第26話

 転移魔法陣で移動して、五層フロアボスを倒す。そのまま五層を探索し、昼頃復活した五層フロアボスを倒して六層へ移動。

 六層を探索し、夕方くらいに再び五層へ戻り、フロアボスを倒してからガチャボックス前の広場へ戻る。


 その間アオイはだいたい肩の上にのっていて、休憩中は膝の上にいた。モンスターに怯えることもなく、ときどき羽をパタパタ動かすくらいで、とってもおとなしい。

 昼食は食べなかったが元気そうだ。

 排泄する様子もないし、魔力供給必須で食べなくてもいい存在ぽい。


 昨日とは別の冒険者パーティーが2組おり、彼らもまた早朝にラダバナに着くように出て行くのだろう。

 夕食が終わると、ガチャをしに行く。昨日の教訓から、今日は銅メダルから投入する。

 今日は枚数が多い。フレイムブレイドから報酬分の銅メダル、三〇〇枚ももらっている。


 ここのガチャ、鉱物や金属の出も悪い。草とか葉っぱは出やすいので、薬の材料や茶は多く出ていた。

 これでミルクさえ出ればミルクティーが飲めるようになる。

 万能薬のレシピや万能薬の薬草セットもちょっと気にはなったが、一〇〇枚ガチャって馬乳一本しかでなかった。


「ねぇ、ここ本当にミルク出やすいの?」


 レシピファイル五十が埋まったので、それはいいけど、ミルク目的で来たダンジョンでミルクが出ないのは何か悔しい。

 ぼやいていると、メイが仕方なさそうに銅メダルガチャを五回するとミルクが出た。鑑定すると羊乳となっている。


「チーズにして」


 ミルクを渡されてチーズにした。朝同様に試食すればなくなる程度しかないし、アオイが食べたがったのであげる。


 メイがミルクが出ることを証明してくれたし、エイコはレシピ率が下がってきたのでそろそろミルクが増えるはずと自分を励ましながらガチャった。

 ミルクより先にレシピファイル三十が出た。またしてもレシピ率が上がる。

 レシピは悪くない、五十のは引き車(冷凍車)だったし、今回の三〇は簡易住居テントだ。

 それらを作るのに必要な素材が出てくれるのもいいが、残り五十枚をきったところで出たミルク三本。三枚でた絨毯と同じ割合だ。


「ここ、絨毯出やすいの?」


 銀メダルを残して全部銅メダルを使い切ったが、ミルクは五本までしか増えない。絨毯は六枚まで増えた。


「ミルク出なーい!」

「明日ガチャしたら分けてあげるから、落ち着いて」


 叫んでないで寝ろと、メイにテントに連れ込まれる。


「あのね、ここで出る絨毯、高級品なんだって。今晩襲われるかもって、警戒してる」

「えっ?」

「小さいので最低五十万エル。大きいのは三〇〇万エル超えるそうよ」


 部屋で使う気だったんだけど、やめた方がいいんだろうか。部屋には三枚あればいいし、一つは奴隷商の対価に使えそう。


「今敷布団代わりに使おうかと思ってたんだけど」

「やめて、値段聞いたあとだと寝られない」


 テントにそのまま横になって、薄い布団をかぶるだけより寝やすいはずなのに、ダメらしい。

 少しくらい寝心地悪くても、一日動いた後だ。横になって目をつぶれば眠りはすぐに訪れる。


 起きると、襲撃はなかったと眠そうな顔でメイに言われた。あちらがフレイムブレイドにAランクの冒険者がいると知っており、襲うのはやめたらしい。


 フレイムブレイドは見張りを多めにしたので、みんなちょっとづつ睡眠時間が短くなっている。けれど、今日には町に戻るし、この程度なら数日続いてもどうというこのはないそうだ。


 今日の予定としては朝食を食べたらフロアボス狙いでダンジョン探索を行い、昼前にはダンジョンの外へ出る。ダンジョン前で昼食をとりながら迎えの獣車が来るのを待つそうだ。

