第五章 少しばかり重い話

 折り返しだし、自己紹介はそろそろ終わっても良い頃だろうか。話が脱線して、脱線した先で語りすぎてしまった。小説向いてないんかな僕。


 さて、この長い文章を態々わざわざここまで読み進めてくれている皆さんと、僕は勝手に仲良くなってきている気でいる。そもそもこのエッセイは、カクヨムで公開したあと、Twi○terのリア垢とInsta○ramのリア垢(どちらも鍵垢)にしかそのURLを公開しないつもりなので読者の大半が知り合いであることは当然なのだが。まかり間違ってカクヨムで偶然これを見かけてここまで読み進めてくださっている、良い意味で物好きな方々もいらっしゃるかもしれない。そんなあなた方とも勝手に仲良くなってきている気でいるので、この辺りでいくつか僕の過去の話をしようと思う。


 話したいことは大きく二つ。興味を惹けるように敢えてこんな書き方をするけれど、どちらも軽い話ではない。僕が元障害者であるということと、僕に「香織かおる」という名前をくれた今は亡き親友のことだ。もしもこの時点で読みたくないと思ったのなら、七章まで飛ばしていただいて構わない。人の重い話が苦手な人はきっと沢山いる。突き放す意味ではなく本当の意味で、読みたくないのなら読まなくて良い。


 では一つ目から話していこう。僕が元障害者であるということ。ちなみに気になっている人がいたらあれなので説明しておくとこの障害者という表記に関して、障害者に害はないという意味で障がい者と書いてくれる人がいる。もちろんその気遣いは当時の僕もありがたいと思わなくはなかったのだけれど、正直なところ僕も、当時僕が通っていた病院にいた他の障害者も、おそらくその表記を気にしている人など一人もいなかったと思う。もっといえば、かえって変に気を遣われる方がしんどい部分もあった。ので、障がい者という表記を用いるのは一向に構わないしその考え方はとても素敵だとは思うのだけれど、それを義務のように感じる必要はないし、人に強要することなんかもしないでほしい。

 もう障害者でもなんでもない僕にこんなことを言う権利があるのかは分からないけれど、よかったら頭の片隅にでも入れておいてほしい。子供か子どもかって表記に置き換えたら解りやすいかも。自分らがお供え物みたいに思われてるとか感じたこと無いでしょ。よく考えたらどう言うことやねんって感じ。


 また脱線してしまった。本題に戻ろう。


 僕が持っていた障害というのは主に、解離性同一性障害という、所謂いわゆるところの多重人格だ。しかも小学四年生のときと中学二年生のときの二度であり、どちらも一般的なそれとは少し違う特殊型のものだったようだ。簡単に説明すると、突然意識がなくなって、体感的には次の瞬間に別の場所にいたり、別のことをしていたりするのだが、実際には意識がなくなっていたのではなく意識がもう一つの人格と入れ替わっていて、その人格が何かをしている間の記憶がない、というものだ。


 一回目の小学四年生の頃。当時いじめを受けていた僕は、医者いわく、その強いストレスによってその障害を持ってしまったらしい。ちょっと怖いことを書くので先に断っておくと、マジで今は無いので知り合いの皆さんは安心してほしい。


 当時の症状としては、気がつくと次の瞬間目の前で皿が割れていたり、酷いときには丸一日が経過していたり……といった感じだ。周囲の人が言うには、気性が荒くなって、突然泣き出したり、動かなくなったりしていたらしい。

 端的に言って非常に怖かった。多重人格なんてフィクションの世界の話だと思っていたので、いざ自分の身でそれが起こるとあまりにも信じ難かったし、自分が何をしているのか分からないという状況は当時十歳の僕にとっては恐怖以外の何物でもなかった。しばらく学校を休んで通院し一旦その人格も消えたものの、中学二年生のとき、家庭環境の悪化により再発。病院に行ってから学校に向かったり学校を休んだりしていたので、周りの人からは心配されたが、勿論その事は誰にも言っていたなかったので僕の同級生は多分いまこれを読んであーーってなってると思う。そんなことがありました。ちゃんちゃん。


 しかしそんなことがあったからこそ、視野が広がったし、人のことをよく見れるようになったと思っている。よく「大人だね」等と褒めてもらえるのだけれど、きっとこの恐怖を味わったからこそ、周りにそんな思いをしている人がいないか気を配れるようになったのだと思う。

 もう一度言っておく。当時と今とでは精神力も価値観も丸っきり違うので、再発の心配は無い。安心して今まで通り僕と接してほしい。

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