第十七話。ゴキッ!!

「....い」


「....おい!」


「起きろ!!」


うわ!?!!


何事、って凜か...


「何だよ、露骨に残念そうな顔して。愛おしの嫁たちじゃなくてごめんだったな」


嫁?誰の事なんだ...


「けっ!鈍感振りやがって。ま、いいさ。ほら、これ」


ん?何々?

おお!!これは!

やっと君も【特別風紀委員会】に入れたんだね!


「すっげー大変だったんだからな」


うぅ..まさか君がここまで成長するなんて、お父さんは感心したよ。


「何がお父さんだ。ったく...。」


でも、何でこれを僕に見せたの?


「何でってお前...鈍感だけじゃなくて記憶喪失までなってしまったのか?」


ごめん、ごめん。冗談だよ。

まあ、僕の我儘に付き合ってくれてありがとう。


「最初からそうやって素直に感謝すればいいのに。お前に意地悪キャラなんかは似合わないんだよ。鈍感キャラやるなら最後まで貫き通せ」


はて、何のことだかわかりませんね。


「だから...まあ、いいや。で、今日この後はどうする?桜庭さんには俺は明日からでいいって言われたけど、お前は?」


そうだね...ちょっとまって今確認するから。

...うん、大丈夫そうだ。


「お、本当か?じゃ、どうする?どっか飯食いに行く?」


いいね、そうしよう。今日は入隊祝いってことで僕の奢りだ。


「当たりめーだろうよ、そんなの。今日はとびっきりの新しい店用意してきたから、覚悟しておけ」


はは、程ほどにね。僕は君のようにお金持ちじゃないから。


「まあ、足りなくなったら俺も出すさ。お前も今日は久々に仕事ないし、飯の後にゲーセンでもカラオケでもアニメショップでも行こうぜ」


そうだね。じゃもうそろそろ行こうーーーーちょっと待ってね。


ーーーあ、はい、もしもし。高峰です。あ、桜庭隊長、お疲れ様です。はい。はい。....え?あ、そうですか。はい。はい。すぐ向かいます。はい。いいえ、大丈夫です。はい。民間人の安全が大事なので。はい。わかりました。はい。それじゃ、失礼します。


「どうした?何かあったのか?」


あ~、その...今日は無理かも。G区で小学校に爆弾魔が現れたんだって。しかも校内にテロリスト集団もいるらしい。


「まじ?小学校?やばくない?俺も行った方がいい?」


命令来てないなら、君はいいよ。それにそのテロリストってまたいつもの奴らしいからね。


「【人類の夜明け】か?本当に迷惑な奴らだな」


全くだよ....。まあ、とにかく今日はもう無理だけど、後で埋め合わせするからね。


「いやいや、大丈夫だ。それより早くいった方がいい。この時間帯だし、まだ校内に子供いるかもな。というか絶対いるだろうな」


うん。ありがとう。本当にごめんね。


「ああ、んじゃ俺ももう帰るわ。気を付けな」

うん。また明日。


「おう」




「じゃな!!」





「うっ...」


また夢を見た。そのせいで頭が少し痛い。

悪夢を見ると、寝起きは悪くなるらしい。悪夢のはずないのにな。


さて、今何時だ?と、慣れた動作で枕元にある端末を手にする。


「やべぇ」


完全にやらかした。

いや、もう一週間やらかしたが、今日は本当に行くって決めてたのにまさか寝坊とは。

完全にだらし切ってるな、俺。


まあやってしまったものはしょうがない。とりあえず午後だけでも行くか。


と、ベッドから起きてシャワーでも浴びようかとその時ーーー


ピンポーン!


ん?誰だ、今の時間。

要たちは学校に行ってるはずだし、宅配便も郵便もないはず。訪問営業とかか?


まあ明けてみればわかるか...。


バンバンバン!!!

『おーい!!いるのはわかってんだぞ!!』


ヒェ!?借金取り!?にしても声が何かかわいいけど...。


『おーい!!開けろ!!開けないなら強引にいくぞ!!!』


こわっ!でも、多分部屋を間違ってるんじゃないか?とりあえずこちらに見覚えはないって伝えるか...。


『おーい!!10秒以内に開けなかったら扉壊すぞ!!10、9、8...76543ー』

「開けます!!今開けます!!」

やめろ!ドア壊したら修理費払うの俺だぞ!!


ガチャッ。


「今だ!一緒に抑えて!!」

「は、はい!!」

「え?要、あかり、どうしーーーうわぁ!!」





「痛い!痛い!!」

「洋さん、ごめんなさい!!」

「さあ、観念しなさい、洋。今日こそ部屋から出て学校に行くと言うまで離さないよ」

「い、痛い!!肩が外れる!!い、行く!!行くから!!とりあえず離してくれ!!」

「そう簡単には行かないよね。でも、今日は容赦しないwーーん?なんて?」

「だから!行くって!!」

「洋がそんな簡単に...ま、まさか、私たちを騙して離した瞬間に逃げる気なんだね!?そうは行かないよ」

「いや、だから本当に行くんだって!!今日は寝坊したけど、先まで学校行く準備してたんだって!!」

「本当に強情なやつ。だけどいつまで耐えられるのかな」

「ごめんなさい!洋さん、本当にごめんなさい!」

「いや、どうしたらいいんだよ!!君たち!!まずは俺の言うこと聞けって!!痛い!!あかり!!そこ!そこはダメ!!本当に外れるぅ!!!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!!私は言われた通りやっただけです!!」

「まだ諦めないようね。いいよ、本当に行くって言うまで離さない!さあ、言え!!」

「だから行くって!!ていうかも逝く!!学校行く前に俺が逝くって!!死ぬ!!死んでしまう!!」

「死ぬまで話す気はないって?!!」

「いや、だからーーー」


ゴキッ。


「「「あっ」」」



##


いきました。腕が。

ハイテンTS豆知識:白椿あかりの握力は50kg

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