第100話 海鮮バーベキュー祭りだぁぁぁぁ!!

思い思いの好きな食材を取っていくみんな。

そして一斉に食べ始める。 普段、海の幸を食べる機会のない住人達は、様々な表情や言葉を言っている。小次郎がアワビを食べる。


「ここで、魚はよく食べるが貝は初めてだな ほぅ〜こいつは....! コリコリした食感にバターと醤油の風味と香ばしさがよく合って噛めば噛むほど、味が出てくる。 ゴクッゴクッ酒とも合ってうまい。 外で食べているからか!? それとも、この貝との相性がいいのか?とにかくうまい」


日本で食べたら1個数千円から数万円するような大きいアワビを切らずに、そのままかじって食べている小次郎。 

ここの住人は、日本人より贅沢しているんじゃないかと思う拓哉。


拓哉は、焼きながらみんなの楽しく食べてる様子を見ているのだが、1匹の駄龍(古龍)が伊勢海老を両手に持ち爆食いしている!


「アッハッハッ。 うまいうまいうま〜いぃぃぃ。 この殻のバリボリとした歯ごたえと甘みのあるプリッとした身。 特に頭の部分がうまい。 濃厚な味が口に広がって堪らんなぁぁぁ」


自由に食べていいのだが、オーガかとツッコみたくなるほどの粗暴な食べ方をするグラデュース。 殻ごとバリボリ食べているから、味覚や感覚がおかしいのではと思ったが、ちゃんと頭にある伊勢海老の味噌を味わって食べているようだ。 火を通しても、時々食あたりがあるらしいから気をつけてなと思う拓哉。

そんなことを考えていると、サザエを持ったバルトが話しかけてくる。


「焼いてるとこすまんのぅ。 グラのやつが、苦味があってビールに合うと言うんじゃが...ワシは、こんな硬い甲羅?ごと食えん...どうやって食うんじゃ??」


拓哉がえっ!?と思い、グラデュースを見ると伊勢海老だけではなく、サザエも貝殻ごと食べていた。 日本にいたらビックリ人間としてテレビに引っ張りダコだろうなと思う拓哉。 そう思いながら、バルトのサザエを手に取り、串でクルッ回転させてうまいこと中身を出す。


「ほぅ~実におもしろいのぅ。 あんだけ、ほじくり出そうと頑張ったのがバカらしくなるわい。 にしても、この身はわかるんじゃが.....黒緑の毒のような部分は食べられるのかのぅ....!?」


確かに、最初にその肝を見たら毒じゃないかと思うよな。 見た目もだが、味が苦手という人も結構いるが、多分バルトは好きなはずだと思う拓哉。


「グラが言ってた苦味があってうまい部分だ。 毒はないし食べたら酒に合う理由がわかるぞ。 まずは、身と肝を別々に食べてそれぞれの味を楽しんで見てくれ。 お〜い!みんな追加焼けたぞ〜〜」


それを聞いてみんなが取りに来る。

バルトは、言われた通り、身と肝を分けて食べる。

身を食べた時は、何かを思い出しながら食べている表情をして、肝を食べた瞬間は驚きの表情をしてビールのあるクーラーBOXに走り出し、ビールを手に掴むと一気に飲み干して、大笑いしだした。


「ガッハハハ。 グラの言う通り酒に合うのぅ。 次は日本酒のつまみに出してくれんか? それにしても、身の独特の食感に、微かな磯の香り....昔行った海に近い街を思い出したわい。 1番驚いたのは、肝じゃな。 噛んだ瞬間、海の中にいるのかと錯覚する程の強烈な磯の香りが鼻に抜けて、苦味が襲ってきよったわぃ。 ビールを呑んだ瞬間に苦味がまろやかになり、旨味へと変わったんじゃ。 こんな2度楽しめる貝があったとは驚きじゃ」


やっぱり好物になったかと思う拓哉。 それにしても、バルトの言葉にあった海が近い街に行ってみたいと思う拓哉。 異世界ならクラーケンやら、見たこともない、うまい化け物が居そうだしなと。

そんなことを、考えていると串に刺したイカ焼きを持って走ってくる子供達。

桜花も手伝うと言っていたのだが、事前にみんなと仲良く食べなさい。楽しんできなさいと伝えてあったので、子供達と一緒に食べていたようだ。ベアトリスがイカ焼きをおいしそうに食べる。


「拓哉さん、イカ焼きおいしいです。 醤油の香ばしい香りにイカ独特の甘みと旨味が口の中いっぱいに広がりますぅぅ。 あとさっき皆さんから聞いたのですが、ここにいる方々で調理されたとか.....私もしたかったです...お母様に掴まっていなければ....次料理する時は呼んでくださいね。絶対ですよ」


一人だけ仲間外れにされたような感じで寂しかったのだろう。 次みんなで調理する機会があれば、呼んであげようと思う拓哉だった。


「わかった。次からは誘うようにするよ。 何かに興味を持つのは嬉しいし、それが歳の近い者同士と仲良くしたいからという理由であってもいいことだと思う。 何か自分が興味を持つようなことがあれば、その都度言いなさい。 叶えられるなら叶えてあげるから。 大人になる前に色々経験しなさい。 ベアもカイルもヤナも、身近な人に言いづらいなら俺に言いなさい」


バーベキュー中なのに、情操教育をしているなと苦笑する拓哉だったが、みんなは笑顔で「はい」と返事をする。


「お父さん、野菜が前食べたより凄く甘みがあるのと味が濃くて水々しくておいしくなっているのですが、何故ですか??」


桜花は、てっきり畑自慢をしていると思ったのに話していないのかと思う拓哉。


「ラリサとアニカが、魔国にいる頃に、畑を作ったんだ。 今は、桜花とシャーリーとビーチェが主に世話をしているよ。 そろそろ、食べ頃のスイカができる頃じゃないかな??」


「うん。 凄〜〜く大きなスイカが出来てるんだよ。 そろそろ食べられそうだよ」


それを聞いた子供達がどんな食べ物なのかと聞いてくる。ラリサは、桜花に畑のことを聞いているようだ。 

急にアニカが近づいてきて抱っこをせがんでくる。


「パパ〜抱っこしてほしいの...」


魔国で寂しかったのか、前より甘えたになっているアニカ!! 抱っこをしてあげると「えへへ」と笑ってしがみついてくる。 かわいい娘だなと思っていると、村の入口の方から声が聞こえる。


「私達をこんなおいしそうな祭りに誘わないなんてズルいわよ。 常連なんだから呼びなさいよね」


ぞろぞろ現れた集団に目をやる拓哉! 一体誰が来たのであろうか!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る