第95話 女性陣が氷菓子を爆食い!? お腹大丈夫かな??

異世界の夏は長い。 なんと7ヶ月近くもあるのだ。 最近、春の気候が終わり本格的に暑い時期になってきた。

異世界の住人も暑さに滅入る時期らしく、特に女性陣は限界みたいだ。


「なんで、こんな大人数でうちに集まっているんですか??」


ここは、拓哉の家なのだが、最近昼間から入り浸る女性陣達がいる。 桜花は良いとして、ヴィクトリア シャーリー ビーチェ モニカ マリーが毎日のようにくる。 更に何故かヤナとカイルも同席している。 カイルは、ヤナを兄のように慕い色々学んでいるみたいだ。


「仕方ないじゃない!? ここが、一番涼しくて過ごしやすいんだもの! 拓哉さんは、か弱い私達を追い出す気なのかしら!?」


どこがか弱いんだよとツッコみたくなるが、ツッコんだ瞬間、血の雨が降りそうで口に出来ない。 マリーさんに至っては、末代まで呪いをかけてきそうだもんな。


「追い出すというより、ヴィクトリアさんとモニカさんは仕事大丈夫なのですか??」


話を逸して、それらしいことを理由に追い出そうと考える拓哉。


「旦那がやってるから平気よ。 何かあれば転移してくるわ。きっと...」


はははは...心の中で乾いた笑いをする拓哉。 ヴァレリーさん、今日から滋養強壮に効果のある食事を出しますからねと思う拓哉。


「私は、朝のうちに取引帳簿の確認と必要書類の確認を済ませていますから、あとは夫が最終確認をするだけですので、この時間はゆっくりさせてもらっています」


ん?涼しい朝に終わらせて、ゆっくりする時間を作るまでは効率よくて素晴らしいと思うが、何故うちに入り浸る!?と疑問に思う拓哉。


「それにしても、不思議な魔道具。 魔力も魔石も使わずにずっと動くのだから。 この技術を手に入れられたら大儲けでしょうね!? まぁここにいる人は、全員売るよりも独占しちゃいそうだけどね。フフッ」


その通りである。 生活に不自由のないメンバーなので、自室につける以外考えられないのだ。  私利私欲は凄いが拓哉にとって無理矢理売ったり不利益になる人物がいないことが奇跡のようである。


拓哉はこれ以上居てもらっても困ると思い、以前考えていた氷菓子を作ろうと考えた。


「そんなに皆さんが暑いなら今からより涼しくなりましょうか。」


冷房の効いた部屋でかき氷を食わせて、寒くなったところを外に出す作戦を考えた拓哉。


「なにかしら?? 気になるけど、今聞いたら楽しくなさそうね。 楽しみにしているわ」


他のみんなも起き上がって拓哉を見る。


拓哉は、ネットショッピングで昔ながらの手で回す式のかき氷機とブロック氷とシロップを買う。


かき氷機を出すと、なんだろうとみんなが寄ってくる。


「あるじ、もしかしてだけど、前言ってた冷たいお菓子?」


おっ!!流石に桜花は、気づいてくれたかと思う拓哉。

お菓子と聞いて、どんなお菓子??と余計に詰め寄ってくる女性陣達。 カイルとヤナも気になるみたいでチラチラ見てくる。


「桜花よく気づいたなぁ。 ご褒美に1番最初に食べさせてやるからなぁ」


それを聞いた桜花は、耳をピクピクさせて尻尾をブンブン動かして喜んでいる。 他のメンバー...特にヴィクトリアがズルいと言っているが無視をする拓哉。


かき氷機に氷を乗せて回し始める。シャリシャリと音が鳴り、細かく削られた氷が器に盛られていく、光に反射して輝くその美しさにシャーリーが「凄く綺麗〜〜」と言っている。 器に盛られたかき氷に、どのシロップをかけるか、桜花に聞く拓哉。


「イチゴかレモンかメロンかブルー・ハワイどれがいい?」


桜花は決めていたようで、すぐに答える。


「ブルー・ハワイが食べたいんだよぉ!!」


拓哉は、それを聞いてブルー・ハワイのシロップをかける。 異世界にシロップなどないのと、青い色をした物がかかるということに、桜花以外は不思議な物を見るような目で見ている。

桜花は、器を受け取るとすぐさまスプーンを取り口に運ぶ。 食べた直後1本だった尻尾が9本現れてユラユラ揺れている。


「冷たくて、甘くてソーダのような爽やかな味が口に広がるんだよぉぉ。 おいしいよぉぉ」


その表情と言葉を聞いた女性陣は、早く食べさせてという勢いで迫る。 拓哉も気迫に負けて汗だくになりながらシャカシャカ回して作っていく。


「ん〜〜〜ん。 冷たくておいしいわぁぁ。 凄く甘いのにイチゴらしい風味もあるのね。 止まらないわ止まらないわ。 うぅぅぅ頭がキンキンして痛いわ!うぅぅぅ」


食べすぎると痛くなるやつだな。 周りも頭を押えて狼狽えている。 


「ふわぁ〜ちょっと酸っぱいけど甘くておいしいです。 僕こんなお菓子初めてです。 最初は、色に驚きましたが冷たいお菓子毎日食べたいです。 お兄様はどうですか!?」


カイルはレモンを食べたのだろう。 それにしても、ヤナをお兄様と呼んでいることに驚いた拓哉。 仲良くなったのは知っていたが、いつの間にそこまで仲良くなったのか?と思う。


「カイル、こっちもおいしいぞ。 ほらあ〜んして。 食べてみろ」


カイルとヤナは、本当の兄弟のように接している。 見ていてほっこりするなと思う拓哉。 

だが、ほっこりも束の間だった。


「使徒様、おかわりを頂きたいのですが.......!? だ、だめでしょうか?」


申し訳なさそうに言うシャーリー。


「使徒様使徒様、私もおかわり食べたいですぅぅぅ」


相変わらずのビーチェ。 使徒様と言う割に敬ってるのか疑いたくなる時がある。


「拓哉さん!足らないわ! 早くシャカシャカしてちょうだい」


この人は相変わらず人使いが荒い人だなと思う拓哉。


「これくらい自分でできるでしょ?? ほら追加で2台出したから自分でシャカシャカしてください」


みんなシャカシャカして作り始める。 ヴィクトリアだけが拓哉に器を出してやりなさいオーラを出す。 お前は女帝か何かかとツッコみたくなるが、言ったところで口で負けそうだし、仕方なくシャカシャカして渡すと「ありがとうね」と言って食べ始める。


その後も、かき氷の勢いは留まるところを知らず、いつになったら解放されるのやらと思う拓哉。

みんなが満足したのか、やっと食べ終わったと思いきや、女性陣の腹がグリュグリュと鳴り、トイレ戦争が始まる。 

そして作戦は、見事に失敗をして薬まで用意する羽目になった。


「皆さん、明日から自重してくださいね! 1人20杯30杯は食べ過ぎです。 子供のカイル君ですら我慢してやめてるのに、大人の貴女達がこの惨状じゃ示しがつかないでしょ」


女性陣は「うぅぅ!」と苦しそうにしている。 何故リッチのマリーも苦しむのか?謎に思う拓哉。


女性陣は、誰も言葉を返せなくなっているのでそっとして、カイルとヤナと三人で露天風呂に行くのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る