」


 顔を赤くしながら彼女が言う。独占欲。それは誰にでもあるもの。俺をそこまで深く愛してくれてる証拠だ。だが……俺は決めたんだ。みんな平等に愛すると。


「わかってくれないか」

「ごめん……」

「いや、いい。反発されるのは織り込み済みだった」

「そ、そう……じゃあ」


 俺はうなずいて言う。


説得ワカラセだ」

「は……? せ……え?」

説得ワカラセだ。わかってもらえるまで、俺はおまえを説得ワカラセる!」


 俺はナジミをお姫様抱っこして、寝室へと向かう。


「ちょ!? チャラオ!? なにするの! 話して!」

「大丈夫、きちんと説得しあえば、きっとわかってくれるはず……俺の本気が!」

「わけわかんないわよぉおおおおおおおおおおおおおお!」


 俺はナジミを連れてベッドへと向かう。そして……。



★以下部分は????の検閲により削除されました。ご了承ください。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

★????視点


※『各員へ業務連絡』


※『個体名:渋谷チャラオの著しい精神汚染が観測された』


※『チャラオによる違反行為がおこなわれた模様』


※『すぐさま修正が行われたが、思考回路に変質が見られる』


※『サポーターへ通達。即日、走狗マウスを駆除、しかる後にチャラオを正気に戻すこと』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る