第2話 心を読む力
「人の心が読めるね。俄かに信じ難いけど今まさに心を読まれたわけだし、信じるよ」
「あら、すんなりと信じるのね。まあそのほうが私にとって都合がいいけれど」
「だったら早速本題を聞かせてもらおうかな。何でそのことを僕に教えたの?僕に何をして欲しいの?」
「そうせっかちしないで、ちゃんと一から説明するわ。その前にジュースを買ってきてもらおうかしら。これで買ってきてちょうだい」
「わかった」
僕はお金を受け取り、自販機のところに向かった。あ、何を買えばいいのか聞きそびれた。
◇
「買ってきたぞ」
「ありがとう…って何これ?梅ソーダ?よりによって何でコレを買ってきたのよ」
「何買えばいいか聞きそびれたし、あと美味しそうだったから」
「わかったもういいわ。次からはちゃんと細かくお願いするから」
プシュッ ゴクゴク
「ん。これ意外といけるわね。さて、どこから話そうかしら。まず何であなたに話したかというと、理由は大きく分けて2つあるわ。1つはあなたが奴隷だから。噂だとあなたはお願いすれば何でもいうこと聞くそうね。今回の場合あなたのような人が便利なのよ。そして2つ目が重要。時々読めなくなるのよ。あなたの心」
「読めなくなる?」
「そう。今までこんなこと1度もなかった。人は誰でも何も考えていない状態なんてない。どれだけ集中しようとも、睡眠してようとも。けれどあなたの心は偶に何かに妨害されたように聞こえなくなるの。単刀直入にきくわ。あなたなら私のこの変な体質を治すことができるのかしら」
「結論だけで言えば治せる。けど今すぐには無理だ」
「治せるのね。それだけ聞ければ十分よ。いつならできるのかしら?」
「そのことなんだが、その体質について詳しい知り合いがいる。まずはその人に会ってもらいたい」
「その人は信頼できるのかしら」
「その点については問題ないと保証する」
僕の瞳をジーッと見つめる五十嵐さん。くっ、つい視線が胸にいってしまう
「ふーん、一応嘘はついてないようね。わかったわ、日時はどうするの?」
「今週の土曜13時に駅前のファミレスとかでいいかな」
「私は大丈夫だけれど、その知り合いとやらに確認しなくていいのかしら」
「大丈夫大丈夫。そいつ年中暇人だから」
「何だか急に胡散臭いわね。まあいいわ。今日は悪かったわね、急に呼び出して」
「別に構わないよ。サンドバッグにされるよりかは100倍マシだし」
「…あっそ。それじゃあね、ど変態」
最後に侮蔑するかのような冷たい視線を残して、五十嵐さんは去った。てか視線バレてたのね
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