第102話 ダークな美女登場!! ヴァレリーのオススメ料理!!

私は、ダークエルフの戦士キュレーネ。 歴代でも1番強いと自負している。 だが、あの村に行ってすべての常識が崩れ去ったのだ。 でも、もう強いとか弱いとかどうでもよくなってしまった。 この世の物と思えない料理を口にしてから...


私は、今真っ暗な森の中を歩いている。 何故かと言うとエルフの友達のリーリヤから絶品の料理を出す店が、魔境の中間にあると聞いたからだ。 初めは、信じられなかった。 でも、そんなしょうもない嘘をつく友達ではないので半信半疑だったが、好奇心が勝り来てしまった。 本当にあるのだろうか?? 見渡す限り森しかないではないか。 


そう思っていると、尋常ではない力を持った気配が密集している空間を察知したキュレーネ。 足に風の魔法を付与して凄い速さでその場所に向かうのだった。

着くと、森とは思えない舗装された道に、リーリヤから教えてもらった憩い亭はコチラと書かれた看板が立てかけられていた。 キュレーネは、警戒をしながらも足早に歩を進めるのであった。


「なんだここは...!?」


キュレーネが見たものは、高い鉄の棒の先に光る魔道具が付けられた(街灯)道に、数多く設置されて辺りを照らし無数の家が建ち並んでいた。 そして、強者の気配が密集した家を発見し、憩い亭と書いてあるのでここだと思うキュレーネ。


カランカラン

「いらっしゃいませ」

拓哉と桜花とラリサとアニカが出迎える。


「リーリヤから此処のことを聞いてきたんだが、料理屋であっているか??」


少し口調が、男勝りなキュレーネではあるが、決して喧嘩を売っているわけではなく、これが普段の話し方なのだ。


「えっ!リーリヤさんのお知り合いでしたかぁ。おっしゃる通り料理屋なので何か食べていってください。 さぁお席へどうぞ」


ダークエルフとエルフは仲が悪いイメージはあるけど、この世界はそうではないんだなと。 それと、リーリヤやサリアと違いは、へそ出しで足も太ももがバッチリ見えるまでの露出。 胸はでかくて目のやり場に困ると思う拓哉。 


キュレーネは、言われた通りに席に座りラリサから渡されたメニューを見る。 見慣れた文字ではあるが、料理は全く知らない物ばかり、唯一サリアの店で食べたラザニアとグラタンがわかるくらいだ。


「どれがうまいのかさっぱりわからん。 聞いてみるか」


そう思っていると横にいた魔族から話しかけられる。

どう見ても、高位の魔族であり逆らえないオーラを発しており素直に従うことに決めるキュレーネ。


「急に話しかけてすまんな。 お嬢さんが悩んでおるみたいだったのでな。 俺のオススメは、キンキンに冷えた生ビールとチンジャオロースだ!! 絶品だぞ」


ヴィクトリアが、牡蠣にあたって寝込んでいるので、最近は一人で晩酌を楽しんだりバルトや小次郎らと楽しんでいる。 そこで、チンジャオロースを偶々頼んだのがきっかけでハマり、キュレーネにも勧めたのだ。


「貴方が、そんなに勧めるならそれにするよ。 教えてくれてありがとう」


戦士としてのプライドからか、自分より格上でも凛とした表情と普段の言葉遣いを崩さないキュレーネ。  ヴァレリーも丸くなったのか?一切気にしていない様子で、「気にするな」と一言言って晩酌に戻るヴァレリー。


「給仕の少女よ、ビールとチンジャオロースを頼む!」


ラリサに告げると「は〜い!お待ち下さい」と言って去っていた。 

待っている間、辺りを観察するキュレーネ。


な、なんで、ノーライフキングが平然と食事しているんだぁぁ! そ、それに、あの化け物はなんだ! 姿を人間に変えているが、間違いなく上位種の龍だろぉぉ!!! はぁぁぁぁぁ!!ノーライフキングで見落としたけど、一緒に食事をしているのは、フェンリル!?!? え〜〜!!その横には人間の家族だと...なんなんだ?この料理屋は... 


異質な空間に、何度も驚愕の表情を浮かべたり呆けた表情になったりと、凛とした普段のキュレーネからは考えられない表情を何度もする。  そんなあり得ない光景を見ていると、それを忘れさすかのようなうまそうなビールとチンジャオロースがやってくる。 

黄金色に輝く飲み物と野菜と肉を炒めたであろう料理に目を奪われる。 強者ばかり気にしていた為、料理の匂いなど一切感じていなかったが、目の前に置かれたチンジャオロースから立ち込めるなんとも言えない匂いに周りのことなど、どうでもよくなるキュレーネ。 まずは、飲み物だとグラスを持つと冷たさに驚く。 微かに香るアルコールの匂いに酒だと分かり一気に呑む。


ゴクッゴキュッゴクッゴキュッゴクッ!


「ぷはぁ〜うまい! 喉を刺す刺激の強さだが、あり得ないくらい冷えているからか?不快さはなくこの刺激がまたいい。 エールの温い酒と違いに、また呑みたいという欲求が止まらない。 給仕の少女、ビールのおかわりをくれ」


なんて素晴らしい酒だ! これだけでも、横にいる魔族に感謝したい。 だが、これからが本番だ。 このチンジャオロースを食わずして帰れるか!


牛肉とピーマンとタケノコをフォークで、うまいこと掬い口に運ぶキュレーネ。


「う〜〜んふわぁぁぁぁうまい美味すぎる! 甘辛いタレに絡まった肉と野菜のうまさ! それに、このザクザクした物(タケノコ)の食感。 ぷはぁ〜それにこのビールとの相性も抜群だ。 それにしても、肉も野菜も美味すぎる...こんな臭みのない肉と濃い味の野菜食べたことがない。 本当に、アイツはこんな宝の場所をすぐに教えるんだからな...心配なるよ。でもリーリヤ教えてくれて感謝する」


普段出さないような女の子らしいカワイイ声を出してこれでもかという程に、ビールとチンジャオロースを楽しみリーリヤに多大な感謝をするキュレーネ。


「どうだ? うまいだろう?」


笑いながら話しかけてくる魔族にキュレーネは素直に「感謝する。 これ程うまいとは思わなかった」と答えるのであった。

その後、ヴァレリーとキュレーネは意気投合したのか、同じ席に座り一緒に呑む。 その中の会話でヴァレリーが魔王であることを知り驚愕した後に、これまでの言葉遣いや振る舞いを土下座して謝るが、ヴァレリーはそのまま接してほしいと言い、言われた直後は畏まっている様子だったが、酒が進むに連れて気兼ねなく友のように話すのであった。 


新たな客人と出会いに、今日も賑やかな憩い亭である。

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