第136話 ボーンの骨出汁予約と殲滅龍と初対面!

殲滅龍の居場所をグラデュースに聞いたところ、この大陸にいるということだ。 しかも、妻と仲睦まじく暮らしているらしい。 なんとも名前とは裏腹に家庭的だなと思う拓哉。 グラデュースは、どうしても行きたくないそうで、ボーンに転移をお願いする。 ちなみに、水竜と雷竜は一度住処に帰っている。


「ボーンさん、すいません。 教室とかも色々お願いしたにも関わらず、何回も転移を頼んでしまって」


子供達の授業を週4回もやってもらい、前回の雪山の転移もボーンに頼んでしまい申し訳なくなる拓哉。


「構いませんよ。 私は、骨ですからね。肩こりも体の疲れもありませんから。それに、骨太で簡単には折れませんよ。 楽しくやっていますし、どんどん頼ってください」


しょうもないことを言うボーンだが、拓哉を和ませようとしてくれているようだ。


「ありがとうございます。 頼らせてもらいますね。 ちなみにボーンさん、その骨っていい出汁取れるんですか? ずっと気になってたのですが...」


大量の魔力を含むボーンの骨で出汁を取ればどれだけおいしいのか、ずっと気になっていた拓哉。


「はい? 私の骨ですか? う〜む!?この一件が終わりましたら試してみますか? 肋骨数本なら1日なくても平気ですから。 抜いた骨の間の隙間風で風邪を引いちゃいそうですがね。 ワッハハハ」


いいの?なんかコンプライアンス的にどうかと思うけど...欲には勝てないなぁ。 それより、風邪ってまた冗談を。


「風邪ってもう肉体ないでしょうが!」


「ん?骨でも風邪は引きますよ。 もう何を言ってるんですか。 拓哉さんは」


「え?風邪引くの?」


なんだって〜! どこにウイルスが入る要素があるんだよ! 骨じゃん。ねぇ〜冗談だよね?


「アハッハッハ! まぁそれは置いておいて行きましょう」


何?その笑い。 それ置くなよ!1番大事なとこ教えてよ。


「風邪の件は?教えてくれないのですか?」


「ん?秘密が多い程、女性にモテると聞きますからね。内緒にしときましょう」


秘密多かったらモテねぇよ。 ボーンさん、ミステリアスな男性て言いたかったのか?なんか疲れたしもういいや...


「はぁ〜行きましょう」


「そうしましょう。 私に掴まってください」


行く前から疲れてしまった拓哉は、溜め息を吐きながらボーンの肩に掴まり転移するのだった。


「ここが、そうなんですか?」


「グラさんが言っていた座標は、この辺りですね」


魔境ではないと聞いていたのだが、見渡す限り森である。 本当にここなのだろうかと思う拓哉。

そうこうしていると、急にボーンが防御結界を張る。 その直後、結界に空気の刃のような物が当たり、ガガガガガ〜と大きな音を上げて結界にヒビが入る。


「拓哉さん、身体強化を最大にして挑んでください。 多分殲滅龍だと思います」


「ボーンさんの結界を一発でヒビですか...次は俺の後ろに隠れてください。 絶対に大丈夫ですからって言っていたら来ました」


空気の刃が拓哉に当たった瞬間、掻き消されたかのように消滅する。


「これが、神様から頂いた絶対防御ですか...あの攻撃を掻き消すとは驚きましたよ」


ボーンが素直に驚いているが、その間も攻撃が飛んできている。 拓哉は、何故かネットショップを開いていた。 何を買ったかというと拡声器だ


「お〜い! 殲滅龍さん敵ではありません。 お願いしたいことと茂三さんの味を再現した豚キムチを持ってきましたぁぁぁ」


それを言った瞬間、ダダダダダダと凄い勢いでやってくる人が見えた。 その人は、拓哉の前で止まり第一声に。


「茂三の豚キムチ〜」


主語もなく自分の感情だけを言葉にする殲滅龍。


「ちょっと落ち着いてください。 ちゃんとアイテムボックスにありますから。サリアさんのお墨付きです」


更に迫ってきて両肩を揺らされる拓哉。


「サリアも知っているのか? おぉ〜いつ振りの豚キムチだろうか? 君たち、そんな汚く荒れたとこにいないでついてきたまえ」


いやいや!貴方が、急に攻撃してきたからでしょうがとツッコみたくなる拓哉。

だが、ツッコみは入れずに、ボーンと目を合わせて付いて行くことに決める。 暫く歩いていると一家の家が見えてきた。 外には女性が待っているようだ。


「帰ったぞ〜! 俺の勘違いみたいだった。 後ろにいるのは、俺の豚キムチを持ってきた奴らだ」


おいおい!適当な紹介をするなよ。


「はじめまして、料理人をしている拓哉と言います。 横にいるのがボーンです。 今回、殲滅龍さんにお願いしたいことがあり、そのお礼になればと思い豚キムチをお持ちしたのです」


「あら、そうだったのですね。 私は、シェリーです。 それにしても、夫の攻撃で生きているなんてお強いのですね」


「こいつらは強いぞ。 全ての攻撃を弾かれたからなぁ。 正直、どうしようかと焦っていた。 森をブレスで燃やすわけにもいかんしな」


燃やし尽くされたら、耐熱の防御方法がないから窒息死か肺が焼け焦げて死んでいたなと思う拓哉。


「あらあら、久しぶりに張り合える方々を見つけたのね。 よかったわぁ。 それよりも、家に上がってください」


さっきからマイペースかつ流石、殲滅龍の妻だなと思う発言をするシェリーである。

そのまま、シェリーと殲滅龍についていき家の中に入る拓哉とボーン。

果たして、拓哉の作った豚キムチは受け入れられるのか?血を手に入れることは出来るのか? 拓哉がアイテムボックスから豚キムチを出すのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る