極北の頭/水木レナ への簡単な感想

 応募作品への、主催者フィンディルから簡単な感想を置いています。

 指摘については基本的に「作者の宣言方角と、フィンディルの解釈方角の違い」を軸に書くつもりです。

 そんなに深い内容ではないので、軽い気持ちで受け止めてくださればと思います。




極北の頭/水木レナ

https://kakuyomu.jp/works/16816927862649305195


フィンディルの解釈では、本作の方角は北西です。かなり難しい判断なんですけどね。

本作はまず、ここがどこで、ここに誰が何人いて、誰が誰と話しているのかという状況がよくわかりませんでした。丁寧に読めばわからないこともないのですが、非常にわかりにくい。つまり文章のわかりにくさですね。

それとは別に本作は、どんな世界観なのかや首相は何者なのかなどの内容のわかりにくさもあります。こちらはわかりにくくてOKなところなのですが、内容のわかりにくさと文章のわかりにくさが混ざることで、ジャンルすら判然としないという状態になっているように感じます。

内容がわかりにくいからこそ文章はわかりやすいものにするのは、西向きの基本だと考えます。書いてある内容がわかりにくいのだから、わかりにくくする必要のない文章面は洗練させておく。それによって内容のわかりやすさに集中させる。内容面も文章面もわかりにくいと悪い混沌だけが残ってしまいます。

ただ文章面のわかりにくさというのは、南向きと捉えることもできます。ここがどこで誰が何人いて誰が誰と話しているのかもわからないというのは、南の領域においては価値と認められるところです。ただその場合にはそれらしい所作があるものですが(文章がマーブルになる感じ)、本作のわかりにくさは単なる文章技術に由来するものであるように感じました。

なので文章面のわかりにくさを方向性から除外してみると、天体を思わせる壮大っぽい世界観・ラグビーなどの突飛な描写・首相の掴みにくい殊勝かつ尊大さ、という不条理ギャグと考えるのが自然であると思います。ただ本作の場合は各種パーツが不条理ということではなく、それらのぶつけ方・合わせ方から不条理を醸成していますので、北西と考えるのが自然なのかなという印象を持っています。ギャグって北西あたりに収束しやすい印象があります。コメディは真北ですが。


個人的な解釈ですが、首相は北極星なのかな? という気がしました。天体を思わせる世界観、「極北の頭」というタイトル、北極星と首相ともに「人々に進むべき方向を指し示す」性質を持つ、みたいなところから北極星なのかなー? と思いましたが、これは余談となる個人的な解釈です。

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