断る事ができない俺が双子専用の女学院で10股することになってしまった件

白悟那美 破捨多

第1話

僕はみんなからよく頼み事をされる。

理由は簡単、単純に僕が人からの頼み事を断れないからである。

例えば、放課後の掃除を変わって欲しいだとか、授業のノートを見せて欲しいとか、レベルの高いものだと、代わりに告白してくれとか、代わりに部活動の大会に出てくれとか、断る事が出来ない僕にはそういう頼み事が絶えない。

僕からすれば、頼み事をうける事によって誰かが幸せになるのならそれでいいという感覚だし、断るのはせっかく頼んでくれたのに悪いと思ってしまうか断る理由も無いのだ。

だけど、僕はこの性格のせいであんな事になるだなんて思っていなかった。


「お願いだよ!こんな事、息子である奈良矢ないや君にしか頼めないんだよー!」

僕は今、何故か目の前で実の父親が土下座をしながら息子に頭を下げる姿を見る事になっている。

いきなり父さんから連絡が来て実家に戻ってきてほしいと言われて、帰って早々僕は父さんに自分が校長を務める学校に特別枠生徒として転校して欲しいというのだ。

「えっと、つまりは今の学校から父さんの学校に転校するから、寮も移動しないといけないし、また一から友達も作らないといけないって事?」

「本当にごめんね。そうなっちゃう」

「いや、別に良いんだけどさ。いくつか僕は父さんに聞いておきたい事があるんだよね」

「なんだい?こんな急な話を了諾してくれる優しい息子の問いにはいくらでも答えるよ」

「まず、父さんが務めてる学校って中等部と高等部が一緒になってるんだよね?」

「そうだよ。奈良矢君は高等部になるね」

「分かった。次にその学校って確か双子しか入学出来ないんじゃなかったけ?」

「うん、だから奈良矢君には悪いけど、奈良矢君だけ一人で周りは双子って事になるよ」

「それも別に良いんだけどさ。最後にこれが一番大事な所だけど、その学校って女子しかいないんだよね?」

「うん!教員には男性もいるけど、生徒は全員女子になるね!奈良矢君からしたらハーレムだって作れちゃう最高の環境だね!」

「いや、ハーレムとかどうでもいいんだけどさ、そんな特殊条件まみれの学校によく息子を1人で行かせようとしたね」

「しょうがないじゃないか、父さんが校長を務める双津ヶ丘ふたつがおか女学院じょかくいんは双子の女子専用に作られた学校であり、男子がいないせいで生徒たちは男にほぼ慣れていない状態で卒業して初めての彼氏とかが悪い男で騙されるケースもあるかもしれないし、だからといって父さんとか他の男性教員が男性についての知識を教えようにもそれはそれで問題になりそうだから、息子である奈良矢君にしか頼めないんだよね。」

「なんだよそれ、まるで僕は女子達の興味に付き合わされる玩具じゃないか。ただでさえ男で一人だけ女の子しかいない学校に行くのがプレッシャーなのに、その上男性について教えさせるとかハード過ぎるよ」

「まぁまぁ、そう言わないでよ。半年後には奈良乃ないのと母さんも帰ってくるしさ。そうなれば、周りが双子って点に関しては問題無くなるでしょ」

「たしかに半年後にはその問題は解決するかもしれないけど、奈良乃が帰ってきたとしても結局は僕以外みんな女子じゃないかよ!」

「そこに関してはごめんね!」

「もうあんたこの際勢いで乗り越えようとしてるだろ!」

「でも、こっちの学校に来た方が寮も広いし学校までも近いからいいと思うよ」

「全く、他でもない父さんの頼みだし、僕からすればメリットの方が多いからこの話は受け入れるけどさ」

「本当!ありがとう奈良矢君!手続きはこっちで済ましとくから、来週からよろしくね」

「うん、でもサポートはしてよね」

「勿論だよ。父さんの我儘わがままに付き合わせてしまってる分、そこはしっかりとするよ」

「じゃあ、頼んだよ」

僕が断れない性格になってしまったのは、このいきなりとんでもない事を言い出す父さんと今は家にいないけど、基本人任せな性格な母さん、そして両親が忙しかったから基本的に僕が面倒を見ていた双子の妹の奈良乃がいたからだ。

家族が僕に頼りきりなせいで、僕は小学3年生の頃にはある程度の家事はこなせるようになっていたし、スポーツや勉強などでも友達に頼られる事が多かったから気づかないうちに基本的に出来るようになっていた。

そのおかげで、僕は今の基本的に何を頼まれても出来てしまうし、その人の為を思って断れない性格になってしまった。

「父さんの無茶ぶりにも慣れたものだな」

こうして、父さんからの無茶ぶりで僕は、双津ヶ丘女学院の特別枠生徒として転校する事が決まったのだった。

「はぁー」と深いため息をついて、僕は久々に実家の自分の部屋であまりの疲労を消し飛ばすために眠りにつくのだった。

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