軍艦街決戦・決着

Side ???


『後詰めの連中苦戦してるみたいだね、兄さん』


『そのようだな――』


 戦況は想像通りこちらが劣勢に陥っていた。


 デスクワークの温室育ち連中などこの程度か。


 救援要請は出ているが今更頑張っても戦いの流れは変わりはしない。


 せいぜい死なない程度に仕事することにした。



 Side 加藤 佳一


 戦車の後部に乗っての決死の突撃。


 側面や後部からも味方が随伴し、援護射撃をしてくれる。


 一方で前に出ているので彼方此方から砲火が飛んでくる。


 俺も負けじと盾を構えてアサルトライフルで敵の車両を破壊した。


 フロンティアの戦力である飛行型パワーローダーや無人戦闘機が厄介だがそちらも地上からの砲火で押さえ込んでいる。


 どちらかと言うとウォーバイソンのランドキング周辺の猛烈な砲火が脅威だ。


(いくらマヤの戦車でもこの砲火じゃ持たない。時間を掛けるとそれはそれで危険だ――)


 なのでここで取る手は――


『作戦開始!!』


 一斉にランドキングの進行方向に砲弾や砲火が撃ち込まれ、そしてスモークが炊かれる。

 ランドキング周辺の視界が塞がるがそれは相手も同じだ。

 臆さずに突っ込む。

 

 何かを戦車で踏み潰す衝撃、地面にしている戦車の傾斜が伝わり、ランドキングの特注の車高が大きい戦車に激突した。


『いまだ佳一!!』


『ああ!!』


 多少のダメージに構わすマヤは至近距離から大砲を含む全火器を乱射。

 俺もパワーローダーに載っけたビームキャノンやレールガンをできるだけ装甲が脆そうな部位などに撃ち込む。


『此方ライトニング隊!! 敵リーダーに取り付いた!!』


 他のパワーローダー隊も次々と取り付き、全火力を撃ち込む。


 ランドキングの戦車も装甲は頑丈だったが流石にこの猛攻の前では保たなかった各部位がスパークを引き起こし、そして小爆発を引き起こす。


『後退だマヤ!!』


『ああ!!』


 そして俺達を含めた味方機は全速後退する。 

 遅れて大爆発が起き、後方で歓声が上がった。


『クソが!! よくも俺の自慢の戦車を!!』


 しかしランドキングは生きていた。

 戦車の上部部分が分離し、遠くへと離脱していく。


『あの戦車!? 上部分が飛行機になる構造だったのか!?』


 ガンダ○でそんなゲテモノ戦車あったなと思いつつも追い打ちをかけるが、まさかの"戦車が飛行機になる"という想定外の事態に反応が遅れてしまい、見逃す結果となった。


 フロンティアも退いていく。


『なんか釈然としないな・・・・・・』


 俺はふと溜息を吐く。


『まあ、撃退出来たんだ。あんまり欲張って命を落とすよりかはいいさ』


『そうだな』


 マヤの言う通りだ。

 ここはプラスに考えよう。

 

『外の人間も中々やるじゃない。縁があればまた会いましょう』 


 そう言ってアマシロ リエと名乗ったF1カーを連想させる白色で流線型なフォルムの飛行型パワーローダーはどこかへ消える。

 この上から目線の物言いといい、クセのあるアニメボイスといい、一体何者なんだろうか。

  

『ともかく今は生き延びた事を喜ぶか。それに仕事も残ってる』


『そうだな。ウォーバイソンのバックにフロンティアが絡んでいる以上、もうどこも他人事じゃいられねえはずだ』

 

 マヤの言う通り、フロンティアがいる以上は無視はできないだろう。

 それにフロンティアのやり方は正直好きじゃない。

 もっともアマシロ リエのように、なにかしらの考え方の違いで内部抗争が起きているみたいだが・・・・・・


 ともかく町に戻ってから自分達の旅の目的――各勢力との同盟関係について話すとしよう。

 


 Side ???


『想像通り、後詰めの連中は失敗したようだね兄さん』


『まあな』


『それにこうして僕達が出張ったと言う事はウォーバイソンもそろそろ切り時になるかな?』


『だろうな――レジスタンスの差し金も現れたしな』


『兄さん、僕達はどうする?』


『今はまだ動かないさ弟よ。今はな・・・・・・』

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