戦車レース
コロッセウムはパワーローダーによるバトリングだけでなく乗り物関連も盛んである。
もちろんその乗り物には戦車も含まれている。
Side 加藤 佳一
「うわ~戦車だらけだ!! 凄いな!!」
マヤは目を輝かせ、
「本当だ。凄いねケイイチ!」
ナナでさえも興奮した様子だった。
「そうだな――ミリオタの気持ちが分かったよ」
世紀末風にアレンジされた戦車たち。
武装の配置からカラーリングにすら拘っている。
商人相手に戦車の持ち主が交渉して戦車のパーツを手に入れようとしていた。
それはマヤも同じであり、予算内で欲しいパーツを手に入れようととにかく必死だった。
☆
「で? なんで戦車レースに出ることになってんだアイツ」
「頑張ってマヤ!」
俺は少し呆れながらもナナは観戦ムードだった。
コース内には様々な戦車――中にはスポーツカーに武装を施したような車両まで出場していた――戦車なのか?
あとこれ殺し合い上等のデスレースじゃないよな?
戦車レースは意外と本格的で浮遊ドローンや各ポイントに配置されたカメラを使ってスクリーンに映し出されるらしい。
各ポイントを順番に潜り抜けてゴールすれば勝ちだそうだ。
そうこうしているウチにレースは始まろうとして――
『では戦車レース!! スタートだ!!』
そして次々と発進する戦車を含めた乗り物たち。
コース内には過去のレースの産物だろうか障害物が散乱しているがそれを破壊し――
「って襲撃もあるんかい!?」
俺は思わず突っ込んだ。
まさかの野盗の襲撃。
しかしレースは続行。
そこからさらに化け物の襲撃もあったがそれでも続行した。
これ俺達も乗っていた方が良かったかなと思った。
いちおう卵型の浮遊サポートポッドが支援してくれているそうだが・・・・・・不安になった。
優勝とかどうでもいいからもう無事に帰ってきてほしかった。
☆
「あ~やっぱダメだったか・・・・・・」
戦車の整備状でマヤは残念そうに言う。
「ああ・・・・・・無事に帰ってきてくれて嬉しいよ」
そんなマヤに俺は本音を漏らす。
「それ口説いてるの?」
と、マヤは顔を赤らめたが
「野盗とか化け物とかの戦うシーンとか見れば誰だってそう思うよ」
冷や水をぶっかけるようで悪いが俺は胸の内を語った。
「でも凄かったよマヤ」
「ありがとうナナ。次の機会があれば優勝するから」
「また出るつもりかい――」
流石は世紀末の女性。
日本の女性とは逞しさの次元が違うなどと俺は呆れていた。
☆
とまあこんな感じに戦車レースは終わったがこの一件でコロッセウムの戦車乗り(戦車以外も含む)たちに注目されて評判の的になったらしい。
その御蔭かいい戦車のパーツが手に入ったとかなんとか――
世の中どうなるか分からないな。
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