第189話 バルトとリケののんびりした日常!

バルトとリケは、のんびりと自宅のリビングで寛いでいた。ダークエルフの建築も一段落を迎えてバルトもリケも昼から酒を呑んでいる。


「親方〜昼間からこんなおいしいお酒を呑めるなんて幸せっすね」


「ブッハハハ!火酒が苦手で呑まなかったリケがうまそうに酒を呑むとはのぅ。リケは何を呑んどるんじゃ?」


「カシスオレンジって言うらしいっす。甘くておいしいっすよ」


「ワシは、甘い酒は苦手じゃが、リケに合う酒が見つかってよかったわい」


バルト以外のドワーフなら甘い酒など酒ではないと罵っていただろうけれどバルトは人それぞれ好みがあると考えているから罵ったりもしない。それに、酒職人が作った物を罵るなどバカのすることだと思っているのだ。


「えへへ!そういう親方が好きっすよ。他のドワーフとは全然違うっす」


「なんじゃ?褒めてもなんも出んぞい」


愛弟子に好きと言われて思わず照れるが顔には出さないように我慢している。


「あ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜」


急に叫びだすリケにどうしたんだと思うバルト。


「なんじゃ?急に大声を出しおって!驚いたわい」


「親方...おっとーが来るかもっす...どうしたらいいっすか?」


「なんじゃと〜ドルンが何故来おるんじゃ?まさか場所を教えたんか?」


どうやらリケの父親が訪ねてくるんじゃないかと焦っているようだ。


「ここに無事着いたのと親方に会えた喜びで忘れていたっす。家を飛び出す時に魔境に行くから一生会えないっすから関わらないでほしいっすって言って出てきたっす」


「そりゃ必ず来おるんじゃ。しかし相変わらず過保護のようじゃな...じゃがリケは魔道具も作れるから無事にこれたがドルンは無理じゃろ?才能ないしのぅ」


どうやらリケは魔道具も作れる天才であり、その魔道具を使い魔境を抜けてきたようだ。


「それならいいっすけど...ドワーフを総動員して無理矢理来ようとするとか有り得そうっすよ」


「確かにのぅ...リケがワシのとこに弟子入りする時も荒れておったからのぅ。散々暴れて半年は寝込んだしのぅ」


「はいっす。大好きな酒も呑まずに半年部屋に籠もっていたっす。もしここに来るとかなったら皆に迷惑が掛かるっす...申し訳ないっすよ」


どうやら過保護の凄い人物のようだ。バルトも思わず想像して、あれが来たら大変なことになりそうだなと思うのであった。


「じゃが、来ておらん者をどうこうできんしのぅ。今は考えんようにするんじゃ。来るにしても対策は考えよるし死にはせんじゃろ?」


「はいっす。愛しの娘パワーだ〜とか言いながら昔魔族をぶっ飛ばしていたっす。気持ち悪いっすけど簡単には死なないと思うっすよ」


バルトは頭を押さえて同族として恥ずかしい思いになる。その魔族の話も、ただドワーフの国を訪れてリケに道を聞いていたのをナンパだと勘違いしたドルンが殴りかかったというドワーフの恥であるのだ。


「これ以上は、同族として悲しいなってきおるからやめじゃやめじゃ!それよりも拓哉からもらったんじゃが食ってみんか?」


「うわぁぁ!おいしそうっすね?なんて料理っすか?」


「チーズタッカルビっていうらしいんじゃが、拓哉がリケに食べさせてやれと言うとったわ。頑張ってくれとるからご褒美じゃと。ワシはたんまり酒をもらったわい」


鉄板の上でチーズがジュクジュクと音を立てて凄くいい匂いを発している。


「ん〜甘辛の味付けにジューシーなお肉が合うっす。それに濃厚なチーズがおいしいっす。こんなご褒美ならいつでも大歓迎っすよ。キャベットとにんじんと玉ねぎも甘くてシャキシャキしておいしいっす。ライスが欲しくなるっすよ」


「ワシにも分けてくれんかのぅ?」


「いいっすよ。親方にも味わってほしいっす」


「おぉ!こりゃビールじゃな。それから甘辛なタレと鶏肉との相性がええのぅ。ぷはぁ〜やはりビールじゃな。チーズの濃い味とビールの苦味と炭酸がよく合うわい。ワシは、ライスよりビールじゃな」


相変わらずお酒が大好きだなとリケは思わず笑ってしまう。


「親方、こんないい村に住めて本当に幸せっすよね?ドワーフの国じゃ味わえない料理と刺激に毎日が楽しいっす」


「ブッハハハ!確かにのぅ。ワシは一生ここで暮らすわい。酒のまずいドワーフの国なんかに戻らんぞい。それに新しい手法の建築が山程あるんじゃ。心躍らんわけがないわい」


親方とリケは、今日も楽しい1日を...


ドンドンドンドン


「ドワーフが大量に来ています。リケを出せと言っていてどうにかして下さい」


慌てるアレンが助けを求めに来たようだ。


「なんじゃとぉぉぉぉ〜」

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