第103話 (前編) 人間に憧れたトレント!! 仲間を求めて....
僕は、元トレント族のヤミン!今はヒューマントレントに進化して憧れの人間になれたんだぁ。
人間になりたいと思った動機は凄く単純だった...生まれたばかりの僕は早く大きくなろうと、魔力の多い土を求めて彷徨っていたところ、人間の村を発見して近くの木が生い茂った所に自分も植わって魔力を貯めていた。 毎日走り回る子供を見たり、親子で楽しく会話しているのを見ると僕も、人間ならなと思い始めた。 それから暫くして、魔力が貯まりエルダートレントに進化したんだけど、見るからに魔物のような外見になり討伐隊が組まれるようになってなくなく魔境に逃げてきた。 それから、魔物を倒したり濃い魔力を吸っているとレベルが上がったのか!? 進化したんだ! 意識が覚醒して体を見ると人間のようになっていた。 進化する前に、次は人間に近ければいいなって願ったのが、神様に通じたんだろうなと思う。 「神様、ありがとうございます!」 それからは、新しく得たスキル裁縫で服をいっぱい作って、トレントの時に叶えられなかったことをしていた。
そしてある日、散歩をしていたら舗装された道と人間の文字が書かれた木の板を見つけたんだ。 「今の僕なら仲良くなれる!」 だからこそ、今日はカワイイ格好をして人間がいるだろう場所に行こうと思う。
「やっと人間と楽しく遊んだり、会話したりできるのかなぁぁ?ワクワクが止まらないよぉぉぉ」
舗装された道をワクワクしながら進んで行く。 そうすると、家が建ち並び畑があったり、以前の村より綺麗な場所に行き着いた。
「うわぁぁぁぁ! すんごいなぁぁ。 いつかこんな綺麗な家に住みたいなぁぁ。 僕の家...木を切り抜いただけだもん....」
キョロキョロ辺りを見渡しているとマリーに話しかけられる。
「キョロキョロしてお嬢ちゃんどうしたの?迷子? それとも、憩い亭にきた人かな?」
綺麗なお姉さんだなぁと見惚れるヤミン。
マリーを見上げながらぼぉーっとしていると
「お嬢ちゃん大丈夫?? 言葉がわからないのかしら?? 人間にしては、魔力が多すぎるようだし...たまたま迷った人型の何かかしら...」
もう一度話しかけて、ハッとなるヤミン。
「言葉わかるよ! 僕はヤミン。 お嬢ちゃんではなくて男だからね!! それからね。人間と仲良くなりにきたの」
マリーは、えっ!?となる。 見た目は、150cmくらいで髪も綺麗な緑色で女の子みたいな顔をして服もワンピースのような物を着ている。 どう見ても女の子にしか見えないその子は男の子と言う。 あの大泣き事件以来、2度目の驚きに、何故毎回私はこういう現場に遭遇するのだろうと思うマリー。 とりあえず、拓哉さんを呼ぼうと考える。
「ここの責任者の所に行きましょう! 着いてきて」
いつの間にか責任者になっている拓哉。 拓哉は認めていない。
「うん! わかったよぉ。 挨拶はしっかりしないといけないもんね」
不思議な子だなと思うマリー。 普通、責任者とか言われたら嫌がるか驚くはずなのに...やっぱり人間ではないのかなと思うマリーであった。
拓哉の家に着くと、マリーがドアを叩いて拓哉を呼ぶ。 「は〜い!」と返事があってから暫くすると拓哉が出てくる。
「あれ!?マリーさんじゃないですか! どうしたのですか? ってあれ?その女の子は!?」
マリーが、こんな昼間から訪ねてくるのも珍しいのと、女の子連れで不思議に思う拓哉。
「あの子、人間じゃないみたいなのよ!? それに、人間と仲良くなりたいみたい。 あと女の子じゃなくて、本人曰く男だって言ってるわ。 ちょっと鑑定してくれないかしら??」
拓哉それを聞いてちょっと驚いたが、鑑定すればわかることなのですぐ落ち着く。
鑑定!!
えっ!? ちょっと待って!この世界にも、存在しているのか!?
拓哉が見たものは、性別"男の娘"という文字であった。
「ヤミンくん、俺は拓哉っていうんだけど、まず初めに勝手に鑑定させてもらった。 ごめん! 君は、ヒューマントレントで性別が男の娘だったんだね...あとここへは、人間と仲良くなりにきたんだよね??」
この世界に男の娘という言葉は存在せず、神様が勝手に書き換えたのだ。 だから、拓哉から言われた男の娘をヤミンは男の子と解釈して受け取る。
「やっと僕が男ってわかってもらえてよかったよぉぉ。 鑑定は大丈夫! 得体の知れない誰かが来たら怖いもん。 でも僕は、争う為ではなくて、拓哉さんの言う通り仲良くしたんだぁ。 えへへ!やっと、こうやってお話ができて嬉しいなぁぁ」
にへらと笑うヤミン。 どう見てもカワイイ女の子にしか見えない。
「ヤミンくん、マリーさんと話すからちょっとだけ待っていてね。 話が終わったら宿に案内するから」
まずは、男の娘のことを説明しようと思う拓哉。 ヤミンは、「うん!」と言って大人しく待つ。
「マリーさん、男の娘って言われてわかりますか?」
マリーは、何を言ってるの!?男の子でしょ!!となる。
「当たり前じゃないの! 男の子でしょ!? 」
あぁ〜!やっぱりこの世界に男の娘は存在しないんだと思う拓哉。
紙とボールペンを取り出して文字に書いて説明する拓哉。
「男の子ではなくて、男の娘なんです。 詳しく説明しますね」
最初は、何を言ってるのかしらとなっていたマリーだが、鑑定結果と男の娘の定義を説明したら目を見開いて驚いていた。
「正直驚いたわぁ。 こんなに長く生きていて、まだ知らないことがあったなんて...初めて聞いたヒューマントレントよりも男の娘の方が驚いたもの。 でも拓哉さんが、その知識を知ってるということはそちらの趣味も...」
冗談ぽくあらまっというような顔で拓哉を見るマリー。
「そんなわけないでしょ! からかわないでください! それよりマリーさん、この子を宿まで案内してくれませんか?? 俺は、みんなに新しい子が来たことと、男の娘の説明をしてきますから」
マリーは、快くヤミンを連れて宿に行った。 拓哉は、男の娘の説明に追われマリーと同じく、住人からはそういう趣味があるのか?と聞かれたりもした。 説明が終わると疲れ果てた拓哉は、家に戻りリビングで大の字で寝るのであった。
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