スターダックスコーヒー 皆戸駅西口店/薮坂 への簡単な感想
応募作品への、主催者フィンディルから簡単な感想を置いています。
指摘については基本的に「作者の宣言方角と、フィンディルの解釈方角の違い」を軸に書くつもりです。
そんなに深い内容ではないので、軽い気持ちで受け止めてくださればと思います。
スターダックスコーヒー 皆戸駅西口店/薮坂
https://kakuyomu.jp/works/16816927862543322212
フィンディルの解釈では、本作の方角は真北です。北北西と少し迷いましたが。
おそらく「書かない」ことによる解釈の広がりに西向きを求められていると思うのですが、本作の「書かない」にフィンディルは西をあまり感じませんでした。
というのも本作には「書けるけど書かない」「作者は言語化しているけど、作中には書かない」というタイプの「書かない」を感じたからです。
西向きの「書かない」は「書けないから書かない」や「言語化に価値がないから、言語化すらしない」や「書くと作品が褪せる」という、作品の根から発する要請に作者が従っているだけなんですよね。
対して本作の「書かない」は「書かないことで読者の解釈を誘う」や「書かないことで雰囲気を出した」や「書かないことに意味を持たせた」という、作者主導の所作に感じられました。これは「書かないことで余白や余韻を作る」というエンタメにも跨る演出の一であるように感じます。
それでも読者がどう感じるかで方角は変わるんですけど、本作は「書きませんからね! いいですか、書きませんからね!」という作者の気持ちが文章に出ていて“書く”“書かない”の断面がハッキリ見えていました。それで北北西でなく真北というフィンディルの判断ですね。おそらく薮坂さんは「書かない」ことに慣れてらっしゃらないのだろうと思います。
ただ真北と思えば上品で良い作品です。上島くんは星野さんを不思議な人と感じていますが、フィンディルは星野さんを普通の文系の人だと思います。上島くんは普通の理系の人だから、星野さんに不思議な魅力を感じているだけで。多分本作の視点者が星野さんだったとしても、実は作品の手触りは変わらないんじゃないかなという気がします。星野さんは上島くんのことを「不思議な人だな、面白い人だな」と感じているだろうと。その「不思議」って要は「惹かれている」ということだよね、とも。
そんな卑近な不思議が読んでて心地よかったです。
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