第188話 露天風呂で酒酒酒!ギーツが虜になる!
ギーツは宿に泊まって一夜を過ごした。森の中での寝泊まりとは雲泥の差で、人生初めての露天風呂に入り、ふかふかのベッドで寝ることができた。
「ふわぁぁぁ!久々によく寝たな。こんな気持ちよく起きられたのはいつ振りだろうか」
大きく伸びをして露天風呂に向かう。すっかりゆったりのんびりできる露天風呂を気に入ってしまったようだ。
それから、露天風呂につき脱衣場で服を脱いで浴場に行くと誰もおらず貸し切り状態であった。教えられた通りちゃんと頭と体を洗ってから湯に浸かる。
「ふぅ〜」
体全体を伸ばしてから肩を揉んだり足を揉んだりして旅の疲れを癒やす。
ガラガラガラ
入ってきたのはグラデュースとテオフィロであった。ちなみにドゥルシッラは女性風呂に入っている。
「先客がいたようだな...おぉあの時襲われていた者か!」
「も、もしかしてあの時、助けてくれたのはお前なのか?」
「あぁ、だがすぐ気絶したからな。仕方なくここに連れてきたんだ」
「それは申し訳なかった...そしてありがとう。本当に助かったぞ」
今まで生きてきて敬語など習ったことがないので助けてくれた相手であってもこのような言葉遣いになるギーツ。グラデュースはこんな小さいことは気にもしない。
グラデュースとテオフィロも頭と体を洗って露天風呂に浸かる。そして、アイテムボックスから日本酒が入った徳利とお猪口を取り出して飲み始める。
「ぷはぁ!テオフィロやはり露天風呂と日本酒は最高だな」
「そうですね。仕事前と仕事終わりに露天風呂で日本酒を呑みながらゆっくりする...最高のひとときです」
そう言ってキュッと日本酒を呑むテオフィロ。ちなみにグラデュースもテオフィロも仕事前である。飲酒運転ならぬ飲酒飛行を毎日しているのだ。異世界ではなかったら自警団長のキュレーネが追い回していただろう。
「良かったらお前も呑むか?俺はグラデュースという。よろしくな」
ギーツにお猪口を渡して酒を注ぎ、自己紹介をする。
「おぉありがとう。俺はギーツだ。よろしくしてくれ。うむ...ん?ん?うまい。酒精は強いのに水のようにスッと入ってくるぞ!こりゃいいぞ。悪いがもう一杯くれないか?」
「おう。どんどん呑め」
グラデュースにお酌をしてもらうギーツ。次は一気に呑み干すのではなく、チビチビと酒の味を味わいながら呑んでいくギーツ。
「おっととと!溢れたら勿体ない勿体ない。グラデュースこんな極上の酒を何杯も申し訳ないぞ」
「気にするな。まだまだこんなにたっぷりあるからな。テオフィロも大量に拓哉から購入したよな?」
アイテムボックスから徳利を4本くらい取り出して見せるグラデュース。
「はい!ウイスキーとブランデーとビールも買いましたよ。風呂上がりに呑みますか?」
すっかり地球の酒が大好きになった二人は自分で呑むこと前提で大量購入していたのだ。
「おっ!風呂上がりにビール...いいな。くぅ〜想像しただけでうまいって言ってしまいそうだ」
ギーツは知らない酒の名前がどんどん飛び交ってどんな酒なのか気になって仕方がない。
「俺の知らない酒ばかりだ。それはうまいのか?」
それを聞いた瞬間テオフィロが立ち上がる。
「何言ってんだよ爺さん。うめぇに決まってんだろ。よし!上がれ!呑ませてやる。それから拓哉さんに頼んでうまい酒のつまみを作ってもらうぜ」
そう言ってテオフィロはギーツを無理矢理引っ張って脱衣場に連れて行く。力で竜に抵抗できるはずもなくそのまま引っ張られていくのだった。グラデュースはヤレヤレと言う顔をしながらも自分もビールを呑む為に脱衣場に向かう。
「爺さん、ほら呑んでみろ!グラさんも用意してありますからどうぞ呑んで下さい」
グラデュースとテオフィロは、冷えた缶ビールをゴクゴクと飲み始める。ギーツも見様見真似で缶ビールを開けてゴクゴクと呑む。
「ぷはぁ!テオフィロありがとうな。やはり風呂上がりはビールに限るな」
「ぷはぁぁぁ!いえいえ誰かと分かち合いながら呑むのが1番うまいですから。で、爺さんうまいか?」
上を向きながら時が止まったかのように動かないギーツ。しかし、暫くするとゴクゴクゴクと喉が鳴り始めて1本丸々一気飲みをする。
「ぷはぁぁぁ...なんだぁぁぁこのうますぎる酒は!風呂上がりのカラカラの喉を癒やし火照った体を冷やし...いやそれよりこのキレのいい喉越しだ。今までの常識を覆してるぞ」
ギーツは風呂での日本酒と今呑んだビールを思い出して感動に打ちひしがれる。
「拓哉さんとこに行く前に、このつまみとビールを呑んでみ?うまいならきっとここに住みたくなるはずだぜ!」
テオフィロが出してきたのは、ちくわにチーズを挟んだ所謂ちーちくである。
「...うまい!その味、ビールに合わない訳がないぞ!ぷはぁぁぁ!チーズは食べたことはあるが、ここまで濃厚なチーズは初めてだ。濃厚さとビールがまた合うぞ。それにこの外側の食べ物は食感がおもしろい」
「だろ?やっぱり爺さんはわかる男だったぜ」
テオフィロとギーツは、心が通じあったように笑い合う。
「二人とも先行ってるからな。早くこいよ」
グラデュースは、さっさと着替えて朝飯を食べに行く。それを聞いて慌てて二人も着替えてあとをついていくのであった。
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