4/27-28 小宮真樹子(2019)「『ドラゴンクエストⅪ』と聖杯の探求:現代日本のアーサー王伝説」『立命館言語文化研究』31巻 1号 pp.203-216

 学術機関リポジトリを開いてみると、様々な論文を閲覧することができる。

 「論文なんて、レポートを書くときに読むやつでしょ」となりがちだが、全部が全部、お堅い内容なわけでもない。

 そもそも、自分の興味のある分野なら、難しいとか読みやすいとか、そういう判断基準は持たないはずだ。結局、いずれは読むのだから。

 とは言え、いきなり長い文章を読むのは、何だかんだで大変だ。だから、まずは近いジャンルから。読みやすそうなものから読むのも、作戦としてはアリだ。

 特に論文やレポートの場合は、裏の方に載っている「引用文献一覧」が役に立つ。著者が何を参考にしたのか、また、自分は何を読むべきか、すぐに分かる。


 ここ数日間、アーサー王伝説に関する論文を探している。英仏文学のジャンルになると、邦訳されていないものも非常に多い。フランス語を気合いで読むか、はたまた日本人が書いたものを読むか……。数は多い。だが、アクセスするのが難しい。

 そんな中、見つけ出したのが、表題の論文。ドラゴンクエストとアーサー王伝説

の関連性を分析した、サブカルチャー研究の論文だ。


 細かいことは伝説エッセイの方に書くため、ここでは概要だけ。

 アーサー王伝説がゲームやアニメの題材となって久しいが、中でもスクウェア(現 スクウェア・エニックス)社のゲームには、伝説の要素が多く取り入れられていた。代表タイトルである『ファイナルファンタジー』シリーズでは、初期段階から「エクスカリバー」が登場しており、ゲームを通じて伝説を知った層も多いように思う。

 一方、エニックス(現 スクウェア・エニックス)社が開発していた『ドラゴンクエスト』シリーズは、あまりアーサー王伝説に興味を示してこなかった。中世ヨーロッパの雰囲気は色濃いが、明確な伝説描写はほとんどされなかった。

 しかし、『ドラゴンクエストⅪ』にて、はっきりと伝説モチーフだと分かるストーリー展開となる。その理由に関しては様々な考察をおこなうことができるが、現代日本のサブカルチャーにアーサー王伝説が浸透していることは、間違いないだろう。


 ちなみに、論文の著者である小宮真樹子は、『いかにしてアーサー王は日本で受容されサブカルチャー界に君臨したか』(2019、みずき書林)の共編者。アーサー王とサブカルチャー好きの方は、注目しても良いかもしれない。


 やはり、アーサー王伝説は、多角的に考察するべきだと感じた。そして、研究内容も幅広いため、まだまだ飽きないなとも。


 ……とか何とか書いてみたが、実は私、アーサー王伝説が研究テーマではない。自分の研究そっちのけで、色々やっている場合か?

 本当は、伝説の方も本研究にしてしまえば、まさに一石二鳥なのだが。こればかりは、仕方がない。だがいつか、真面目な文章も書けるように、努力したい。

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