第5話 知ったふうな口を聞くな

「当たり前です。でなかったらわざわざこんなことを頼みません。何でそんなこと聞くんですか?」

「一応確認ってやつ?奴隷君が触れるだけといったけど、それは本当に琴美ちゃんが望んだ場合のみだからね」

「何が言いたいんですか?」

ほんの少し眉を上げ、声を低くする五十嵐さん。その反応を待ってました言わんばかりに千尋先輩は口角を釣り上げた。

「つまり私が言いたいのは、それが本心かどうかだ。普通の人ならそんな特別な力を手に入れたら、誰だって手放したいとは思わない。ましてや心を読む力ときた。さぞ便利だろうね」

「便利、ですって?」

「だってそうでしょ。極端な例を挙げるなら、君は一生人に騙されずに生きていける。地味に聞こえるかもしれないけど、世の中騙されてお金を取られたりする人なんてたくさんいる。後になって後悔するかもしれないよ〜。苦労のなかった琴美ちゃんの人生がこれを機に大変なことに…」

「ふざけるな!!!!!」


テーブルをドン‼︎と叩き、五十嵐さんは劈くような怒声と同時に千尋先輩を睨みつけた。ここまであからさまな敵意を五十嵐さんが見せるだなんて、僕に矛先が向いてないにも関わらずちびりそうになった。


「知ったふうな口を聞いて、何様よ!便利な力?私の人生に苦労はない?あんたが私の何を知っているのよ‼︎」

「さあ?今日初めて会ったし知るわけないじゃないか。琴美ちゃんはもう少し大人な感じがしたけど、そうやってヒステリック起こすような子だったとはちょっとガッカリしたよ」

「あ、そう。私も今回のことでようやく理解したわ。人なんて所詮分かり合えない。信じられるのは自分だってことにね。たとえ話が本当だったとしてもあなた達に頼るくらいなら今の方がマシよ。2度と私に関わらないで。もちろんそこのへなちょこビビりもよ」


財布から1000円札を取り出しテーブルの上に置いてそのまま五十嵐さんは店を後にした。てか、僕何も悪いことしてない様な…


五十嵐side


今日は一日無駄な時間を過ごした。あそこまで不愉快なことを口にする人なんて初めてだった。

ようやくこの体質とおさらばできると思ったのに、期待外れもいいところだ。今日はもう疲れたし早めに帰ろうと思った矢先、大学生のチャラそうな人たちに絡まれた。


「あのすいません。どいてくれないかしら」

「ヒュー、気の強い姉ちゃんだね〜。ちょっと一緒にお茶しない?」

「いえ、今日は用事がありますので」

「少しくらいいいじゃん。何だったら奢ってあげるからさ」

(鬱陶しいわね。あんまりしつこい様なら警察に…)

(今だ。やれ‼︎)

「…っ⁉︎しまっ……」


私は背後からハンカチを押し当てられ、呆気なく意識を手放した


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どうも作者の斧田ミンです!

まだ上手くカクヨム の機能を扱えず苦戦中です(泣)


ここもっとこうしたらいいとか、誤字脱字等などがあればぜひコメントしてください。


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