30話 ハーレム王に、俺はなる!
★ナジミ視点
チャラオが行方不明になってから一週間が経過した。あたしは彼を昼夜問わず捜索した。警察にももちろん連絡したし、気に食わないけどマイ、そして1学年上のフウキ先輩にも助力を願い出た。
いくら探しても見つからず、途方に暮れていた……そのとき。
チャラオ本人から連絡があったのだ。急いでマイと駆けつけたところ、都内にある高層マンションにいるらしかった。
一階がショッピングモールになってる、巨大なタワーマンション。その上の階に……チャラオがいた。心の底から安堵した。大好きな彼が無事だった。涙が出てしまった。
「チャラオ……!」「お兄様……!」「渋谷……!」
あたしたちはチャラオの無事を喜び、そして彼に抱きついた。
「すまん、迷惑かけたな」
彼はあたしたちを見下ろして言う。……よかった、本当に、よかったよ……。
「お兄様、どうして連絡をくれなかったのですか?」
「そうだぞ! とても心配したのだからな!」
マイとフウキ先輩が少し怒り気味に言う。それは仕方ないだろう。事故に巻き込まれたのならしょうがないとなるが、自分から彼は電話してきた。トラブルに巻き込まれたのは言うまでもないだろうけど、それでも、もっと早く連絡がほしかったと思うのはしかたないだろう。
「悪い。ちょっと……立て込んでてな」
「……チャラオ、あんた、なんか雰囲気変わった?」
ここ最近、チャラオの雰囲気はコロコロと変わる。突発的な奇声をあげていた、かと思えば紳士的なしゃべり方となり、そして今は……普通だ。
なんだか普通の感じがする……いや、よく見ると、ちょっと目が……怖い。
「みんな……まずは紹介したいひとたちがいるんだ」
そう言って彼が呼びかけたのは、チャラオの母、ママコさんと、お姉さんのアーネさんだった。
「お母様! お姉様! どうしてここに!?」
マイが目を剥いて叫ぶ。
「マイ。ごめんなさい、数日家を空けて」
「あ、それはどうでもいいんで」
マイと母親、そして姉とはあまり仲がよくないと聞く。理由はまあ……チャラオのことがみんな好きだからだろう。
「ナジミ……すまん!」
チャラオはあたしに、直角に腰を曲げて言う。
「この二人と、肉体関係をもってしまったんだ!」
……肉体関係を持ってしまった。
ニクタイカンケイヲモッテシマッタ?
NIKUTAIKANKEI?
「え、ええええええええええええええええええええええええええええ!?」
な、なな、どういうこと!? え、に、肉体関係って……!? え。えええ!?
「お兄様! つ、つまりこの雌どもをやったということですかっ?」
マイが食ってかかる。ライバルたちが自分の好きな男とやっていたのだ。そりゃおこるよ!
「マイ! 雌どもなんて言わないでくれ! 愛する女たちなんだ!」
「ふ、ふふ、不潔だぞ渋谷ぁ……!」
顔を真っ赤にしてフウキ先輩が言う。
「そ、そんな……ま、まさか……い、一週間行方不明だったのは?」
「ああ! アーネとママコとやってた!」
ストレートすぎる!? え、なに!? あたしらがこんなに心配してたのに、その間ずぅうううううううっとえっちしてたわけ!?
「ふざけるなって思うかもしれない……! だが、すまない!」
バッ! とチャラオが頭を下げる。
「みんな、大好きなんだ! みんな……愛してるんだ!」
チャラオがあたしたちを見回す。その目は……本気だった。
「ナジミも、マイも、フウキも。アーネもママコも、みんな好き! ヒロインたち、みんなを愛してるんだ!」
ひろいん……? 何の話なのかわからない。でも事実は一つ。チャラオが……お、おかしくなっちゃった……! 前からだけど!
「みんなってどういうことよ!?」
「みんなはみんなだ! 愛してるぅ!」
チャラオがあたしらに近づいて、マイとフウキ先輩とアタシを抱きしめる。
「みんな幸せにする……! 絶対に誰一人として、悲しませない! だから……!」
チャラオは、高らかに宣言する。
「ハーレム王に……俺はなる!」
【ハーレムエンドDクリア】
【アーネがハーレムに加わりました】
【条件を満たしました】
【ハーレムルートが、『エロゲールート』へと分岐しました】
【成人用スチル、およびシーンが閲覧可能になりました】
【称号『ハーレム王見習い』を獲得しました】
【ユニークスキル『
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★××××視点
いえーい! エロゲールートきたこれぇえええええええええええ!
やっぱねー、これでしょ! ね!
えっちな女の子とのえろえろな日常! これよこれぇ!
いやぁ、待ってました待ってましたよ!
うんうん、君は
よくぞチャラオくんをこっちに導いてくれたよぉ! いやぁマジでサンキュー。いい働きだったね。
あとはハーレムメンバーに紛れて、彼がギャルゲールートに戻らないように監視しててよ。あと????どもの介入には気をつけてね。あとはチャラオ君と仲良くしてていいからさ。
「あの子に……」
ん? なに? どったの?
「あの子に、ひどい目に合わせるようなら、あなたでも容赦しないですからね」
わかってるって。別にさ、チャラオ君にひどい目に遭ってほしいだなんて一ミリたりとも思ってないのよこっちは。
単にね、君をふくめた俺なじヒロインズのえろえろなシーンが見たくて、君を送り込み、チャラオ君を堕落するように仕向けただけさ。
悪気はないよ。
「…………」
おいおいにらむなって。まじだって。エロスチルがのぞけるようになったからもうこっちの願いはほぼかなったからさ。あとはもうやりまくってよ。それをおかずにこっちはえろえろするだけ。ほんとそれしか考えてないからさ。
「……今はあなたを、信じましょう。でも……」
ん? なぁに?
「ちゃーちゃんに、もしものことがあったら、あなたを許しません」
あーはいはい、わかってるって、ママコちゃん。
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