第129話 グラデュースと2体の竜の訪問!
グラデュースが竜に会いに行くので、結果を待つように言われた拓哉。
3日程、待っているがまだグラデュースが帰宅する様子もない。
今は、22時を過ぎた辺りでお客さんもバルトと小次郎とアーノルドとルシフェルくらいだ。 他は、家族や明日の仕事などで帰宅している。 あとは、追加注文を少し作るくらいだなと思っていると。
「あるじ、グラさん帰ってきたんだよ。 それから、2人?2体連れてきてるんだよ」
桜花が早く気づいて報告してくれた。
「ありがとう。 ちょっと見てくるから、注文が入ったらお願いするよ」
今残ってるお客さんなら決まった物しか頼まないので、桜花でも作れるなと思いお願いする。
「任せてだよ。 グラさんもう少しオーラ抑えてほしいんだよ」
拓哉は全然感じないが、桜花からすると急に感じると強すぎて驚く程らしい。
「拓哉、どこへ行くんじゃ?」
営業中は、普段滅多に外へ出ない拓哉に、どうしたのかと聞くバルト。
「グラさんが帰ってきたのと、お仲間がいるようなので迎えに出ようかと、料理は桜花がいるから注文して大丈夫ですよ」
バルトも他の人達もそうか!と軽い感じで見送る。 アニカとラリサが、話し相手になっているから余計拓哉やグラデュースのことなどどうでもいいんだろう。
アニカに至っては、アーノルドとルシフェルからあ〜んしてもらって食べさせてもらっている。 それを、ニマニマしながら見ているアーノルドとルシフェル。
拓哉は、外に出てグラデュースが帰るのを待つ。 そうしていると、グラデュースの大きな翼が見えてドンドン近づいてきた。
「お〜い!グラさ〜ん」
手を振りながら迎えに入れる。
拓哉を見つけたグラデュースと他の二人も空中で人化をして降りてくる。 相変わらず、降りた衝撃で地面がエグれている。 いつも通り、グラデュースが魔法で直しているのだが、グラデュース専用の着陸地点を作ってあげないとと考える拓哉。
「わざわざ迎えとは、流石俺の友だ。 紹介する水竜のドゥルシッラと雷竜のテオフィロだ。 とりあえず、腹が減ったから食ったら話そう」
ズカズカと店に向かうグラデュース。
「私は、料理人の拓哉です。 まさか、竜を連れてくるなんて驚きましたよ。 よろしくお願いします」
料理人と聞いてドゥルシッラは、シュークリームの人 テオフィロは、エクレアの人だと思った。
「アナタが、拓哉さんですね。 シュークリームおいしかったです。 それに、拓哉さん強そうですね? これで、古龍様と友だと言う理由もわかった気がします」
「俺は、テオフィロだ、よろしくな。 エクレアもっと食わせてくれ。 金ならこいつが払うからよ」
人間をバカにすることもなくフレンドリーに接してくれる二人。
「拓哉〜早くこ〜い。 腹が減ったぞ〜」
ドアの前で叫ぶグラデュース。 それを見た拓哉とテオフィロとドゥルシッラは、顔を見合わせて笑うのだった。
「はいは〜い! 今行きますよぉぉ」
駆け足で店に向かう3人。
店に入って座った所で、注文を聞く。
「今日は何を食べるの?まさか...また貝と海老を殻ごととか言わないよな? えっと...もしかして、ドゥルシッラさんもテオフィロさんも硬い甲羅を持つ生物を殻ごと食べるのですか?」
それを聞いた二人は、全力否定するように首を振る。
えっ?竜って殻ごといかないの? グラデュースだけがおかしいのかよと思う拓哉。
「拓哉さん硬い殻なんか食べませんよ。 中の身がおいしいんじゃないですか。 古龍様が、おか...特別です」
ドゥルシッラの言葉に、うんうんと頷くテオフィロ。 ドゥルシッラは、おかしいといいかけるが、踏み止まる。
「なんだ。お前ら食べないのか? うまいのに...それより、ボルテックスクラブの足でなんか作ってくれ」
巨大なカニの足のようなものを出すグラデュース。 流石に、10mを超える物をそのまま出す常識知らずではなかった。
「グラさん、俺この魔物初めて見るけどカニと味は似てるの?」
「カニより濃厚だが、ほぼカニに近い。 だから何か作れないか?」
カニに近いと言われてどうしようかと悩む拓哉。 だが、あれをまだ作ったことなかったなと閃く。
「とろ~りとろっとボルテックスクラブのクリームコロッケを作るよ。 時間はかかるけど待てる?」
カニクリームコロッケをイメージし、濃厚な味がどう影響を与えるか気になった拓哉。
「構わない。うまいものが食べられたらそれでいいからな」
「私も、待ちますよ。 絶対おいしいって確信がありますからね。」
「俺も待つぜ。 エクレアを越える料理を食わせてくれ」
待つなら作るけど、エクレアとクリームコロッケは別物だからと思う拓哉。
厨房に行く拓哉。 次から作れるよう桜花に見といてもらう。
「桜花、カニクリームコロッケを作るから見といて。 まず、玉ねぎ1/4を薄切りにしてバターで炒める」
「新しい料理なんだよ。作れるようにしっかり見とくんだよ」
やる気を見せる桜花に、いつかここの料理長になるのではないかと思う拓哉。
「玉ねぎが透き通るくらい炒めたら、火を止めて小麦粉50g入れて粉っぽさがなくなるまで混ぜる」
「火を止めちゃうんだ。 玉ねぎも飴色まで炒めないのは珍しいんだよ」
確かに、玉ねぎ=飴色まで炒めるイメージだもんなと思う拓哉。
「桜花、ここに牛乳400mlをゆっくり入れてくれるか?」
弱火にしながらさっきの玉ねぎ入ったフライパンに牛乳を注いで混ぜていく。
「とろみが付くくらいに混ぜ終わったら、塩コショウを少々振ってボルテックスクラブの解した身を入れていく」
「ボルテックスクラブの身、引き締まってるから固いかと思ったけど、食べてみたらブルンブルンのもちもちだよぉぉ。 絶対おいしくなるんだよ」
ちゃっかり味見をする桜花。
「ズルい俺も。 おぉ、これは期待できる味だな。って食べてる場合じゃなかった...あとは、トレイにラップとサラダ油を少し引いてフライパンからこっちに移して1時間冷やして固める」
待ってもらっている間に、桜花の練習がてらおつまみを作ってもらってグラデュース達に提供する。
そして、1時間が経ちトレイを冷蔵庫から取り出す。
「これを俵型にして、小麦粉 卵 パン粉をつけて揚げるだけだ」
それから、180℃の油に投入してきつね色になるまで揚げていく。
果たして、ボルテックスクラブのクリームコロッケは、竜達に受け入れてもらえるのか?
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