軍艦街決戦・激化
Side 加藤 佳一
ミハエル達に案内される形で軍艦街内部の大きな倉庫に向かう。
軍海街は大きく分けて基地施設が広がる陸地だった場所と軍艦などが停泊しているエリアとで別れている感じだ。
と言っても過去に起きた津波や地震などの影響で建築物が崩壊していたり、軍艦が潮風で錆び付いていたり、陸地に乗り上げていたりとメチャクチャな状況だが。
路面状況も最悪でアスファルトはひび割れて草が生い茂っていたりするのはまだ良い方で陥没して配管が露出し、湖が出来ていてそこを養殖場やら浄水機を設置して水飲み場にしたりとかカオスな状態だった。
倉庫内には軍艦街と思わしきパワーローダーや戦車に混じってアーミズシティの人達も兵器も並んでいる。
俺達もそれに習って整備を開始。
武器弾薬の補給。
パワーローダーの整備。
得にマヤの戦車は後部の荷下ろしをする。
ぶっちゃけ爆弾抱えて戦うようなものだ。
それに自分達の生活の生命線でもある。
ここに置いておくのが無難だろう。
「ミハエル隊長!! 敵やフロンティアの連中が増援です!!」
アーミズシティの人間のその言葉に場は騒然となった。
敵がさらに増える。
それにフロンティアまで増えると言うのだ。
「来たか!! 私達も出るぞ!!」
ミハエルは戦意を奮い立たせるように言って出撃準備に入った。
「ナナ!! マヤ!!」
「分かっている!! 私達も行くぞ!!」
そして俺達も出撃した。
☆
Side ???
フロンティアの部隊も一度後退。
手柄を求めたハイエナ連中と入れ違いになり、後方で待機となった。
私も一度弟と一緒に輸送機の中で整備、補給を受ける。
敵もどうして中々にやるものだ。
チンピラの集まりやハイエナ連中でどうにかなる相手ではないだろう。
『兄さん。手柄取られるけど――』
『大丈夫だろう。後方の温室育ちの連中でどうにかなる相手ではあるまい』
『けど――』
『弟よ。ここは兄を信じろ』
そう言って通信を切る。
自分の言葉に自信はある。
ただ軍艦街だけならともかく、将軍率いるアーミズシティの連中は別格だ。
幾らパワーローダーの性能差があろうとパワーローダーは無敵の鎧ではないのだ。
それを分かってない連中に未来はない。
☆
Side 加藤 佳一
俺はミハエルのライトニング隊に混じる形で前線に出る。
マヤ達はアーミズシティの戦車隊に加勢する形だ。
俺はビームキャノンやレールガンをバックパックに担ぎ、パワーローダー用のアサルトライフルとシールドを手に持ち、再びゲート前に集結。
将軍は一旦指揮に集中するために後方へ待避する。
敵が津波のように押し寄せては引く。
フロンティアの連中はアーミズシティの航空戦力――飛行型パワーローダーと激突していた。
『なんだアレ!? 銀色の飛行機!?』
それに混じるように銀色の飛行機が空を飛んでいた。
『フロンティアの無人戦闘機だ!!』
ミハエルにすぐさまそう補足される。
『てことはこいつらもフロンティアか!?』
さらに地上にも見慣れぬロボット――四脚でキャノン砲を両手につけた銀色の球体のロボットが投下される。
さらに銀色のパワーローダーまで。
生体反応はなく無人。
いわゆる無人パワーローダーと言う奴だ。
あれもフロンティアの戦力なのだろう。
『奴達、本気で我々を潰すつもりか!?』
流石の戦力にミハエルも驚きを隠せないようだ。
俺もそうだ。
(どうした・・・・・・地上の勢いが弱まった?)
フロンティアの攻勢に合わせるように地上の敵――ウォーバイソンは勢いが弱まっている。
『ウォーバイソンは高見の見物か?』
『かもしれん。協力態勢と言っても上辺だけの関係だ。ヘタすれば後ろから刺されかねないしその辺を警戒しているんだろう』
『そいつはありがたいな!!』
そう言いつつ俺達は無人ロボットや銀色のパワーローダーと戦う。
教科書通りの横並びの隊列突撃姿勢を何があっても崩さない。
『あの丸っこい四脚のロボットはともかく、あの銀色のパワーローダーも無人機か!?』
『ターミネーターっていう種類の奴だ! 完全に破壊されるまで戦い続けるぞ!!』
『どうも情報ありがとう!!』
確かに下半身を吹き飛ばされても戦い続ける姿は無人機その物だ。
機械のゾンビ的でもある。
『隊長!! 謎の飛行型パワーローダーと飛行機械がフロンティアの連中に攻撃を仕掛けています』
『なんだと!?』
新たな報告にミハエルも俺は耳を疑う。
『私はレジスタンスのアマシロ・リエ!! 色々と理由はあるけどそちらに加勢するわ!!』
全ての回線でそう呼びかける。
遠くの方で白色の、FⅠカーのような流線的な形状と背中にフライトユニットらしき物を搭載しているパワーローダーがあった。
空中を泳ぐように素早く動き回り、左腕にシールドを保持し、右腕の銃器――連射型のレーザーか、ビーム兵器かで次々と空中の敵機を破壊する。
(なんだこのクセのあるアニメボイスは・・・・・・いやともかく――援軍?)
