第2話

僕は、とても後悔している。

それは、勿論昨日の父から受けた話である。

結局眠るしか思考を放棄する方法が思い浮かばず昨日はとりあえず寝ることにしたのだが、朝になり起きてしまえばもう一度寝る事はほぼ不可能であり、僕は既にどうすればいいのか考えた所で後戻りは出来ない。

女子校に通わされるだけでもキツイのに、通っている生徒は全員双子という謎のオプション付きとか男子が1人で行くにはあまりにも鬼畜な仕様である。

父さんのことだから、昨日のうちには入学の手続きは終わらせてるだろうしなぁ。

僕はとりあえずベッドから起き上がり、この件については諦めることにした。

僕が父さんに抗議したところで、また泣きつかれたら僕は断れないという事が分かっているから。

1階のリビングに行くと、父さんが椅子に座りながら机に読み終わったであろう新聞紙を整理していたところだった。

「父さんおはよう」

「あぁ奈良矢君、おはよう。昨日の間に入学の手続きはしておいたよ」

「予想通りやること早いね父さんは」

「そりゃあ一端の大人だからね」

「へぇー、一端の大人は自分の息子に泣きつかないと思うけどね」

「それを言われると何も言い返せないね」

父さんの発言に少しだけ不快感を得た僕は、少し父さんに皮肉を言うと、父さんは引きつった笑顔でそう答える。

「ま、まぁまぁ、それはそれとしてさ。

奈良矢君にはとりあえず1週間後に1回だけ試しで学校に行ってもらうよ。そこで本当に無理そうだと思ったら父さんは無理を強いることはしないと約束する」

あまりにも強引な話のずらし方に正直ため息が出そうだったが、僕はそのお試し体験があるのをたった今聞かされたのでまんまとそのやり方に引っかかった。

「1週間後って、それまで僕学校は?」

「もうこっちに転校させてるから、理事長権限によって1週間後までは有休ってことにしておくよ」

「職権乱用だね」

「いいんだよ。父さんには奈良矢君を無理やり転校させてしまった分、償いをしないといけないからね。この一週間で気持ちを落ち着かせて欲しいし、心の準備もして欲しいから」

「そう言われると僕からは何も言えないよ」

父さんからの1週間の休暇というプレゼントは僕の気持ちや心を整理させるためには確かに欲しい時間ではあるし、父さんはちゃんと僕に悪いと思っている事は伝わったので、これ以上意地悪を言うのは辞めにした。

そして、それから1週間という時間はあっという間に経過し、僕はお試し体験の日を迎えるのだった。

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断る事ができない俺が双子専用の女学院で10股することになってしまった件 白悟那美 破捨多 @tukimiko

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