奴隷、やってます
漣頼(旧:斧田ミン)
第零章
第1話 学園の奴隷
私立奇天烈学園には奇妙な生徒がいる。自らを奴隷と称し常に首と手首に鎖をつけている不気味な少年の名前は「隷園日鐘(れいえんかがね)」。黒髪のアホ毛が目立つ彼はいつも教室の隅でポツンとしている。たまに柄の悪い生徒にパシられているが、彼は表情をピクリとも変えず従っている。進級して2年生になった今も彼は呑気に読書している。
そんなある日のことだ。彼の下駄箱に一通の手紙が入っていた。
『放課後、校舎裏で待っています』
………はて?
手紙というものをもらったのが初めてだったので、僕は今間違いなくアホな顔をしているだろう。ここで様々なパターンを予想した。
1.告白……はないな。一番ない。
2.サンドバッグ。しかし普段ならこんな回りくどいことしない。なら、
3.ドッキリ。そうかこれだ!おそらく僕は女子に嘘の告白をされるのだろう。僕のアタフタする姿を見て楽しむつもりか。
はぁ、仕方ない。覚悟を決めるとしますか。
◇
放課後、指定された通り僕は校舎裏を訪れていた。そこで待っていたのは予想外の人物「五十嵐琴美(いがらしことみ)」だ。手入れの行き届いたストレートの銀髪に整った顔立ちと切れ目。スラリとしたモデルの顔負けのスタイルに制服越しにでもわかる豊満な胸。これに加えて文武両道なんだから世の中不公平というやつだ。
それにしてもクラスで孤高を貫いている彼女が嘘コクとは正直意外だった。僕は前もって用意していたキャラを作り彼女に近づいた。
とにかく目線を動かし挙動不審なキモオタを演じたところ、彼女は僕にこう言った。
「生憎だけど、今日あなたを呼び出したのは嘘コクをするためではないわ。だから今すぐそのキモいキャラやめてくれないかしら。」
「え?じゃあなんで僕を呼び出し……………」
………っ‼︎いや、待て。それよりもなんで僕が嘘こくをされると思ってしかもキャラを作っているなんてバレたんだ⁉︎だって彼女とは初対面の筈
「ええその通りよ。私はあなたと初対面、それは間違いないわよ。」
なんだこの感覚。まるで思考を覗き見されてるような……
「……まさかっ!」
「ふふっ」っと彼女は妖艶に微笑む。夕日がバックとなりさらに色っぽく見えてしまった。
「あなたの予想している通りよ。私は人の心が読めるの」
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