第12話 竜人と日本酒!後半魔王様襲来!!
外に看板を出す拓哉。
「よし!今日は本職頑張りますか。最近戦ってばっかだったしな」
まずは、エルに日本酒とキュウリと白菜の漬物を出すかな。
「お待たせ。日本酒と漬物だよ。日本酒なんだけど、高級な米を使ってるから、昔呑んだのよりうまいはずだ。熱燗にしたからゆっくり香りを楽しんでくれよ」
スンスン
「お〜果実のような香りがする。では待ちに待ったニホンシュ頂こう」
ゴクリ
「・・・・・!うむうむむ。拓哉...ありがとう30年振りだ。前のより澄んだ味わいに、雑味がなくうまい。まさしくニホンシュだ」
感動の再会に泣き出すエルドレッド。
「泣くほどとは嬉しいな。火乃国って、そこまでいい国なんだな。それじゃあ、漬物を食ってくれ」
パクバリバリボリボリしゃくしゃく
「これだこれ!この塩辛さに、なんとも言えないうまさ。ニホンシュにも合うな」
30年前の余韻を味わっているのか、物思いにふけた雰囲気を出すエルドレッド。それを静かに見る拓哉。何気なしに話し出す拓哉。
「俺の出身の話だけどさ...火乃国じゃないんだよ。俺は前世。ん~?この世界じゃないところで料理人をしてて、病気で死んで神様にこっちの世界でやり直すチャンスをもらって、神様から料理人としての使命を託され、ここで店を開いたんだよ。まぁ、魔境は半ば無理矢理?気づいたら決まってた感じなんだ。だからこっちの事情には詳しくないし、向こうだと戦いなんて経験したこともない。強いのも生き残る為に、与えられたスキルのおかげだしな。信じられないような話だけど、エルは信用できると思って話した」
真剣な顔でエルドレッドは聞いており、日本酒を一口呑んでから話し出す。
「やっと謎が解けたぞ。拓哉以外なら与太話だが、拓哉だからこそ信用できるし、わざわざこんな時に冗談を言うやつだとも思っていない。それにしても神様か!また凄い人物が出たな。あと、今後この話をする時は、本当に信用おけるやつ以外に、使命の話はするな。使徒様になってゴルドア聖王国のやつらが押し寄せるか、真偽を疑われ下手をすれば拉致され監禁だからな。俺は客であり友だと思っている。1人は辛いだろう困ったら相談しろ」
エルドレッドの優しさに少し涙ぐみながら頷く拓哉。
「エルはここで出会った初めての友だな。これからもよろしくな。にしても聖王国か、また厄介そうな国だな。気をつけるよ」
「前の教皇は慈悲があり誰にでも優しい方だったが、今の教皇になってからは、金が全ての腐った体制になってしまった。使徒だとバレたら利用されるか排除されるだけだな」
この世界の国は、ほとんど腐ってないか。 遊びに行くなら火乃国一択だな。
「色々聞かせてもらって助かったよ。これ以上付き合わすのは悪いし、また今度話を聞かせてくれ、新しい日本酒と何かつまみを持ってくるな」
「おう。聞きたいことがあればいつでも聞いてくれ」
席を外して、お酒とつまみを用意しにいく拓哉。
「お待たせ。ほっけにイカの塩辛と日本酒な」
「まずほっけという魚を食べるか」
パクパリもぐもぐ
「お〜これはうまい!脂がいい感じに乗っていて甘い!しかも肉厚で、魚なのに食った満足度がいい。この独特の風味がまたいいな〜。問題はこいつだ...見た目が...だが拓哉が選んだものだし頂くか」
イカの塩辛の見た目が苦手なようだ。
パクもぐもぐむにゅ
「ん?フハハ。食感がおもしろい!むにゅむにゅしているのだな。にしても塩辛く独特な風味だ。お!ニホンシュを呑んだらうまいな。独特な風味とニホンシュが合う。こいつはそう言う食べ物か」
その後は、エルドレッドも気に入ったのか、つまみと日本酒を交互に食べて呑んでいた。
お互い話すこともなく、のんびりした時間が流れていたのだが、急に空気が変わりのし掛かられたような重圧を受ける。冷静沈着で拓哉は平然としているが、エルドレッドはキツそうに脂汗を滲ませる。
何事だろうと思っていたら、店のドアが開く音が聞こえた。
カランカラン
「いらっしゃいませ」
「ここは料理屋か?にしてもおぬしよく我の威圧に耐えよるの〜」
まさに魔族の容姿。頭に2つツノがあり、高級そうなマントを羽織り目は赤目。イケメンなのがムカつくがな。
「ただの料理屋で、俺は店主の拓哉です。他のお客様もキツそうですし、2階には幼い女の子が寝ています。そんな強い威圧をされたらおちおち飯も楽しめないですし、威圧をやめてもらえないですか?」
料理人として、くつろげる空間を提供したい拓哉は強気に言う。
「すまぬ。なにゆえ我は魔王だからの。普段は部下を諌める為、威厳を出さなくてならないのでな。自然とこうなるのだ。名乗っておらんかったな。我はゾヴォール・バーゼン・ヴァレリーである」
まさかの魔王様かよ!にしても長い名前だな。
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