第12話 干渉

「………んぅ」


何の変哲もない狭い団地の一室。窓から日差しが差し込み、自然と目が覚めていく。


ループ生活×××日めの朝。みなさんご存知、僕「隷園日鐘」は今日も奴隷として生きていく。



現在僕は前の世界と同じ私立奇天烈学園2年生として通っている。


しかし、今回のループ生活はいつもと一味違う。

なんと、なななんと!僕は既に琴美さんと付き合っているのだ!!!


いやー、当初はどうやって琴美さんに接触しようか考えてたんだけどまさか1年のときクラスが一緒でしかも席が隣というミラクルが起こりペアワークを機会によく話すようになりまして。

それからはお互いの趣味について話したり共感したりして、土日には一緒に遊びに行くレベルまで仲良くなった。


そして一年の修了式の日。僕は琴美さんに屋上に呼び出されそこで告白された。それと同時に、僕に彼女の持つ力のことについても打ち明けてくれた。


僕は彼女を一生裏切らないと誓い、そこで付き合うことになった。


そういう経緯があり、僕は今こうして琴美さんと一緒に登校の最中である。


「……ねぇ、琴美さん。朝からこれはちょっと恥ずかしいんだけど」

「あら、私と腕組みするのが嫌なの?酷いわ。私はただ、恋人としてイチャイチャしたいだけなのに」

「いやむしろ嬉しいんだけどさ。けど、周りの視線が気になるっていうか…」

「そんなの無視すればいいじゃない。それとも、見られて何かやましいことがあるのかしら?まさか、浮気してないでしょうね?」

「そんなことするわけないよ。僕はいつだって琴美さんを一番に愛してるからね」

「ふふっ、ありがとう。私も愛してるわ日鐘。」


朝から砂糖をぶちまけるよな会話。それを聞いた男子は嫉妬に狂い歯軋りをし、女子はキャーキャー言ってる。


学校の敷地に入り、上履きに履き替える。

ちなみに奇天烈学園では、学年ごとに色が一年は緑、二年は青、三年は赤。クラスはA〜Eの5クラスである。

僕はCクラスで琴美さんはDクラスでそれぞれ別である。


別れ際の際、彼女は毎日恒例と言っていいお願いを僕にする。


「いいこと。いつも言ってるようにあなたは私以外の女の子との接触は禁止よ。会話はもちろん触れることも半径1メートル以内にも近づいちゃ駄目。仮に向こうが何か話しかけてきても無視すること。係としての最低限の会話は許可するわ。それと今日もあなたの分のお弁当を作ったから昼休み2人で食べましょう。それじゃ休み時間になったらまた来るわ」


最近になってようやく気づいたことだが、琴美さんは世間一般で言うところの『ヤンデレ』と言うやつなのだろう。

人によっては束縛がいやだったり、面倒くさいと思われるかもしれないが、僕にとっては大歓迎の話である!


愛が重たい?いいじゃないか。それって、自分がとにかく愛されてる証拠なんだから。

全く困ったもんだ。僕は今よりさらに琴美さんのことが好きになっていくのを感じる。彼女の新しい一面を知るたびに好きになってしまう。それと同時に彼女の一面を僕だけに見せて欲しいと思うようになる。奴隷だってのに随分欲が出てきちゃったな。僕も大概のヤンデレ気質だったりするのかなぁ。


そんなことを考えながら僕は1人教室でぽつんと座っていた。そもそもこんな身なりをした、いかにも危ないやつに話しかける奴なんてのはそうそういない。そうして時間はあっという間に過ぎていき昼休み。


琴美さんは言った通り必ず僕のもとへやってきた。一度、僕の方から琴美さんを迎えに行くと提案したら即座に却下された。なんでも琴美さんのクラスは美男美女が多いらしく、万が一にも僕にはクラスメイトを見て欲しくないそうだ。