どう見てもフロンティア制のマシンだ。
突然援軍と言われても「はいそうですか」と納得は出来ないのだが――
『ミハエル隊長? どうします?』
『状況が状況だ。あちらから手を出さないかぎりは放置する形でいいだろう』
『了解』
ライトニング隊、ミハエルはそう決めたようだ。
俺もその方針で反対ではなかった。
なんにせよアマシロ・リエのおかげで戦況はこちらに傾きつつある。
ウォーバイソンも攻勢を強めた。
一体どう言う理由かは知らないが勝負に出たようだ。
『ランドキング様の強さに恐れおののくがいい!!』
『お前の場合、自身の強さと言うより戦車の強さの間違いだろうが!!』
そう言うとなぜかミハエル達に笑われた。
『なんかおれおかしいこと言った?』
『いや、戦闘に集中しよう』
とまあ、強気に言い返したのは良かったが、ランドキングの特注の戦車は堅いし、機銃や砲撃の猛攻が激しい上に周りの敵が周囲を固めるようにフォーメーションを組んでいるので近づけないし、こちらに突っ込んでくる。
『あの戦車装甲なにで出来てるんだ!?』
『撃て撃て!!』
周りの雑魚はともかくランドキングの戦車は本当に堅い。
レーザーやらビームの着弾でも平気とか反則だろう。
ロボットアニメに出てくるとんでも合金か何かか。
『ハハハハハ!! 死ね死ね!!』
『履帯を狙え!! 装甲を狙うよりかは武器は通りやすい!!』
ランドキングは味方の残骸すらも踏み潰し、ゲートに近付いてくる中、ミハエルは履帯を狙うように指示を飛ばす。
一斉に攻撃が履帯に集中するが――
それを分かった途端、煙幕を炊いて距離を離す。
ただの突撃バカかと思ったがやりにくい。
『このまま防衛戦を続けてもジリ貧になるだけだぞ――』
『確かに君の言う通りだ』
ミハエルも同じ事を考えていたらしい。
このままじゃ、弾薬やマシンよりも人間が保たない。
『ならばランドキングを討ち取る大任、君達に任せたい』
将軍の声が聞こえた。
同時に後方に一旦退避していたアーミズシティの部隊が出てくる。
自分と同じく前線に出ていたマヤも戻ってきていた。
『佳一、戦車に乗れ!!』
マヤにそう言われ俺は(何か考えがあるんだな)と思いつつ荷物が無くなって広々とした戦車の後ろに乗った。
同時に将軍やその護衛のパワーローダーの部隊が再び前線の防衛ライン――ゲートの手前に出張る。
『みなよく聞け、我々が防衛戦を担う。これより動ける戦力は速やかに敵の大将を討ち取りこの戦いを終わらせる! 失敗は許されん! 以上だ!』
との事だった。
『ライトニング隊やホープタウンの皆様にも敵の大将を討ち取る大役を任せたい。よろしいかな?』
将軍の問いかけにミハエルは『分かりました将軍!!』と即答した。
俺も『分かった』と返す。
やっぱりなんだかんだでマヤやナナと一緒がいい。
『再度通達する!! 動ける戦力は全て敵の大将を討ち取ることを考えろ!! 雑魚は無視しろ!! 我々はなんとしてもこの場を死守する!! それでは作戦開始だ!!』
将軍の号令とともに俺を乗せたマヤの戦車は全速力で突撃。
俺もビームランチャーやレールガンで次々と敵の車両やパワーローダーを破壊していく。
『作戦はあるのか?』
マヤが尋ねる。
『ランドキングの戦車は異常な堅さだ。近付いて叩き潰すしかないだろう』
マヤは『まあ、それっきゃないわな』と呆れつつも戦車の方は景気よく機銃や主砲を乱射。
敵を倒すのではなく、敵への道をつくるように弾を発射している。
そして『スモークを撃ち込んで一気に突っ込むぞ』とマヤが提案するとナナは『わー過激だね』などと言っていた。
ナナの言う通り過激だがてっとり早く終わらせるにはそれぐらいしか方法が思い浮かばない。
(ここが勝負時か・・・・・・)
俺は腹を括ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます