仲間
死にたがりに種類があるように死神にも種類がある。
ざっくり分ければ二種類ある。
個人で活動してるか集団で活動してるかだね。
個人だとこの前のナイフ女みたいなのが多い。
あれは快楽殺人みたいなもんでその場にいたやつの答えがどうであれ殺す。
集団で行動してるやつは比較的常識人が多い。
ルカみたいなやつのことだ。
どっちが多いかは分からないそうだ。
これらが彼女聞かされた死神についての説明だ。
もちろんこれが全てというわけではないが、今はこれだけ知れていればいいのだろう。
ちなみにこの前のナイフ女は一種の快楽殺人鬼のようなもので、答えがyesでもno
でも襲ってきたらしい。
そんな感じの説明を受けているうちに彼女の拠点に到着した。
お金持ちの人が住んでるようなタワマンだ。
なんでも仲間の中に小金持ちがいるらしい。
仲間は僕とルカを含めメンバーは全部で五人。
男二人、女三人の割合だそうだ。
エレベーターの中でそんな感じの説明を受ける。
説明が終わっても上にあがり続ける。
とうとう一番上まで来てしまった。
一番上のフロアはその階すべてが一つの部屋となっているようだ。
本当に僕なんかが入っていいのかとドア前でそわそわしているとルカは思いっきりドアを開けた。
申し訳なく部屋のなかに入る。
マジで広い。
そして意外ときれいだ。
廊下を進みおそらく一番広い部屋に着く
「みんな注目ー--!」
ルカは無駄に大きな声で部屋中の視線をあつめた
「今日から私たち一緒に死神として活動することになったカイ君だ。いろいろ教えてやってくれ。」
僕の予想とは違いみんな歓迎ムードだ。
「どうだ?驚いたろw」
嬉しそうに聞いてきた。
正直すごく驚いた。
こういうのは普通、最初嫌がられてるけどだんだん仲良くなっていくものだと思っていた。
予想とは違う反応に驚いていると早くも自己紹介が始まった。
「僕はアラヤっていいます。おもに身分の偽造とかお金の管理を任されてます。男は僕だけだったからなんかうれしいな。ちなみにこのマンション僕が管理人なんだ。よろしくね」
しれっとすごいことを言っていたな。
小金持ち?
それどころではない気がするが気にしないようにしよう。
いちいち気にしてたら疲れて仕方ない。
そんなことを考えていると今度は別の人が自己紹介を始める。
「死神になりたいなんて珍しいのね。私はアリア。よろしく。」
えらくあっさりとした自己紹介だったがこのくらいがちょうどいい。
ルカよりは声が低くクールな感じだ。
見とれていると次の自己紹介が始まる。
「リンです!十七歳です!いやー仲間ができるっていいねぇ。なんかわからないことあったら何でも聞いて。わかる範囲で答えるから!」
とてつもなく元気だ。
でもこういう子がいたほうがなんだか楽だ。
最後になってしまったが自分の紹介を始めた。
「カイっていいます。もともと死にたがりだったんですけどルカに出会って死ぬのやめました。死神のしの字も知らないような男ですがよろしくお願いします!」
みんなから拍手が飛んできた。
僕は初めて友達ができたような気がしてうれしかった。
その日は遅かったため一度寝て次の日に説明を受けることにした。
目が覚めて昨日の部屋に行くとアラヤがソファーに座って本を読んでいる。
おはようと声をかけると読んでいた本を閉じ、あいさつし返してきた。
こうやって見るとただの優男金持ちだ。
ほかのみんなは死にたがりを手伝いに行っているらしい。
「この国には年間数万人の死にたがりがいる。それって一日に自殺する人の量がものすごく多いってことだ。まったく耳に痛い話だよ。」
アラヤが悲しそうに言った。
僕もアラヤも少しの間下を向いてなにも話さない。
三十秒くらいしてアラヤが謝ってきた。
「ごめんな。朝から気分悪くしちゃって。なんか作るか。」
無理やり元気に話しているのが分かった。
どんな言葉をかければいいか分からなかった。
その後二人で朝食を作ることにした。
作っている途中アラヤが質問してきた。
「君は何で死神になろうと思ったの?」
僕は少し迷った。
ルカについて行きたいと思ったのに正直理由なんてない。
驚くほど無意識に出た言葉だったからだ。
考えろ 僕はなぜ死神になりたいんだ?
そんな時ふと死にたがりだった時の僕の姿が頭をよぎった。
ああ、こういうことか。
完全に理解した、なぜ僕が死神になることにしたのか。
「死にたいのに生き続けるのは辛いです。一種の拷問みたいな感じです。それがひどい人だと何年も何年も続くんです。そんな人たちが僕の一言で生きたいと思うはずがない。そんな都合よくはいかない。ならせめてその拷問から解放してあげたい。そう思ったからです。」
今僕が出せる理由を正直に話した。
アラヤはすっきりしたような顔をしていた。
僕も自分のモヤモヤしていたものがなくなった気がして気持ちがよかった。
そんな時変なにおいがした。
「カイ君やばい! 焦げてる焦げてる!」
アラヤが焦りながら火を消す。
そんな状況なのに僕もアラヤも笑っていた。
その後帰ってきた女組にメチャクチャ煽られた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます