軍艦街決戦・その後

 Side 加藤 佳一


 軍艦街での戦いは終わり、各種復旧や救命作業が行われた。


 この世紀末の世の中で弱った状態になると言うのは他の第三勢力に襲われる危険性がある危険な状態なのだ。


 俺も武装を外してパワーローダーで手伝い、マヤだけでなくナナですら出来る事を探して手伝った。


 死体の処理、特に味方の遺体などを運ぶ作業など辛い作業もあるが、悪いことばかりでもない。


 戦利品漁ったり、一緒に食事してあれこれ話したりして楽しんだり、軍艦街の住民やアーミーズシティの人々に一緒に戦ったことに感謝されたりなど――そうしていくウチに一夜明けた。



 早朝の海岸。

 人は想像以上に多い。

 今日の飯をゲットするためか釣り道具や網やらを投入している。

 中には海岸の一部スペースを養殖場にして見張りのロボットを置いている場所もあった。


「凄い。これが海なんだね。それとなんかゴキブリみたいな虫が沢山いる」


 ナナは海を見てはしゃぎ、そしてフナムシを見つけて気になる様子でなんか忙しそうだった。


「フナムシって奴だな」


「じゃああの海に浮かんでいる大きいのが船なの? 沢山あるんだね? でも地上にも置かれてるのはどうして? しかも建物につっこんでるし」


「たぶん津波か何かで陸地に乗り上げたんだろう」


「津波?」


「大地震が起きる場所によっては海が巨大な壁のようになって陸地に何度か迫り来たりするんだ。恐らくこの土地の周辺が瓦礫だらけになってるのもその辺が関係してるんだろう」


「やっぱりなんでも知ってるんだね」


「ああ。こう言うやり取りも久しぶりな気がするな」


 最近マヤとナナで一緒にドンパチばっかりやってたからな。

 コロッセウムの時はウルフェンにつきっきりで正直、もうしわけないと思った。


「うん、そうだね。ほんとうはずっとこんな時間が続けばいいんだけど」


「俺もそう思うよ」


 二人で旅をしていた頃がずいぶん昔のように感じられる。

 あの頃はあの頃でよかった。

 本音ではその頃に帰りたいのかもしれない。

 

 だが今のような生活でもいいことは沢山あった。


 マヤとの出会い。

 ホープタウンの人々。

 アナグラ、ストームライダーズ、シェリフ、コロッセウム、アーミーズシティ・・・・・・二人だけでは辿り着けなかった場所や繋がり。


 それを守る力があるのならば、それも悪くもないと思っているのも事実だ。


 

 時間が経ち―俺達は軍艦街の中央部。

 

 座礁しているが元は戦艦だったらしい――のブリーフィングルームに集められた。 

 

 長い青い髪をポニーテールに束ねたメガネの美女。

 胸もある。

 この世界の基準で言えば落ち着いた紺色の綺麗な衣服を身に纏っている。

 荒くれ系の女性にならざる終えないこの世界では珍しいタイプの美女、マリーナさんがこの軍艦街を取り仕切っているらしい。


 一応前の軍艦街の長である白髪で髭を蓄えた褐色肌のセルゲイさんもいる。

 アーミズシティの将軍――バレットさんと言うらしい――もそうだが、両者ともに顔は渋いオジサンで体が厳つい。コロッセウムでもやっていけそうだ。

 

 他にもシュミットと言う如何にもエリートそうなアーミズシティの目つきが鋭いエリート将校風の男がいたが礼儀正しい。


 金髪の宝塚男優系美女ミハエルさんも一緒だ。

 

 そうして俺とマヤとナナ。

 一応は集まるだけのメンバーは集まり、会議は開かれた。



「会議つーか今後の方針はあっさり決まったな」


 マヤの言う通りあっさりと会議は終わった。

 基本方針は同盟で一致。

 アーミーズシティの将軍のバレットや軍艦街のマリーナさん、セルゲイさんで細かい打ち合わせが続いているそうだ。


 俺達は一緒に町を改めて見て回っていた。

 建造物の変わりに各艦艇が元の世界の建築物などの役割を果たしていてそれぞれ役割が決まっているらしい。


 俺達がいるのは商業担当の平べったい揚陸艦やその周辺。

 昨日、あれだけ派手にやりあった後だというのに大賑わいだ。


 行く先々で自分含めた三人のことは有名になっているらしく、頻繁に声を掛けられたりしてちょっと恥ずかしかった。


「それだけウォーバイソンやフロンティアが恐れられている証拠だろう」


「ああ。私も今回ばかりはダメかと思った――空飛ぶパワーローダーとか飛行機械に無人ロボット軍団とか反則だろ」


「この世界でそれだけの設備と資源はどこにあるんだか・・・・・・再利用技術でも異常に発達しているのか?」


 俺の一言にナナは「そう言えばそうだね」と同じく疑問を持った。


 だがマヤは「大方、資源がありそうな場所を片っ端から独占してんだろうさ」と吐き捨てるように言ったが俺は「そうかな?」と疑問を持つが――


「まあ考えても仕方ないか」


 と、思考を切り替えて今を楽しむことにした。

 少なくとも自分達の仕事は果たした。

 ホープタウンに戻るか、しばらく軍艦街に滞在するか――

 

(まあそれもウォーバイソン次第なんだがな)


 本当にこれからはウォーバイソンの出方次第だ。


 アーミズシティの将軍、バレットさんによれば大規模な拠点と言うべき場所――本拠地の場所もすでに特定されているらしい。

  

 まあ毎度、あれだけの部隊を頻繁に動かしているんだ。

 アーミーズシティレベルの軍事力なら察知できない方がおかしいだろう。

 

 ともかく決戦は近いと考えた方がいいだろう。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る