第14話 図書室の透明少女

五十嵐家で夕飯をいただいてから三日が経過した。あれから真白とは大きな接触なども特になく、普通の日常を過ごしていた。


しかし警戒は常にしている。何せ相手があの真白である、何をしでかすかわかったものではない。その気になれば学校にも現れるだあろう。考えただけでも悍ましい。


しかも今日は琴美さん、クラスの女友達と遊ぶ予定だそうだ。

つまりどういうことかというと、退屈なのである。話す相手もいないしやることと言えば雑用など。


そんなわけで今日は僕も1人の時間を楽しむべく、昼休み図書室楽園へと向かった。



やはり本はいい。独特な世界観に読者を引き込み、想像するだけで楽しくてしょうがない。特に今推しているのはライトノベルというジャンルのもので、異世界系や恋愛などを読んでいる。


この学校では、月に一度アンケートを取り予算の範囲であればどのジャンルにも関わらず本が入荷されるようになっている。

みんな基本スマホをいじるか、体育館に遊び行くのでこういったものをするのはごく一部の生徒だけである。だが、そのおかけで僕はこうして新刊のラノベをある程度チェックすることができる。


「ふう、今月チェックするとしたら6冊くらいか。流石に今すぐには読み切れないな。借りることにしよう」


僕はとりあえず半分の3冊ほど借りることにした。ちなみにだが、本を借りれるのは1人最大10冊まで。期間はおよそ2週間である。


「あれ?図書委員どこだ?」


カウンターに本を持ってきたのだが、肝心の図書委員が見当たらない。おかしいな。最低でも1人はいるはずなのだが。


「あ、あの、も、もしかして、本を借りたいん、ですか?」


何だかオドオドとした声が聞こえてきた。一体どこから・・・


「って、うわあああああああああっっ!!!」

「きゃああああああああああああ?!!」


な、何だぁ!?気がついたら目の前に図書委員らしき小柄な少女がいやがった。一体どこから出てきた!?


「あ、えと、その、きゅ、急に話しかけて、びっくりさせてしまいました、すみません…」

「あっ、いえ僕の方こそ図書室で大声出してすみません。一体いつからそこに?」

「?わ、私、最初からここに、いましたが?」


…っ!嘘だろ!?全く気配を感じなかったぞ。それどころか、音だってしなかったはずだ。まさか彼女も


「あ、あの。それで、借りたい本っていうのは」

「ああっと、すみません。この3冊をお願いします」

「は、はい。す、少し、待っててください。……あ、この作品」

「知ってるんですか?」

「はい。わ、私もこの作品好きで、あ、アニメも全話見て………」

「本当ですか!?実は僕もこの作品の大ファンなんです。よかったら少し話しませんか?」



5分後・・・


「そうなんですよ!主人公がそこで都合よく覚醒とかではなく、努力の積み重ねでたどり着いた強さっていうのが魅力なんですよ!!」

「わかる!ってかヒロインもいいよなー。時には主人公のライバルでもあり最高のパートナー。しかもそれでツンデレってもう非の打ち所がないっていうか」


何かめっさ仲良くなった。琴美さんとはあまりこう言った話で盛り上がらず、いつか誰かと語り合いたいと思っていたが、嬉しい誤算である。

この少女も先程とは違い、明るくハキハキと喋っている。


「…っ!す、すみません。ちょ、調子に乗って、たくさん、語ってしまって、その、」

「ああー気にしなくていいよ。相手が奴隷である僕なんだし」

「ど、奴隷?そ、そういえば2年生に、鎖をつけた、不気味な生徒がいるって…」

「ひどい言われようだげどそうだね。それ、僕のことであってるよ。そんなことよりさ、さっきみたいにまた話そうよ。まだまだ語りたいことが山ほどあるんだから」

「け、けど、そ、そしたら私、自分の言いたいことばかり」

「むしろ大歓迎だよ。遠慮せずに話そうよ。僕はもっと君とおしゃべりしたいんだからさ」

「……っ!!?………は、初めて言われました。そ、そんなこと」


あれ?何だか少し顔が赤い?

にしたってこの子……………えらい可愛いなおい!!!!

童顔で前髪が長いが、チラチラと見える瞳はパッチリとしていて、若干紫がかったミディアムヘア。

そして何と言ってもやはり、その小柄な体格とアンバランスな爆のつく胸!!!

制服の上からでもはちきれんばかりのデカメロン。サイズだけなら琴美さんや真白を遥かに上回っている。

い、いかん。気づけば視線が持っていかれる。恐るべし、合法爆乳ロリ!!


キーンコーンカーンコーン


っと、助かった。ちょうど昼休みの終わりのチャイムもなり意識を何とか切り替えられた。


「それじゃ、また機会があれば話そうね。ええと」

「あ、私『葉隠羽美(はがくれはみ)』って、言います。また、機会があれば」

「僕は隷園日鐘。またね。葉隠さん」


僕は一足先に図書室をでた。

有意義な時間であったが一つどうしても引っかかってしまうことがる。

葉隠さんのあれ、間違いなく異能である。

それに彼女はどうやら自覚できていないらしい。あんまりゆっくりしている暇はなさそうだな。




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