死神のお仕事 前編

僕は今死のうとしている。

理由はいじめ。

生まれつき病弱な僕は学校を休むことが多くうまくクラスの輪の中に入ることができなかった。

そんな僕のことをクラスのみんなは受け入れるのではなく拒絶した。

はじめは陰口くらいだったのが次第にエスカレートしていき今では殴られたりけられたりとやりたい放題だ。

先生に相談しても「少しじゃれあってるだけだろ  いじめなんておおげさな」

と受け流される。

学校に行きたくないが親に自分がいじめられてるなんて知られたくはない。

そんな僕が出した答えは自殺しかなかった。

首を吊る勇気はなかったからシンプルに高いとこから飛び降りようととあるマンションの屋上まで来た。

不思議なもので死にたいのにあと一歩というところで前に進めない。

三十分くらいしたころだ。

後ろから声をかけられた。

「自殺かい?」

僕はマンションの人が来たのだと思いとっさに ”ごめんなさい!” と言ってしまった。

声の主は笑いながら言った。

「いいよ いいよ 私は君の手伝いをしに来たんだ 私はルカ 君みたいな人からは死神ってよばれてるかな。」

なるほど死神さんか…

これで僕は死ねるというわけか

死ぬという目的が叶うというのに僕は今まったくうれしくない。

むしろ来てほしくなかったと思っている自分がいる。

はたして僕は本当に死にてかったのか?

そんなことを考えていると死神が話しかけてきた。

「君名前なんての? どうやって死にたい?」

とたずねてきた

「僕 カイっていいます 僕本当に死にたいのかな?とか思っちゃって(笑)」

苦笑いをしながら尋ねるようにこたえた。

「おおぉ めずらしいね」

死神さんは嬉しそうにそう言うと僕に近づいてきて話始めた

「私は多くの自殺を手伝ってきた でも不思議なことに今の君みたいに死ぬかどうか迷うやつとはあったことがない 君はまだこの世に未練でもあるのかい?」

未練なんてあるはずがない それは断言できる。

とくに夢中になっていたものもないし何になりたいとかもなかった

じゃあ僕は何で死にたくないんだ?

いくら考えても答えは出ない

「これは私の勝手な考えだけど、死にたくないって思ってるなら君はまだ生きるべきだ 本当にどうしようもなくなったら私に連絡しな その時はきっちり殺してあげるから」

そう言うと僕に連絡先を書いた紙を渡し彼女はその場を去っていった。

その日は結局家に帰り今まで通り過ごした。

























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