戦車レース


 コロッセウムはパワーローダーによるバトリングだけでなく乗り物関連も盛んである。

 

 もちろんその乗り物には戦車も含まれている。


 Side 加藤 佳一


「うわ~戦車だらけだ!! 凄いな!!」


 マヤは目を輝かせ、


「本当だ。凄いねケイイチ!」


 ナナでさえも興奮した様子だった。


「そうだな――ミリオタの気持ちが分かったよ」


 世紀末風にアレンジされた戦車たち。

 武装の配置からカラーリングにすら拘っている。


 商人相手に戦車の持ち主が交渉して戦車のパーツを手に入れようとしていた。


 それはマヤも同じであり、予算内で欲しいパーツを手に入れようととにかく必死だった。



「で? なんで戦車レースに出ることになってんだアイツ」


「頑張ってマヤ!」


 俺は少し呆れながらもナナは観戦ムードだった。


 コース内には様々な戦車――中にはスポーツカーに武装を施したような車両まで出場していた――戦車なのか?


 あとこれ殺し合い上等のデスレースじゃないよな?


 戦車レースは意外と本格的で浮遊ドローンや各ポイントに配置されたカメラを使ってスクリーンに映し出されるらしい。

 

 各ポイントを順番に潜り抜けてゴールすれば勝ちだそうだ。


 そうこうしているウチにレースは始まろうとして――


『では戦車レース!! スタートだ!!』


 そして次々と発進する戦車を含めた乗り物たち。


 コース内には過去のレースの産物だろうか障害物が散乱しているがそれを破壊し――


「って襲撃もあるんかい!?」


 俺は思わず突っ込んだ。

 まさかの野盗の襲撃。

 しかしレースは続行。

 

 そこからさらに化け物の襲撃もあったがそれでも続行した。

 これ俺達も乗っていた方が良かったかなと思った。


 いちおう卵型の浮遊サポートポッドが支援してくれているそうだが・・・・・・不安になった。


 優勝とかどうでもいいからもう無事に帰ってきてほしかった。



「あ~やっぱダメだったか・・・・・・」


 戦車の整備状でマヤは残念そうに言う。


「ああ・・・・・・無事に帰ってきてくれて嬉しいよ」


 そんなマヤに俺は本音を漏らす。


「それ口説いてるの?」


 と、マヤは顔を赤らめたが


「野盗とか化け物とかの戦うシーンとか見れば誰だってそう思うよ」


 冷や水をぶっかけるようで悪いが俺は胸の内を語った。


「でも凄かったよマヤ」


「ありがとうナナ。次の機会があれば優勝するから」


「また出るつもりかい――」


 流石は世紀末の女性。

 日本の女性とは逞しさの次元が違うなどと俺は呆れていた。



 とまあこんな感じに戦車レースは終わったがこの一件でコロッセウムの戦車乗り(戦車以外も含む)たちに注目されて評判の的になったらしい。


 その御蔭かいい戦車のパーツが手に入ったとかなんとか――


 世の中どうなるか分からないな。

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