第101話 常連さんよりアニカの破壊力!! ヴィクトリア遂に天罰か!?

声がしたのでそちらを見ると、いつも来てくれている。 ボーン フェン リーリヤ アーノルドであった。


「なんで私達を呼んでくれなかったのよ? ってラリサとアニカじゃない! 帰ってきたの?」


さっきまで、仲間外れにされたことを怒っていたリーリヤだが、ラリサとアニカを見つけてラリサの方に走っていき再会を分かち合っているようだ。 アニカは、いまだに抱っこされたままである。


「貴女達のことフェンから聞いていますよ。 貴女が、アニカ嬢ですね! 私は、ボーン以後お見知りおきを。それにしても可愛いですね。ほっほっほっ」


6歳の少女が、ノーライフキングである自分を怖がらないように少し戯けながら挨拶をする。 そんなに顔を近づけたら、十分怖いよと思う拓哉。


「アーノルドと申します。 子供は可愛いものですね。 拓哉さんの子だと思うと余計に可愛く感じますよ。アニカ嬢、よろしくお願いします」


伯爵様らしく上品で優雅な立ち振る舞いをする。拓哉を尊敬しているアーノルドは、拓哉の子だとと褒めるようなことを口にするが、拓哉からすると、なにか得体のしれない恐怖のような物を感じてブルッとした。 その理由はなにかはわからない。


「ボーンおじいちゃんとアーノルドおじちゃんよろしくなのです」


あまりにも可愛かったのか、二人は孫を見るような目になり、「本当に可愛いでちゅねぇ」とか言いながら頭を撫でていた。 

拓哉は思った。 これは、魅了のスキルでも持っているのではと、すぐ鑑定したが、見当たらないので、天然おじさん&おじいちゃんキラーなんだと知る。 親として将来が心配になる拓哉。


「それで本題だけど、海鮮バーベキューに参加するんだろ?? 何故、知ったのか気になるけど、早く食べに行かないとグラ辺りが食い尽くしそうだから早く食べた方がいいよ!! 紙皿と箸はそこにあるし、酒もそこのクーラーBOXにあるから。 あ!貝の食べ方がわからなかったら、グラ以外に聞いてな。 グラ殻ごと食べるから...」


拓哉が指を差した方を見ると、殻ごとバリボリ食っていた。 フェンもアーノルドも、呆れた顔をしているのと、ボーンは、表情からは読み取れないが固まっていた。 三人は示し合わせたかのように、何も見なかった風を装い紙皿と箸を取り食べたい食材を皿に乗せていた。 異世界人からしても、異様な光景なんだと拓哉は知り密かに笑うのであった。


「アニカも、そろそろ降りて何か食べよう。 このコーンバターとかおいしいぞぉ」


優しくアニカを下ろして皿に、コーンバターを乗せてスプーンを渡してあげる。

アニカは、ふぅふぅと冷ましてから大きな口を開けて食べる。


「パパ〜おいしいの〜! パパもあ〜んして。 おいしい??」


アニカに、食べさせてもらう。 これは、マジの天然キラーだなと認識する拓哉。


「アニカが食べさせてくれたから余計おいしいよ。 ありがとな」


アニカにお礼を言うと嬉しそうに笑っている。

後ろから、シャーリーとビーチェが声をかけてくる。


「アニカちゃん、パパと楽しそうでよかったねぇ。 使徒様、他に貝はありませんか?? ホタテもアワビもサザエも、美味しすぎて他のもあるなら食べてみたいなと...お願いします」


う〜ん!?と少し悩んだ末に、前世の海水浴場を思い出して大アサリを選ぶ。 

それにしても、シャーリーは謙虚だよな。 ヴィクトリアさんも、これくらい謙虚ならと思う拓哉。


「こいつを焼こう。 アワビとかから比べたら価値は下がるんだけど何故かうまいんだよ。 正式名称はあるけど、みんな大アサリって呼んでいる。 ビーチェは、なんか食べたい物ないのか?」


シャーリーだけの要望を聞くのは不公平だと思いビーチェの要望も聞く拓哉。


「あのですね...食べ物は大アサリでいいのですが、アニカちゃんに...アニカちゃんにお姉ちゃんと呼ばれたいです」


はぁぁぁぁぁ!!と思う拓哉。 まぁ減るものでもないし、本人同士がいいならいいかと思う拓哉。


「アニカ、呼んでやってくれるか??」


ビーチェは、キラキラした目でワクワクして待っている。 シャーリーが、横で「ビーチェがすいません」と謝ってくる。 


「ビーチェお姉ちゃんとシャーリーお姉ちゃんちゃん、これからも仲良くしてほしいの」


ビーチェは、胸を押えて「はぅぅぅ」と言いながら倒れ込んだ。 シャーリーは、「す、凄い破壊力ですね。 スキルですか?」と言う始末だ。 


「いや...さっき調べたら天然ぽいんだよなぁぁ。 それより、焼けたぞ!醤油垂らしてと ほら食ってみろ」


倒れているビーチェは、放っておいて大アサリをシャーリーに渡す。 シャーリーは、大アサリを一口で口に入れる。 凄く幸せな顔をするシャーリー。


「ん〜〜幸せですぅぅ! 他の貝と違った旨味が醤油と合わさっておいしいぃぃ! 大きいから食べごたえもあっていいですね」


3つくらい一気に皿に移すシャーリー。 


「あ!一応言っておくけど貝は食べ過ぎたらお腹壊すから気をつけてな。 ちゃんとよく噛んで食べろよ」


それを聞いたシャーリーは、かき氷事件を思い出して躊躇するが、食欲に負けて食べ始めてしまう。  それより、何故異世界人は、こんなよく食べるのに太らないんだ??と疑問に思う拓哉。地球の女性を敵に回すだろうなと。

そして、遂にあれがやってくる。暴食の女王ヴィクトリアだ。


「拓哉さん、帰りに貝のお土産を頂きたいわ。 本当に凄くおいしいわね」


やっぱり来たかと思う拓哉。 仕方なくお土産に大量の貝を渡す。 最近、ヴィクトリアが厚かましくなりすぎだよなと感じる拓哉。   

後日、聞いたのだが、牡蠣にあたって熱を出して寝込んだそうだ。 牡蠣にあたるという知識が、異世界になく治療法も分からずかなり苦しんだらしい。 果たして拓哉は、ワザと牡蠣を渡したのか!?たまたまだったのかは語らなかった。

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