僕たちは2人きりになれる屋上へ向かった。本来そこは開いていないのだが、僕にはピッキングスキルがあるため解錠することができる。


ランチマットを引いて、僕たちは早速昼飯を摂ることにした。


「うわっ、相変わらず美味しそうだね」

「そう言ってもらえると私も作りごたえがあるわ」


今日の彼女の弁当は二段式で、上の方にたくさんのおかずが詰まっている。ハンバーグにポテトサラダとキャベツや人参を刻んだ野菜。それに卵焼きやタコさんウィンナーとどれも美味しそうだ。

下の方はご飯がギッシリで、ふりかけがまばらにかけられている。

すぐいただこうと思ったが、箸は彼女の持つ割り箸一本だけである。それが指す意味なんてのは一つしかない。


「はい、あーん」

「あむ」


琴美さんは最初、卵焼きを差し出してきた。味付けは甘く、卵もいい焼き加減でありとても柔らかい。


「どうかしら?」

「最高しか言えない」

「それは料理が単に美味しいから?それとも…」

「もちろん、琴美さんにあーんしてもらったから」

「まあ、お世辞がうまいこと❤️まだまだたくさんあるから、遠慮しな

いでちょうだい」


琴美さんのお弁当を堪能し、ついでに膝枕までしてもらった。あまりに居心地が良く、うっかり眠ってしまうところだった。

昼休みもあっという間に終わってしまい、午後の授業が始まる。

それらも終わり、帰りのSHR。担任の先生からの連絡も特になく、放課後になった。みな一気にテンションが上がり、そのまま帰って勉強する人もいれば、部活をする人もいる。


僕は前者で琴美さんもそうだ。ただ、僕たちの場合日によってはどこか寄り道をしたりする。けれど今日は琴美さんが何か用事があるそうだ。


「え?今日海外で仕事をしていた姉が帰ってくる?」

「そうなの。かれこれ10年くらい会ってなかったのに急に帰ってくるって連絡が来たのよ」


確かに急な話だが、僕にとってそんなことより別の方が問題だ。

おかしい。僕の知る限りでは、琴美さんはのはずだ。

なんだか、とても嫌な予感がする。


「ねえ琴美さん。僕、そのお姉さんに会ってみたいな」

「っ?!それは一体どう言う意味かしら?返答によっては、あなたの首から下が消し飛ぶわよ?」

「いやいやいや!別に変な目的があるわけじゃないよ!ただ近い将来、もしかしたら僕の義姉さんになるかもしれないし、挨拶をしておこうと思って」

「っ!!もう///気が早いんだから❤️」


別に嘘は言っていない。そもそも通用しないし。

だが、どうしても確認しておきたい。もしかしたらこれからもっと大変なことになるかもしれないから。


「着いたわよ。このまま上がっていく?」

「そうさせてもらいます」


彼女の家は少し大きめの二階建ての一軒家だ。青と白を基調とした綺麗な家でどこかおしゃれな感じがする。一応琴美さんのご両親とは面識がある。


「母さんただいま。今日は日鐘も連れてk」

「おかえりなさい。琴美」

「「……っ⁉︎」」


玄関にいたのは琴美の母親ではなかった。真っ白な肌に真っ白な髪を腰まで垂らし、どこまでも澄んだ白い瞳。顔立ちも人間離れして整っており、そのスタイルは世の男だけでなく女を魅了してしまうほどに色気を感じる。


嫌な予感が当たってしまった。やはりこの女、直接干渉してきやがった!!!!


「久しぶりね琴美。元気にしてたかしら?それと隣にいるのはもしかして彼氏かしら?初めまして。私琴美の姉の『真白(ましろ)』と申します。これからも是非、妹をよろしくお願いします」




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どうも皆さん!お久しぶりです!!

改めて、私の身勝手な行動心よりお詫び申し上げます。


至らない点は山ほどありますが、できる限りのベストを尽くしますので、これからもよろしくお願いします。










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