 エイコたちは五層フロアボスを狙い、そのあたりで銅メダルをちょっと集めたらダンジョン探索は終わりになる。


 今回は複数のフロアボスを倒しに行ったブレイドブレイドの面々より、先に戻ってガチャボックス前に戻ってきていた。

 今日まであんまりガチャしてなかった

メイが、生産職用のガチャボックス前にいすわる。

 リラとラミンは戦闘職専用のガチャボックスを使うそうで、空いている混合ガチャボックスをエイコは使うことにした。


 昨日使えなかった銀メダルをまず使う。

フード付きのマントとネックレスがでた。マントは断熱防水でどうも日除けや防寒用、雨ガッパみたいにも使えるらしい。フードを被ると認識阻害もかかるようだ。

 ネックレスのほうは毒耐性がついており、食中毒予防に常に身につけていると良さそうだった。

 銅メダルは革素材や薬剤ばかりであいかわらずミルクがでない。時間がなかったから十枚ちょっとしかなかったとはいえ、最後の一枚でまたしても絨毯が出だ。


「メイ、絨毯とミルクトレードしよう」

「うん、ぜんぶ持っていっていいわ。わたしじゃ腐らせずに町まで持って帰れないし。でも、チーズにしたら分けて」


 まず、メイ周りに並べられているミルクを保存容器に移す。半分くらい移したら、チーズや生クリーム、バターに錬金術でかえて目方を減らしてから冷蔵庫に詰めていく。

 ミルクの入っていた容器は瓶だったり、皮袋だったりするが、全部清潔魔術できれいにしてから収納してしまう。

 数は少ないが、木の樽に入っている物もあった。

 

「えっ、食用生卵なんて出るの?」


 エイコが出した卵は一個だけで、もう

孵化している。魔力奪って孵化しちゃったから、食用でもない。


「ミルクほどではないけど、そこそこ出るのよ、卵」


 リラもラミンもガチャが終わったようで、枚数が少ないのにミルクも卵も出たそうだ。


「卵も半分はあげるから、騒がない」

「本当? ありがとう。これで料理できる」


 さすがに卵焼きや茹で卵くらい、エイコだって作った事はある。

 メイのガチャが終わるのを待っている間に、他のフレイムブレイドのメンバーも戻ってきてガチャし始めた。

 全員のガチャが終わると、そろってダンジョンの外にでる。


 久しぶり青い空をみて、太陽の光を感じた。ここのダンジョンは空があって明るいけど、やっぱり太陽の下とは違う。

 ダンジョンでは感じなかった強い風をうけ、解放感に気持ちが高揚する。

 まだ、迎えは来ないだろうし、この辺りに人はいない。

 材料のそろった新しいレシピはいっぱいあり、浮かれ気分でエイコは部屋に帰ってからは作りにくい引き車(冷凍車)と簡易住居をまず作ることにした。


 ほとんどの工程は錬金術で行われるため、時間はあまりかからない。ただ、パーツごとに作っていくことになるため、ポーションほどお手軽にはできなかった。


 先に作ったのは引き車。だだ、実際には動かせないので、作っただけでそのまま収納にしまう。大きかったので、ブローチの方に収納した。

 こそっとしまったのに、ラミンだけは腕輪じゃないのに気づいたぽい。けれど、何も言ってこなかった。


 簡易住居の方はとにかくパーツが多い。そのおかげで、これを仕上げてしまえば、住居にいりそうなものはだいたい作れるようになれそう。

 固定式の家ではなく、あくまでも移動させることのできる住居になっていた。移動民族の家って感じで、そのために絨毯が多く出たのかもしれない。


 作成が終わった頃、遠くに迎えの獣車が見えたようでしまえと急かされる。ついでに、迎えが到着した時には食べ終わっていろと食時も急かされた。


 冷めかけたスープは急いで食べられるが堅いパンはムリ。割ってから一口、二口食べて残りは持って帰る事にする。


 ラダバナには空が青いうちにたどり着いた。

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