12

「おい、ちはる。そろそろ、障害物競争始まっぞ」

「うるさい、遠藤! 汝のあるべき姿に戻れ! クロウカード!」

「カードキャプターにならなくていいから! お前が戻るのは自分が出場する種目の待機列だろ」 


 お菓子休憩が終わった後、俺が木陰にいる幼馴染に近づくと、彼女は塀に寄りかかりながらぐだぐだしていた。


 犬神ちはるの顔に、木漏れ日が落ちる。


 俺は、幼馴染の小柄な肩をポンポンした。

 犬神ちはるは、えうっ! とびっくりしながらも、俺の背中に手を回す。


「大丈夫、大丈夫」


 彼女の肩をポンポンして、腰を軽くポンポンして、頭も二回撫でる。


「でも、ここから出たら、みんなの前で泣いちゃいそう……」

「何言ってんだよ。さっきからみんなこっち見て、微笑ましくて笑っているよ」

「え⁉︎」


 幼馴染が驚いて辺りを見回すと、みんな一斉にパッと視線をそらす。

 犬神ちはるはかーっと赤くなった。


「お前が通ってきた道はさ、案外みんなも通ってきた道かもしれないよ?」

「そうなのかな……?」

「みんなもちゃんと理解してくれてるから、少し自分らしくいってみよう! さ、こっちこっち!」

「うん……っ!」


 俺は幼馴染の手を引いて、校庭の隅、木陰から移動した。太陽が気持ちいい!


――――――

あとがき

 今回短くてすみません! 先週から体調崩してて、まだ病み上がりでして。とりあえず更新ということで。徐々に元のペースに戻していきますの。その辺りの調整は得意です。気長に楽しんでくださいねー!

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