第4話「ゲームの話1」

「はぁ、昨日の紹介を見たあとだと、余計に馴染めるか心配になってくるな」と少し不安を零しながら僕は昨日入った生徒会の仕事を説明してもらうために生徒会室に来た。

「失礼します」

生徒会室に入ると、生徒会の会計である碧真あおざね先輩だけしか来ていなかった。

しかも、碧真先輩は真剣な顔をして椅子に座りゲーム機を触っている。

「アァァァァァ!またルートミスった!!」

いきなり碧真先輩が叫び出し、あまりの大声に僕も驚いて「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」と何年ぶりかの大絶叫をかまし、生徒会室には2人の高校生男子の耳を劈くような声が響き渡った。

「あ、笹倉ささくら来ていたのか。急に大きな声を出してしまってすまないな」

碧真先輩が僕の存在に気がつき謝罪をした。

「いえ、大丈夫ですよ。それより、あんな大きな声を出すくらい熱中してるそれって」と僕は碧真先輩に問いかける。

「あぁ、これは昨日発売されたゲームでな、通称おつ星スと言われてる人気ゲームだ」

「僕は知らないですね。すみません。ちなみにフルタイトルは?」

「いや、知らない人だっているだろうからな、俺の翼はもがれて飛べないぜ☆クライシスがこのゲームのフルタイトルだ」

いや、まじで聞いた事ねぇ!てかなんだそのタイトル!てかそんなん、僕どころか日本でも少ないだろ。と心の中でツッコむ。

その時、生徒会室のドアが空いた。

「今帰りましたよー。さっき凄い声がしましたけど、どうかしたんですか?」

「ウルサ カッタ ゾ」と仕事を終えて戻って来た副会長の朱雀嶺すざみね先輩と書記のミアが帰って来た。

今日知った事なのだが、ミアは僕と同じ1年生で同じクラスだった。

「いやー、おつ星スのルート攻略ミスっちゃってさー」

碧真先輩の言葉に僕は、昨日でたゲームの話を女子組が分かるのかな?と思った。

「あら、それは確かに悔しいですわね。私も昨日、推しの狩琉砂かるさちゃんのルートに行けなくて唸っていましたから」

「ミアモ ロッテノルート ハイレナクテ ゲーム ブンナゲタ」

「ハハハッ、ミアちゃんやりすぎだよー」

「ゲーム機が壊れたら元も子もないわよ」

いや待てよ。なんで知ってるの?それ聞くからにギャルゲーだよね。知ってるだけならまだしも普通にめちゃくちゃやってるしさ。俺だけ?もしかして俺だけが話題についていけてないのか?と僕は動揺と落ち込みで頭がパンクしそうになった。

「皆さん知ってるんですね。僕は全くそのゲームが分からなくて」

「あら、そうなの?このゲームはギャルゲーだから、笹倉君は知ってるかと思ったわ」

「いえ、それが全くで」

「だったら、たらたらたら!今覚えればいい〜のだよ。新入生ニューチャレンジャー

「うわっ!会長一体どこから」

突然後ろから会長が声をかけてきて僕はまた驚きが隠せなかった。

「会長は相変わらずステルス機能高いわね」

どうやらいつもの事らしい。

「それでは今日の仕事は全て終わらしているし、この新入生におつ星スの事を我々が教えてあげようではないか!」と会長が高らかに宣言する。

それに対し「了解」と生徒会メンバーの息のあった返事に僕は置いていかれた。

この人達、頭はいいのに性格が個性的すぎるからバラバラなのかと思うけど意外と全員気があってるんだよなーと心の中で思う。

ともかく、そんなこんなで僕のおつ星ス勉強会が始まるのだった。


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天才厨二病達の生徒会生活 白悟那美 破捨多 @tukimiko

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