第97話 ラリサとアニカが帰ってきたよ!!

魔王城のリビングに集まるヴァレリー一家とラリサとアニカ。


「慣れない環境の中、よく二人とも頑張ったな。 魔国での生活はどうであった??」


娘を見るような優しい目で、二人に問いかけるヴァレリー。


「初めは戸惑うことがいっぱいありましたが、皆さん優しく接してくれたり、もとの生活だと考えられないような教育を受けることができたりと感謝しかありません」


可愛さは残っているが、顔付きが出発前とは明らかに変わり、自信に満ち溢れたラリサが答える。


「アニカは、頭が悪くてなかなかうまく行かなかったり、覚えられなかったの....でも先生やベアお姉ちゃんがいっぱい教えてくれて合格することができたの。 感謝もいっぱいだけど、諦めなかったら叶うんだって学べたの。 本当に来てよかったの」


アニカは、元々が小さいからか身体的にも顔も成長して、少しお姉さん感が伺えるようになってきた。 しかも、以前よりもしっかり考えて自分の意見を言葉として伝えることができるようになり、かなり成長しているようだ。


「二人の成長を見たら、拓哉さんきっと驚くわよぉぉ。 貴方、拓哉さんには明日帰ること言ってないのよね?」


ヴィクトリアは、二人を娘のように可愛がっておりアニカの頭を撫でながら話す。


「お父様、拓哉さんに知らせていないのですか?? 帰りを待ち浴びているのに可哀想に思います...」


悲しそうな顔をするベアトリス。


「最初は言おうと思ったのだが、急に連れて行った方がおもし...ゴホンゴホン! 感動するではないか!?」


最近、拓哉のことをからかうことにハマっているのか!? おもしろいと発言しそうになるヴァレリー。 ため息を吐くベアトリス。


「ハァァァ....またお父様の悪い癖が出てますよ。 お母様もよろしいのですか??」


呆れた様子のベアトリスが、ヴィクトリアに聞く。

悪い癖と言っているので、昔からからかう癖があるのだろう。

ラリサは苦笑いをアニカはおもしろいことが好きなのか笑って聞いている。


「日頃からお世話になってる拓哉さんには悪いけど、どんな表情をするか私も見てみたいわぁぁ。 いいと思うわよ」


ヴィクトリアもノリノリのようだ。 ヴィクトリアとヴァレリーは、目を合わせて笑い合っている。 ヴァレリーは、「そう思うだろう!?」と言う始末である。


「もぉ〜お父様もお母様も、あまりからかい過ぎると拓哉さんに嫌われますよ。 ラリサちゃん アニカちゃん二人は放っておいて私の部屋に行きましょう??」


呆れたベアトリスは、二人を連れて自室に連れて行くのであった。 

果たして、明日会う拓哉はどんな表情になるのか......


次の日の朝

朝早くから集まりヴァレリーが、転移をして連れて行く。


最近は、早く帰りたい一心で、夜も勉強をしていたラリサとアニカは、初めて見る村と化した憩い亭周辺の風景に声も出ず目を見開いて驚いている。


「驚いただろうぅ! バルトがどんどん作っておるらしいぞ。 それに、ここに住む仲間も大勢増えたみたいだからな。 俺たちは離れたところで見ておくから拓哉に会ってくるといい」


ヴァレリー一家は、離れたところから密かに再会の瞬間を眺めるようだ。 ベアトリスも半ば半強制的に隠れさせられる。 ヴィクトリアとヴァレリーは、すでにニヤニヤが止まらないようだ。


ピンポーン(インターホンを鳴らすラリサ)


拓哉が言う。

「ん?? インターホン?? 珍しいな。 誰だろ?は〜い今行きま〜す!」


普通は、ドアをノックする住人しかいないのにインターホンの音が聞こえたことで誰だろうとなる拓哉。


ガチャ(ドアを開ける)

「............」


予期もしていなく、いるはずのない二人が目の前におり、言葉を発することが出来ずに呆然と立ち尽くす拓哉。  固まったままの拓哉を見て、ラリサが「お父さん!?」アニカが「パパどうしたの!?」と声をかける。

拓哉は、その声に現実に引き戻されたのか、ハッとなる。


「え?え!?は? えぇぇ〜! なんで二人がいるんだ!? も、もしかして、遊びに来たのか?」


戸惑いを隠せない拓哉は、両手をバタつかせながら変な声を出してしまう。


「違うよ。 全部終わって帰ってきたんです。 これからは、お父さんと一緒にまた暮らせるんです!」


ラリサの言葉を聞いた拓哉は、少し固まった後、涙が溢れてくる。


「パパ〜お姉ちゃんもアニカもいっぱい頑張ったの。 ただいまなの〜」


アニカの"ただいま"を聞いた拓哉は我慢出来ずに大泣きしながら二人を抱きしめる!


「うぅぅぅグスン... うぐうぅぅ... 二人ともよぐがえっでぎだぁぁぁぁ。 ずっと待っでだぞ....」


泣きすぎて何を言っているのかわからない状態になる拓哉。 拓哉の泣く姿を見てラリサとアニカも大泣きする。


「わぁ~~ん。 お父さ〜ん、会いだがったよぉぉぉ....」


アニカが言う。

「うぇ〜〜ん。 パパ、パパァァァ 寂しかったの」


その感動のシーンを見ていたヴァレリー一家。


「これは、出ていけんな...からかおうとした俺が情けなくなってきた....」


笑い飛ばして出ていこうと思っていたが、あまりにも感動的な再会に罪悪感が増してきたヴァレリー。


「うぅ...私まで泣けてきたわ。 私達最低ね.....」


珍しく自覚するヴィクトリア。


「よがっだです...ラリサぢゃんもアニカぢゃんも頑張ってまじだもん。 うぅ〜本当に本当に再会でぎでよがっだぁぁぁ」


二人が頑張っている姿や寂しそうにしている姿を1番間近で見ていたベアトリスは、思いのほか感情移入して泣いてしまう。


そこに通りかかったマリーは。


「えっえっえっ。 なんでみんな泣いているんですかぁ〜!?!?」


よくわからない状況に、何があったのとなるマリーであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る